初回と変わらない新鮮な栄養として私に満たされる満足感を与えてくれる
下山をして私たちは一応魔王城を訪れに行く。
もしかしたら別の何者かが魔王としてこの地に君臨している可能性があったので確認というわけだよ。
灰色のいつもの木が生い茂っており私たちの目に優しいというかなじんでいる景色が一面広がっている。
やはり今までの異世界は色彩が鮮やかすぎたのだ。
私たちみたいな色の抜けた腑抜けたやつにはこのぐらいでないと前が見えぬというもの。
「来ているわね。前と左と斜め裏よ。初級かしら」
「任せんしゃい」
しゃぁ戦闘じゃ。
愛用しているナイフをもって相棒を見て自然体を…なんで発動できないんだ!?
仕方がないので普通に走り出して能力確認だ。
昨日の中級をみるに前の水準なんてあてにならないな。
とんでもないインフレが起きているがそうでなくては面白みがないというもの。
飛びかかるこいつの顎からいったるわ!
下から繰り出されるナイフが中点を穿ち斬り始める。
そして骨に当たると同時に反作用の流れで回転運動に派生して脳天一丁入ります!
横から来るやつは相棒に任せてナイフと骨を壊しながら即死を確認する。
ああ…整いました。
目から光が失われて視界が気持ち暗くなる。
そして相棒の背中が入り込んできていいねその背中に飛び込みたいです。
「特性が前と変わっているわ。気を付けて立ち回って頂戴」
「おk」
背後から迫る攻撃を避けつつ下方向、次いで正面から繰り出される攻撃を回避して隙を探る。
確かに前の時とは比べ物にならない強さを有しており動きの癖や攻撃時の最高加速地点のが変更されている。
まあ、気持ちよくなっている私には特段の問題点にならないんだけどね。
加速地点が変化しようとも急所に入る前に離脱してしまえば問題がないということよ。
とはいえ復活能力がおそらく失われている現在、極力のダメージすらも避けたいところだ。
相棒が一体の肩をついた瞬間に背後からナイフを突き刺し一気に心臓へと到達させる。
最後の一体は相棒に任せて切り取りするとしようか。
流血趣向に加えて、いつからか解剖癖も発症しているようだ。
ひたすらに生物を形成する内臓を切り取っては床に並べて内側から破壊をしていく。
せっかくなので可能な限り大動脈や大静脈、歯茎とか脳みそとかも並べてみた。
「終わったわ。最高の気分よ」
「奇遇だね。私もだよ」
血濡れた相棒を見てから魔王城のほうに行くとしようか。
考えてみれば、いままで何度も相棒のそういった姿を拝見してきたにもかかわらず飽きることがないというのはすさまじいよなぁ。
同一の事象から得られる物質は耐性という毒をもらって量が減るはずなのだがそうならない。
初回と変わらない新鮮な栄養として私に満たされる満足感を与えてくれる。
もしくは喪失感なのだろうか。
まあ、どちらにせよどうでもいいか。
私たちは並んで灰色の世界を歩く。
なんだか別作品の影響を受けているかのような影響を感じているがそれは気のせいだろう。
干渉が拒否されているこの世界では文字通り、私たちの再スタートなのだから。




