そりゃあれよ。しぶとさに定評がある雪さんだからよ
「ふっふっふ、あたいの足技、見さらせやー」
「言ってる場合じゃないって!死んじゃうから!!!」
これクマじゃないわよね?何かしらこの生物は!?
確かにデカいことは想像していたけれど手足が合計六本とか聞いたことないわよ!
「雪!お前の好きな強者だぞ。存分にぶちまけてくれ」
「いやよあんなの!強者じゃなくてcrazy playerじゃない!」
「落ち着きなさいー。手が二本多いだけじゃないー」
「「そこが問題なんだろうがっ!」」
「えぇ…」
うわこっち来た。
自損しない最速で化け物の横を駆け抜けつつナイフを当てって硬!?
私は鋼鉄でも切ってるのかしら?
仕方がないので軽く足を浮かせて回転運動に派生させてからすり抜けを終える、硬化変異が激甘に感じるわぬ。
ある意味異世界感を味わっているが危険と同席はいただけないわよ。
「くぅらえ〜。ウバッチョ!」
「は?いや強!?」
静樹が出した赤いレーザーが腕を一本貫通させる、わかっていたけれど作者強すぎよ。
「ここで現るは雪を溶かす少女!」
「溶けて霧散すんな帰ってこい」
アホが行ったし私も参加よ。
「そこに水さすは痛ぶる少女!」
「え?私も続かなきゃなの?」
狙うは雪よ!
「来んな帰れ!?」
「そこに来たるは荒ぶる少女!」
「やめなさい三体一は卑怯よ三位一体よ!」
熊の引き裂き、私の袈裟斬り、この子の横薙ぎが全て別の方向から雪に打ち込まれる。
決まった、これは最高の気分ね。
斬り始まったことにより欲望が解放されて移動速度が急上昇する。
なるほど、そういう原理で動いているのね。
毎回発生していたあの高速移動は体内の波長を読み取って無意識下による最適化を行っていたと。
とりあえず静樹が空けた穴に刀の切っ先を入れて上げる。
流石に内部からの侵攻には耐性が無いようで刃が進む。
腕の半分を落とすと同時に左から迫る腕をよけようと思ったら雪みたいな急加速が発生した。
とりあえず身体を進行方向に回転して顔直撃から反らしぶっ飛ばされる。
いた、ぐはぁ、ぐえぇ…
まさか相手に連鎖されると思わなかったわ。
悪態をつきながら肉体を起こして全体を見る。
雪は戦闘不能、私が遠方であの子と静樹が応戦中。
人数は減ったがあのダメージ量ならあの子だけでも問題なさそうね。
「全く、死ぬかと思ったわよ」
「なんで生きてんのよ三方向から攻撃だったのに」
「そりゃあれよ。しぶとさに定評がある雪さんだからよ」
案外説得力あるわね…
「おいお前ら喋ってないで戻ってこいしんどいって!うわぁなんか出してきた!?」
「うぉー!珍しく魔法を使う個体ねー」
「待て待て死んじゃう!あちょ、ま!飛び込みじゃ!」
平行移動で相棒回収、危なかったわね。
背後から迫る飛来物は風を感じて避け続けながら回転運動を開始。
いくわよ!
「え?ここでユニット技やるの?」
「茶番は終いにしましょう」
あ、制御難しいわ!?
横ベクトルのエネルギー介入により遠心力のかかった莫大エネルギーの操作が!やばい倒れちゃうわ。
もういいヤケクソよ!
お姫様抱っこしてたこの子を離して横方向に向いたまま、靴の裏をぶっ叩く!
「わぁばか!!!」
やばっ!y座標の移動範囲上げすぎた。
またたく間にあの子が星のように、光はせずに地面に叩きつけられた!?
「nice try…」
ああ、そういうことね理解した。
刀を下方向に伸ばして頭部を切り裂き骨に当たった途端に円運動に派生したのね。
地面にめり込んでいる相棒が血を地面に染み込ませながら寝ている…死んでないわよね?
抜くか、よっ…?
あれ?抜けない。
「雪と静樹、この子抜けなくなっちゃったから手伝って頂戴」
「窒息するんじゃ無いのかしらー」
そレはやばいわね、かくなるうえは…
持ってくれ私の身体!
脱力からの一点集中解放。
繰り出された拳がこの子の真隣を穿つ。
「ん!?んーぅだぁあ!!!」
「あら、自力で出てきたわね」
「死ぬかと思ったよ。前面の骨は死んでるけど」
そんな状態で動く相棒も大概というかなんというか。
「じゃあ依頼も終わったし帰りましょうかー。報告はこっちでやっとくから先に行ってていいわよー。楽しかったかしらー?」
「これなら大富豪してたほうがマシだな」
「チェスのが良いわ」
「じゃあ私は一人で詰将棋を」
一人でやるのか…
まあ確かに大層頭は使いそうで案外楽しいかもしれないけれど。
平地に吹き抜ける暖かい風、どこか暑くも感じるが温度差で涼しくなっているだろう。
冷えた世界と溶けた世界、数多ある世界を呼び寄せる地で少女たちは何を得て失うのか。




