あは、はは、ははははははははははははははははははははははは
美しくも狂っている、咲き誇る一本の赤き花を見たような気分だ。
相棒が二本のナイフを握るまでのものとは正直思っていなかったので改めて雪の実力の高さを知った。
以前ボスモンスターと対話しに行った時とは格段に強くなっているというのが肌で感じ取れたがとりあえず私は王との戦闘ね。
既に間合いを取って気づいたらナイフを握っていた。
「頼むから殺さないでくれよ?」
「大丈夫よ。自然体に身を任せるから」
「完璧な死亡宣告ありがとうございます」
会話が終わった瞬間に王が終わるかもしれない戦いが始まった。
私は動かずに最初は王の動きを見る予定よ。
おもむろに旧式の銃を取り出すと私の急所に的確にサイトを合わせて殺しの弾を三発撃ってきた。
銃口の向きから弾丸の軌道を計算して脳内ではじき出された最適解を愚直に信じて回避行動を開始した。
心臓ではなく関節狙いだったため右足を大きめに引きながら上半身を反らし回避できなかった弾丸はナイフで軌道を反らすために刃を合わせてサイドにずらす。
風を貫いて進んでいく弾丸が私のテンションを上昇させて自然体を発動させた。
王は頑丈というかしぶといからバチバチに切り裂いても問題ないでしょうね。
風のように接近をして闇からいでし欲望が王の左肩に突き刺さった。
最近までの筋肉が詰まっているような肉ではなく柔肌に刺さったナイフがぐんぐん浸食を進めて血管を突いた。
せき止められていた液体が一つの出口を見つけたかのごとく生命が噴き出して花を咲かせ始めた。
反射が発動して王が身体をひるませたがもうすでに遅い。
まるで一挙手一投足が遅すぎるかのように感じる私の脳が既に次の本能を動かしていた。
ほぼ無意識的に行動していたのだろう。
王がこちらの脳天に至近距離で発砲してきたが当然その動きは見えていたので回避をするわ。
身体を右側に回転させながら弾丸という思いを回避してそのままこちらの思いを王の右肩に鋭く入り込んでいった。
ナイフが、欲望が、サディスティックがどんどん支配を進行していき私の自我すらも欠けていく感覚が薄くしかし確実に感じられた。
口が残虐に歪んでいき対象の顔は対照的に変化していきこの瞬間に戦場の雰囲気が一気に変化を遂げた。
既に基礎体のようなものが発動していて自身の感覚は非常に薄れているがナイフが動いているのが感じ取れる。
両肩ときたら太ももに行かねば無作法といわんばかりに左太ももにナイフが突き刺さった。
「ぐっ、私死んじゃうぞ?」
「もっと…もっと欲望を!」
「あ、終わったわ」
既にかなりの損傷をもらっているのに余裕なのか王は絶望を感じながらそんなことをつぶやいた。
出血量的に止血をしなければあと8時間で死ぬといったところだろうか。
それでも私のナイフはどんどん身体を引き裂いていく。
胴体や首、顔、足先、もはや傷のついていない場所を探すのが困難なレベルでどんどん鮮血が広まっていく。
「あは、はは、ははははははははははははははははははははははは」
最後のとどめといわんばかりにナイフを思いっきり振り下ろした。
グサッ…
心地がいいが高揚感を感じさせてくれる音を空間に響かせて戦いが終了した。
戦場には異様に冷えた空気が流れていて誰一人として音を発することがない。
無音の空間がなにか取り返しのつかない失敗をしていることを感じさせて時が止まったかのような錯覚すらもたらした。
かかっている返り血が私の身体をひんやりと冷やして冷静さを取り戻させてくれた。
「…」
「…」
「…」
「…まあ、やっちゃったものは仕方ないよね。相棒の最高な姿も見れたことだし第一支部に帰ろうか」
相棒が静寂を破壊して第一支部の方向をむいた。
ああ、いい戦いだった。
そうして雪も同行して私たちはその場を後にした…
「あほか勝手に殺すなや!!!!!!!」
私たちが振り向くといつ終えたのかわからないほどの超高速な応急処置を終えている王がいた。
「相変わらずしぶといわね。耐久性だけなら私たちと同等なんじゃないかしら?」
「これが取り柄だからな。てかめっちゃ怖かったんだけど。最後あれが地面じゃなくて頭に突き刺さっていたらと思うとぞっとするわ」
「まあそれに関しては私が制御していたから大丈夫よ。じゃあ私たちは休暇だから帰るわね。仕事の抑制だけよろしくお願いね」
「ああ、まかしとけ。ここ最近の連戦、あらためてお疲れさまだ」
太陽が私たちを照らして体温を上げており壊れた心に、歪んだ感情に温かみという味が風味的に添えられた。




