…というわけだからこれから頑張るか…
「あなたは朝月じゃないのかしら?」
「いや、別世界線にはいたって話だ。というわけでこっから空中都市再建するから一緒に頑張ろうな」
「は?」
何を言っているのだろうかこの小娘は…
確かにセリフに見合った技量はあるだろうけれど重要なのはそこじゃない。
「再建してどうするのかしら?」
「そりゃあれだよ。第二のアトリエを作るんだよ」
「ああ、あの太ももで有名な」
「そりゃゲームだ。てか何で知ってんだ?」
ここでいう第二は深読みをすると前世界が初代に当たりそうね。
とするとエンジニアとして呼ばれたのではなく崩壊した世界から生存するために飛んできた可能性が考えられるわね。
ちょうど良く焼き上がった肉をとってこの子とエンジニアに投げる。
「お、私もいいのか?」
「もちろんよ私たちは最悪食べなくても死なないから」
「あー、あれか。こちらの世界もなかなかやるな」
「え?」
「人体改造薬のベータを完成させたんだろ?」
「いや、あいつというか技術部からは寿命破壊薬もらったけれど」
「え?じゃあ別のとんでもない技術者がいたってわけ?」
「ややこしくなってきたね。失礼するよ」
張本人襲来。
「レイドじゃないんだから襲来ではないけどね。ほら、この通り襲ってはいかないよ」
「す、凄そうな人が来た…」
やはり分かるものなのだろうか。
「めっちゃ可愛いじゃん!ハチマキ少女とか!」
宣言撤回、あほだこいつ。
「そちらの世界線についてももちろん把握させていただいてるよ。異常傾向の末期世界からきたエンジニア。即席で武具の作成から非常に深い物理構造の理解をしているスペシャリストみたいな感じかな」
「ということはあなたも世界線を飛べるのかな?」
「いや、私は作者という世界の記録人だから特典で付いてるだけだよ。というか作者以外で世界線を移動とか見たことないよ」
「この世界は少し変だからな。一度データ化してやれば指定座標に再構築可能であることが分かった」
「なるほど。Textファイルに変換することによって別ディレクトリに入り込めるのか。でも参照元を変更する際はロックがあるはずだよ」
「それは形式変換を行なったらすりぬけられたぞ。なぜかHTMLにするとすべてのロックを抜けられる」
「ああ、多分てんちょうが過去に初めてHTMLで世界作成したんだね」
「んなわけあるかいちょいまて」
あ、てんちょうがでてきた。
「次から次へといっぱい来るな。私の技術ってもしかして平均?」
「いや、これまで数多ある世界線をみてきたんやが抜けてきたのはエンジニアが初や。無論作者権限がなければ雪梛、香澄、梛雪、あと一人はやりそうな奴いるんやがな」
「追い詰められたらやるだろうけどね。それより説明があるなら早くしたほうがいいよ」
「それもそうやな。まあこれだけ世界を構築しているから使用しやすい形式ファイルを利用しているんよ。ただいくら私とてそこまでのあほちゃう。きちんとそこにアクセスするためのロックをかけているんよ」
「ああ、だから一回はじかれたのか」
「おかしいんよな。はじいたPCには破壊ウイルスを飛ばすようにしているんやが」
「そこはあれだ。私の作成したウイルスバスターのほうが強かったってだけだ」
「流石は朝月レベルというかなんというか…」
「え?どういう意味なのこれ」
もういいわよ何言っているかよくわからないし。
こちとらちょっと前までスマホすらなかったというのにパソコンなんていう不動の精密機器を持ち合わせているわけなかろう。
てか本当にパソコンのデータ上でこの世界を作成しているのね。
今までなにも違和感なく生きていたため全くそうは感じないがおそらくこいつらが言っているので本当だろう。
「ま、ええわ。後は好きにやっとき」
「んじゃ帰るね。お邪魔したね」
「え?ファイルロックとかしなくていいのか?」
「その辺は大丈夫や。私なんかよりよっぽど腕がいいあほがいるさかい」
「なにそれこわ」
会話を切り上げて雪梛が指を鳴らすと目の前から二人がいなくなった。
恐らく指鳴らしをトリガーに選択して亜空間生成を行って瞬時に閉じたのだろう。
「…というわけだからこれから頑張るか…」
「おかしいな、やばい世界線から逃れたと思ったらあっち以上にやばいかもしれないぞ」
「てかそっちの私たちはどうしたのかしら?」
「互いに切りあって同時に死んだよ。マジお前らふざけんなよ大型三体に囲まれている中そんなことしやがって」
「そっちの責任を転嫁しないでくれ。てかその状況でよく死ななかったね」
「まだやることがあったからな。なさずに死んだらさすがにやばいし」
またしても謎の伏線が来たわね。
これはきっと忘れた頃回収されてるだろうし今は放置でいいわ。
急遽始まるエンジニアの来訪に空中都市の再建。
波乱万丈の日々はどうやらこれからのようね。




