絶対殺して気持ちよくなってやる!!!
あーあ、この世界もおしまいかな。
魔王…もとい雪梛が瞬間的に移動して雪の胸を貫いていた。
吹き出る血液を刻むかのように第二、第三の連撃が更に雪を裂いて割いて咲いた。
もはや声を上げることすら許されぬ見えているが見えない斬撃にあの雪が瞬殺された。
「…あ、あ…いっ、たい…わね…」
なんで生きてんだあいつ…
「おっと、雪は使えると思ったんだけどね」
「本気のタイマンバトルなんていつぶりだろうな」
「この場合はタイマンではなくタイウーマンになるんじゃない?」
「はは、そこはどうでもいいだろうに」
間違いなく死んだな。
ボコられるであろうエンジニアから視線を外し右に飛び込みながら現状の打開策の模索に入ろうか。
どうも感情が抜けてからというもの、単一の事象に対する思考の巡らせが可能になってきたらしい。
まともにやり合ったら勝機は無し、そんなことは分かっているし先程の雪が証明した。
逃走、回避、知覚が不可となるわけだが技術理解は可能ではないだろうか。
間違いなくあのメイン時間軸を生きる雪梛よりは弱いはずだ、つまりレベルが下がった技術が使用されているはず。
多方向に移動しながら相棒の位置を確認せずにバックツーバックになる。
「何か分かったかしら?」
「恐らく行動に魔力が用いられているね。自然魔力とか波長とかの話を思い出すに見えなくなる自然魔力と同調しながら行動している」
「ご名答、と言いたいけど惜しいかな」
やっぱ死んだか、まあお疲れちゃんということで。
「私の行動には自然魔力の波長に類似させた魔力を体内に充満させている。つまり」
「!?」
「こういうことができるんだよ」
瞬間移動ではなく瞬間的移動に見せていただけか。
移動速度は平行移動と同速だろうね。
つまり攻撃地点の予想さえできてしまえば問題なく対処ができるというわけだ。
「さて、行動原理が判明したところで始めるとしようか」
始まるか…
これこそ当時の魔王とやったあの戦いを思い出す。
目を閉じて感覚に対する集中を開始して待機する。
…ここ!
肌を数ミリ切らせるつもりだったが結構ざっくりいかれたか。
反射的に繰り出した斬撃は当然のごとく空を切り裂きその時には背後が切られていた。
刀で切られているのだ、さぞかし痛いだろうなぁ…ん?
おかしいな、私は今雪梛に斬られつつ反撃を試みているはずだ。
なのになぜだろうか、こんなにも疎外感を感じるのは。
まるで第三者の視点に立っているかのような、小説で言う読者の地点に位置しているかのような感覚が全身を満たしている。
あ、倒れた。
全身が切り傷にまみれて染め上げられて、雪眼が倒れた。
あーあ、死んじゃっt——
見るも無残な状況というべきだったのかしら?
いや、言うべきではないわね。
そんなところに突っ込んでいる場合ではないのだがそうでもしていないと何をしでかすかわからないわ。
普段の私なら発狂をして、堕ちている私なら笑いながら狂気となりて…今の私ならどうなるのだろうか。
目の前であの子が死んだ、なんだか現実味が薄れていっていたあの子が死んだ。
なのになぜだろうか、色が出てこない。
「予想外だね、というのはあまりにも不適切な言い方かな。的確に表すならば…そうだろうね、といったほうがいいだろう」
「あーあ、壊れちゃったみたいね」
「機能不全を故障ではなく破損ととらえるのかは難しい問題だね。それで、どうする?」
「さあ、どうしたいのかしらね」
生きる理由がなくなった、だがそれは断絶された道を表しているのではない。
光が消失して、視界が世界から外界へと移行されて、見える次元の景色が移行を行ってしまった。
平面でも、立体でもない、だからといってこれを四次元というのはあまりにも早計といえるわね。
いや、私は別にそんなことが言いたいがためにここに残っているわけではない。
いえ、それも変な表現ね、正しく言うなら言いたいことを模索するために残っているという感じかしら。
雪梛のフレーズが混ざっているがそれもまた抽象的存在へと変化した表れとなるのかしらね。
「抽象と具体に関してはあまり意味のある内容ではないんじゃないかな?」
「そういえば殺さなくていいのかしら?今の私なら大抵の人が殺せるわよ」
「別に私は殺人鬼じゃないしサディストでもないし流血趣向者でもないからね…いや最後は違くないけど」
「あら、以外ね」
「そうかな?まあ模倣があんな癖を抱えている時点で予想は容易にできると思うけど」
「模倣?どういう意味かしら?」
「まさか気づいていないの?それはまた禍雪としては珍しいと言いたくなる話だね」
私たちの関係性が誰かの類似として意図的に組まれているというわけよね…
そもそもカップリングがどれだけ存在しているのかという話にもなってくるからわからないわ。
「雪眼と禍雪。雪梛と香澄。この二組は似ていると思わないかな?」
「似ている?その判断が下せるほど私は雪梛たちのことを知らないわよ」
「そうか、禍雪たちは雪梛の一閃を読んでいないんだっけね。ならばこれは仕方のない話か」
え?つまり雪梛と禍雪が私たちと同じぐらいラブラブってこと!?
これは大発見よ早速あることないことSNSに書き込まないと…!
「ネットリテラシーの急激低下が見受けられるね。というか今回の話で一番驚いているのがそこってことがある?」
「いいじゃない。そういうしょうもないことで笑ったり驚いたりするの。まあ笑いは出ていないのだけれども」
「さて、これからどうしたいのかな。禍雪」
「…答えは変わらずよ。どうしたいのかしらね」
「ふむ、であればこちらの少々手を打たねばならぬようだね」
「というわけで私の登場だよ」
「私もいるよ」
…は?
なぜだろうか、私の目には雪梛と雪梛と雪梛がいるように見えるのだけれども…
「この現状だと結構わかりずらいかもね。私、メインの雪梛、全破壊雪梛、魔王の雪梛がここにいるよ。なぜこんなに雪梛が集まっているのかは少々待ってほしいかな。この世界はついにおしまいを迎えた。いやこの言い方は誤解を招く要因になるね。言いただすと一つの終焉を迎えたとなるかな。ビジュアルノベルゲームみたいな感じでこの世界にもルート分岐があると思ってもらえればわかりやすいかな。いわゆるマルチエンディングものとなるんだけどね。だがこの世界のエンディング全回収はほとんど不可能と考えていいだろう。複数の世界を構築したとて一度に取り掛かれる世界は一つだ。現に雪梛の一閃の更新は止まっているるからね。では話を戻そうか。なぜ私がこんなに来たのかというわけだけどこれに関しては偶然に見えた必然だね。もともとこの世界の監修というか観察をしていた全破壊雪梛、そしてたびたび干渉を行っていたメインの雪梛、そして初期のほうで出てきていた魔王としての遊んでいた雪梛。これらの個体が来るというのは当然の結果といえよう。だから偶然みたいな感じで私が三人もこの世界にきている。世にも珍しいハチマキ少女が三体というわけだよ」
思い出したかのようにハチマキ要素の言語化が来たわね…文章化といったほうがいいかしら?
やばいこのまま話を聞き続けていると私まで雪梛構文に侵食されてしまう…
「新しい構文を生み出さないでね。というかこの話し方はこの世界でしかやっていないよ。私のほうだとそう言った言い方をする必要がないからね。その代わりナレーションからメタまですべてが遊ばれ続けているけど」
「そっちのほうがやばくないかしら?」
「あれこそ私たちが書いているからできる芸当ではあるんだけどね。脳内に人格として形成して」
おいやめろ!!!私の執筆方法を解説するな!!!
ああもう何が何だか…
だがこちらのほうが落ち着いてしまう自分がいるということにも気づいているわ。
「どうする?再構築して世界を戻す?」
「どちらでも、といった感じよ」
「じゃあもどそっか。たかだか296861文字で終わらせるなんてもったいないからね」
「まあ私たちの人生を言うかを語るには確かに少ないけれども」
「そうでしょ。じゃあこの星ぶっ壊してから行くとしようか」
「ええ…え?ええ?」
「さあ、見してもらおうか。虚空に技を打ち続けて世界を破壊したその力というかを」
「任せて」
全破壊雪梛が抜刀を行って突きの構えを取る。
「流石に死んだ…」
ああ、お疲れさんね雪。
演出として意図的に行ったのかはわからないが雪のいるほうに雪梛が突きを放った。
途端に時空が歪んだと思うほどの爆風が辺りを支配して、木々はおろか地形すら少し変形してしまったようだ。
「地球割り、今回は大気中にある波長を突いたのかな」
「その通りだよ。大気には様々な物質が存在しているからそれらを結合するものを割ってみた。結果としては面白いものとなったんじゃないかな」
「すさまじいね」
誰が何しゃべってんだかよくわからないわね…
「案外そんなことないじゃないかな。ここまでの127話分を読んでいる歴戦の読者なら読み分けることは容易だろうね」
「せっかくだし原初の私もやってみたら?」
「じゃあやろうかな。対象は禍雪でいいかな」
「あれ?二回目だっけ?」
「そうそう。さて、やるとしようか」
もはや嫌な予感すら感じることなく雪梛が前に歩いてきた。
「悪いね、いろいろと壊しちゃって。代わりに創造するからさ」
「いいわよ。さっさとやってちょうだい」
リセットがこれにて始まる。
多分次回はもっとうまくやるだろう…いややらないと困るわ。
なにせ私はまだあの子のこと殺していないもの。
殺せず終わるわけにはいかないわよ絶対殺して気持ちよくなってやる!!!
迫る時間が止まってしまい、動くものが動かなくなる。
前にいる雪梛も、それどころか私自身すら思考のみを回せる世界に入った。
これがタキサイキア現象というやつかしら。
あーあ、動きだしちゃっt——
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面白いねこれ、まるで段差があるみたいな感じになるのか。
何かしらこれ。
二種類の横線の合わせだね、アンダーバーとも伸ばし棒とも違う読み方が分からない棒と伸ばし棒を使っているよ。
次回からどうするきなんや?
どうするも何も私は知らないとしか言いようがないね。
ほう、そりゃまたなんでや?
だってこの世界の作者は彼女たちだからね、間違っても私たちが主体となって物語を構成するという事態は避けないといけないんだよ。
はっはっは、そりゃまた面白くもあり曖昧な観点やな。
あなたはずっと他人の敷地を踏みまくるものね。
おいおいそれはちゃうで、全ての基礎を創り上げたさかい私に入れぬ敷地などないんや。
三次元は?
んー、あいつの脳からハックすれば行けるか?
今すぐ存在を処分してやろうか?
辛辣すぎやろ。
じゃ、また次回会おうね、どの世界なんだかは知らないけど。




