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殺したいほど愛してる  作者: 雪梛


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問題ないわ。あなたが可愛らしいあまり頭が沸いただけよ

「…い」


「おーい」



ん?ああ、いつもの場所かしら。


この子の呼びかけに応じるために起き上がってから周りを確認する。


場所としては第一支部付近であるだろう。



「随分と早起きね。あれからどれぐらいたったのかしら?」


「あれ?あれってなんのこと?」


「え?」



だって雪梛にやり直しみたいなこと言われてこっちに飛ばされたんじゃない。


無論それをわかっているならそんな返しをしてくるわけがない。



「少し待って頂戴、記憶の違いがあるかもしれないわ」


「急に物騒というか嫌な話になってきたなぁ。ちょいと疲れすぎじゃない?」


「そりゃ疲れるわよ。魔力の習得をしようと鍛錬積んでいたら変なことに巻き込まれるしで」


「魔力?マジで大丈夫か?」



面倒だわ…つまり雪梛との関連、異世界に関する情報が抜けているというわけか。


ということはこういう状況を作ったらどういう結果を得ることができるのかを楽しんでいるというのがわかるわね。



「とりあえず休みましょうか。第一支部に戻るわよ」


「おいおいしっかりしてくれよ。支部は全て壊滅しただろ?」


「え?あ、そっかエンジニアと雪梛がいないから設備が整わなかったのか」



となると魔王城すらあるのか危ういわね。


じゃあ山の上で寝るとするか。



「じゃああの年末に過ごしていた山で寝るわよ」


「はいよ。なんかちょっとずれているらしいからそこで情報を合わせようか」


「助かるわ」



そういやハードモードとか話していたわよね、魔物が強化されてるのかしら?


前回の水準は攻略したから上げてもう一度、なんだかインフレが進むソシャゲみたいね。



「前方から中級が来てるよ。戦える?」


「もちろんよ。始めようじゃない」



なんでかまだ持っていた刀を抜いて中段構え。


見た感じこの子はナイフしか持っていないわね、あとでデバイスも確認したほうがいい感じかしら。


視認距離まできたので見たところ通常個体のようね。


欲望は発動してないのでゆっくりと歩き出して感触を覚えつつ、迫る肉体に刃を合わせるっおも!?


即座に脱力を行い回転運動に派生させつつ気配を読む。


まともにやり合ったら死ぬわよこれ。



「ちょっと失礼するよ」


「いっ」


腕の表面が斬られて思わず声がもれてしまった。


だがこの子のステータスは知っている通りのものね。


移動速度から振り方、何から何までいつものこの子の動きだわ。


基礎体による移動で背後にいき魔物をこちらに吹っ飛ばしてきた。


相棒として、期待に応えぬ訳にはいかないのよ!


瞬時に脳内で場面を生成することにより自然体発動。


納刀直後にナイフを抜いて、刃を押し付けながら前に全力で押す。


きたきた!久しぶりの感覚よ!!!


皮膚という繊維の層を押しつぶして血管に到達。


壁に亀裂が入ると同時に液体が内側から破壊を開始。


血液を咲かしながら前方に飛んでいったようね。


無論ここで追撃をしないほど甘ちゃんになった覚えはないので鈍器とかしたナイフを脳天にぶち込む。


いいわ!骨を砕く感覚から肉体を侵食する感覚、全部が久しいはずなのに濃密に思い出せるわ。


これまでの反動があったせいか一瞬にして目が完全に虚ろとなって、ただひたすらに衝動が湧き出てくる。



「いつにも増してノッてるねぇ」


「当たり前よ!全身きざんだ末にばらかしてやるわ!」



すでに持ち替えていたナイフが肩を突いて、肘、背骨、鎖骨…


手が止まらないわあはははははははは…


致命的部位を避けつつただひたすらに手が進む。


ご飯が進むおかずみたいな感覚ね。


損傷が激しくなったところでこの子が胸部分を一気に開き内部を露出させる。


血濡れている臓器を切り取りながら、噛みついてきた口をナイフで縦に斬る。


怯んだ隙にまた臓器を摘出して最終的に心臓と血管だけが残されていた。


「あーらら。アドレナリンが出すぎて出血に気づけなかったよ」


「やばいわよね、あ、私も出てた」


「頭だよ!?大丈夫!?」


急に視界が赤くなったと思ったら頭部の損傷箇所から発生した血ね。


ちょっと前まで死にまくっていたからか、致命的部位の回避が鈍くなっているわ。


もしかしなくても死んだらアウトだろうからコレからは気をつけないと。



「問題ないわ。あなたが可愛らしいあまり頭が沸いただけよ」


「そう言ってもらえるのは嬉しいんだけど本当に大丈夫?結構出てるよ?」


「まだ死ねないから大丈夫よ。最後はあなたを斬って私も死ぬって決めてるから」


「そこは譲れないよぉ。私が斬ってから死ぬんだから」



とりあえず止血をしてからにくを少々持って移動を開始。


もうすっかり日も落ちているようね、なんか暑くなってきたし。


まえはこのぐらいの時期でももっと涼しかったと記憶しているがそんなことないらしい。



「あついねぇ。暑すぎて身体が溶けそうだよ」


「そんなに暑いかしら?確かにさっきのあなたを見ていたら身体が熱いのだけれども」


「それは意味合いが変わってこない?」



くそう、いったいどれぐらい記憶が残されているのか…それと私も記憶が改ざんされているのかしら?


この子が無自覚的にそうなっているように私も無自覚的に何か主要な記憶を失っている可能性は捨てきれないわね。


そんなことないと思いたい…ええ、覚えているはずきっちりと。



「また考え込んでいるね。相棒兼恋人である私に隠し事なんて許さんぞ~」


「確かに書く仕事はしているけれども隠し事はしていないわよ」


「ん?…ああ、書く、仕事か。また随分と奇怪な言い回しを思いついたね。一本取られた」


「たまたま誤変換で出てきたのよ」


「どんだけ回転速度が速いんだよ…」



作者は分からんと。


さて、ようやくついたから適当に火を起こして肉を刺す。


ごうごうと燃えている火が私たちの記憶をむしばんでいるように見えるのは流石に気のせいだろう気にしすぎだろうそうに決まっている。



「懐かしいね。前に肉を焼いてから半年ぐらいかな?」


「そう考えると案外短いものね。あんだけ寒々としていた空気が解けていくかのようにあったまってきたわよね」


「関係性と比例してかな。やっぱどこも暖まってくるね。こりゃ雪と梛木と無無も湧き出てくるんじゃないか?」


「誰かしらその女は」


「え?」


「え?」



え?誰だ……

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