どうなってんだよこの娘ら頭良すぎだろ…
「これで全部だっけ?」
「ああ、後は私の方でやっとくわ」
「はいよ」
久々に斧を使ったなぁ。
どうやら一度小屋を作成してから本格的に取りかかるらしい。
まさか地上で小屋を見ることができるなんて。
あれでも魔法使い編とかの異世界は空中都市無かったよな?
今更すぎる疑問をよそにその辺の丸太に座る。
付近を見渡すと地面に足型の凹みが大量発生していた。
やっぱ雪梛たちおかしいだろ…
今回丸太の運搬には瞬間的エネルギー出力を最大にしてぶん投げまくった。
詳しくいうなら、そうだなぁ…丸太をまず持ち上げるじゃん?
まあその際に平行移動の技術を利用して上空に投げるんだけども。
そしたら落下してくる丸太には位置エネルギーと自由落下時に発生するエネルギーが加算される。
それを右手でキャッチしながらエネルギーを股関節、膝、足首から指の関節の順に移す。
最後に地面に放出時に発生する反作用を内部で逆流させて手首から放出みたいな感じかな。
無論放出時にも反作用が発生するから回転運動に派生して空中に霧散させる必要があるけれども。
恐らく雪梛たちがやったら地面はへこまないだろうな…同じ構造で動いているのにおかしくね?
まああいつら動く時に風が発生しないし作り物みたいな挙動するしで話にならないんだけど。
想定より早く終わったとはいえ作業を午後から行っていたためもうそろそろ夜になりそうだ。
「もうそろ日が落ちるけどエンジニアはどうするの?」
「?」
「え?」
いやそんな困惑されても困るんだが…
「どうするもなにもここで寝る以外があるのか?」
「地上の野外で?」
「逆にお前らはどうするんだ?」
「そういやまだいってなかったわね」
ナイスタイミングの助け舟。
「私たちは別空間のアクセス権があるからそっちで休むわ。もちろんあなたも来て良いわよ」
「ふむ…じゃあそうするわ。なんか面白そうだし」
「んじゃいこっか」
デバイスを使用して亜空間を生成して中に入り、とりあえず自宅に帰宅した。
「今日もお疲れ様ね。うるさいのが来る前に風呂入って寝ましょうか」
「うるさいの?」
足早に支度を済ませて風呂場へと向かう…いやまてよ?
別に大浴場に向かう必要はないのではなかろうか。
私たちの家にも浴室はあるのだからそちらを使えばゆっくりできるのではないか?
「よし、今日は家で完結させよう」
「ん?…ああそういう意味ね。分かったわ」
玄関まで運んでくれた足の軌道をねじ曲げて脱衣所に向かわせる。
流れている風などあるわけないのに上向きに変化した錯覚を私に与えてくれる。
これは勝確というやつなのかね、とか思うとフラグに変質するからそこまで思わないけど。
「なんだか凄い家だな。所々に素晴らしい技術が使われている」
「そうなのかしら?」
「例えば家が全体木組みにされてるとか」
「は?」
え?木組みってあれだよねへこみ作ってぶっ刺すやつ。
確かこの家はエンジニアに任せて建築してもらったはずだ…そういや設備紹介の時に面白い家が完成したとか言ってたな。
「実際そんな事できるのかしら?できたとしてもほぼ全ての箇所が大黒柱的存在になると思うのだけれど」
「今の家が証明になってるしな。それに安心しろ、この建築士は凄まじいからな」
「というと?」
「使用されている木材の材質が異様だ。この辺を見てくれ」
そういってエンジニアが指を指したところを見ると木目にしか見えないものを指していた。
それのどこを見てんだこいつ…
「こいつはデザイン性を考慮しながら組み込まれた金属だな。単純に金属を隙間に差しているだけなら何ら特別なものではないがそうではなく木材と金属が物質的に混ざり合っている」
「ん?それは無理じゃないかしら?」
「ほう、その理由は?」
「物質的に混ざる、これを細かくすると構成する分子同士が混ざるというわけよね。つまり混ぜ合わせる物質を溶解させる工程が必要になるのじゃないかしら。木材は炭素化するわよ?」
「悪くはない疑問だな。だが分子の点を出しておくならもう少し踏み込んできてほしいところ。分子というのは先ほど禍雪が言った通り物質を形成するものを超細かく分類したものだ。つまり細かければそれでいいんだよ」
「…!ああ、そういうことか」
やべぇ、さっぱりわからねぇ…
どうなってんだよこの娘ら頭良すぎだろ…
「つまりあれよね。認識としては粉末レベルまで細かくしてから混ぜ合わせて再形成を行えば良いと。でもくっつくのかしら?」
「ふっふっふ、そこが今回の材質の大目玉だ。私が過去に作成した物質と同一である前提で話しをさせてもらうと今回は木材の材質を変化させている。その理由は分子の構成され方だ。金属…クロムモリブデン鋼は非常に密度の高い状態で分子が並んでいる。比べて木材は低密度で構成されている。つまり型が違うからはまれないわけだ。技術部の奴らはたしかプラスチックだかいう素材でくっつけていたが私のハイパー技術はそもそもの材質を変化させることにより対応している。この世界の私もやるな」
「でもそれ木材とはいえなくないかしら?」
「いや、大元の構成基軸だけは意地で崩さなかったからこいつは燃えない硬い木材だ。だが繊維方向に衝撃を与えればそれなりで割れるぞ」
「流石はエンジニアね。世界の常識が通用しないわ」
「お前らの欲望による身体活性化の方がよっぽど不可解だからな?」
「それはあれよ。無尽蔵に沸いてくる行き場をなくした歪んだ愛を燃やして動いているのよ」
「永久機関かよ…」
…私も少しは事象理解をしたほうがいいか?




