せめてdeliciousなさい
「会議を開くわよ」
「いいよん。議題は?」
「戦闘描写が一辺倒過ぎるから進展させい、てか前回の大量襲撃ではあのエンジニアたちが助けに来る構想していたのに…」
「ちょいちょい、てんちょうか三次元作者乗り移ってるか」
「失礼したわ。欲望の件についてとゆったりお話を楽しみたいだけよ」
「なるほど」
てなわけでこの子の隣に座り肩を当てる。
いいわね何だか信頼感抜群な感じが出てるわ知らんけど。
「そういえば私と相棒の欲望が混ざってる件だけどあれは心臓が原因じゃない?」
「言われてみれば」
確かに心臓を入れ替えてから発生した事象だから可能性は高いけれど前例がないから断定はできないわね。
誰か他に心臓を入れ替えた経験ある人いないかしら…
「あなたは誰か心臓入れ替えた人知ってるかしら?」
「いや、いくら幅広い雪さんといえどさすがに知らないわ」
「そういや雪は何か変化起きていたりしないの?」
「私?」
確かにそうね。
なんかいつもはぐらかしてくるからここいらではっきりしてもらいたいわ。
「変化か…うーん…」
「いい加減はっきり提示してもいいのよ?」
「いや、こればかりは本当に分からないわ。バトルジャンキーが変化した感じもしないし感覚もいつも通りよ」
「つまりあれか?雪の異常性が強すぎて他からの干渉を弾いた感じか?」
「そんなことある?」
まあなんにせよ変化がないならどうでもいいわ。
この調子だとおそらく無無も変化なしね、残すところは梛木のみ。
「じゃあ会議は終了よ。今日はもう外に出たくないから家でゆったりしているわ」
「以上閉廷。みんな解散」
氷をいっぱい入れた水入り水筒を取って流し込む。
いいね、涼しくていい感じだわ。
最近は最高気温が37°ばっかりで少しばかり暑くなってきたからこういった飲み物が必要なのよ。
「私はこのドーピング剤をいただくとしよう」
「ただの炭酸水じゃん」
「炭酸水の良さがわからないのかしら?」
「いや最高に美味いけども」
「そうよね。beautifulよね」
「それは美しいよ。せめてdeliciousなさい」
「deliciousなさいってなに?」
謎の日本語を産み落としながらこの子に全体重を預ける。
受け取りなさい、これが私のすべてよ。
「ん、思ったより軽い」
「なわけ」
「体重何キロぐらい?」
「60ジャストよ」
「まあいいや」
「例え物理が軽かろうと精神的に重いわよ!」
「耐荷重には自信があるから問題ない」
それから静かになってただ単に落ち着く空間が支配している。
誰も何も発しない、しかしその静寂は決してマイナス的影響を有しているものではない。
まるであらゆる信号を遮断して解放されているみたいな感覚だろうか。
続けようと思えば私たちならこの時間を無限に続けることができる。
だが、それをしてしまうとこの空間の価値が無くなってしまう。
平常となる均された場所には、破綻に耐える耐久地が足りないもの。
「いいわね、今回の世界は。自分たちが生きていくにはちょうどいいわ」
「だからこそ街をどうするかという感じね。一局集中にすればエンジニアと技術部で耐えられないかしら?」
「どうかしらね。多忙で死ぬんじゃないかしら?」
「やはり空中都市がいかに優れていたかがよく分かるねぇ」
むむむ、難しいわね。
だが全員して本気で考えているわけではない。
まるで街の育成ゲームをしているかのような感覚で話し合っている。
この辺は無無の本分だからちょっとした暇つぶしというわけよ。
とりあえず、事実として残ったのは街の四割ほどが崩壊、人間は三割減という感じね。
抽象な内容だけ見れば立ち上がりが大いに可能そうに見えるけれど実際は少し大変よ。
まず騎士団が八割死亡、加えて発電施設が一つぶっ壊れたわ。
治安維持機関の崩壊とインフラが不調だからこの間にどれだけ反感を抑えられるかがカギになるというわけね。
ようやく私たちの世界に帰ってきた感があるわ。




