難易度は上級、制限時間は無制限です
なんとなくで歩くこと数十分、なんか施設に着いちゃったぞ…
見た感じ技術部の施設が外に露見していたらこんなんだろうなぁみたいな雰囲気を感じる。
いやなんかハイパーなテクノロジーを感じるとかじゃなくてあえて小さく溶け込むみたいな。
「あれ?こんな場所に来るなんて珍しいね。何か用があるの?」
「いやなんか歩いてたらここに来ちゃいましたんだが…」
やべぇ初対面と話すの久々すぎて変な敬語になっちゃったぞ!?
「歩いてたら?それはまた面白いね。後ろを見てご覧」
「後ろ?ってなんじゃこりゃ!?」
おいおいいつから私は登山家になったんだ?
見た感じ木の根っこが飛び出しているとかのレベルではなく岩の突出部分を掴んで上がらねばならぬ場所にいた。
「面白いねあなた。そういや自己紹介がまだだったね。失礼した」
「いやお構いなくというか正直浮遊しすぎてやばいていうか」
「光奈っていうんだ。あなたは?」
ず、随分とマイペース的な人だな…
「私は雪眼。訳あって別世界から来たものだ、である?」
「作文の締めかな?それはそうと異世界か」
ここまできて実はてんちょうの知り合いってことはないだろうな、となると間接的な関係者か?
「ちょうど前にも異世界から来た人がいるんだよね。名前は」
「雪梛」
「…つまり作者の関係者か。せっかく出しお茶でも飲まない?」
なんか怖いなぁ光奈さん?ってやつはどこまで見てんだ、というよりどこを見てんだ!
なんも反応せずに前方施設に招いている…読めねぇ…
私は結構苦手なんだよこういうタイプの人。
まあいかないわけにもいかないので文章をややこしくしながら中に入る。
「気にせず上がっちゃって、ああ靴は脱いでね」
「そりゃもちろんよ」
靴を脱がない文化が別世界にはあるのか?
中はとてもシンプル…というか全ての機能がこの部屋に集結している。
キッチンはもちろんトイレから風呂まで扉一枚あるが繋がってるなぁ。
「雪梛と知り合いということはこの世界に魔法を習得しに来たのかな?」
「お察しの通りってやつかなぁ。つい先日にその主題目である魔法習得が困難と判明したけどもね」
「そりゃまた珍しいタイプだ。と言われただろうね知らんけど」
「知ってるのか知らないのかはっきりしてくれ…」
「悪いね。いや別に悪気があるわけじゃないよ?さっきのは、ただそうだろうねってだけの意味合いだった」
「怖いわなんだその強キャラムーブは」
ふふ、と笑いながら紅茶を飲んでるし…紅茶!?
周りで飲んでるやつ居なすぎてびっくりしたわ。
ほかにもっと驚くところあるだろうと私自身思うがな。
「別に強キャラじゃないんだけどね。私なんかは」
「そういわれても残念ながら強さが見えてんだよなぁ」
「あれ?観察眼は使えないんじゃなかったっけ?」
「っていうはったりだったがまんまとかかったな」
そういわれた瞬間光奈の表情が一瞬だけ歪んだ。
ふっふっふこれが雪梛直伝のブラフ術よ教わってないがな。
とはいえ実際強そうというか読めない気配を感じていたので強いだろうとはわかっていた。
多分強さがばれたことに対して反応したのではなくブラフに掛かってしまったことに反応したのだろう。
「あんまりそういった言葉遊びは得意じゃないんだよ。私はしゃべるタイプではなく観察したり考察したりするタイプだし」
「その割には初対面の私をよく家まで案内してくれたな…」
どういう基準で物事を判断してんだよ…
少々不思議な少女とそれからも時間を過ごした。
あら?あの子はどこ行ったのかしら?
気が付いたら相棒が消えていたわ不覚…
まあ町を散歩でもしているだろうプライベートタイムを尊重し合うのが私たちの関係性だし私もゆっくりしているとしようかしら。
「暇そうですね」
「あら梛木、あなたも暇そうじゃない。雪はどうしたのかしら?」
「朝月さんと一緒にどっか行ってしまいました。多分またしょうもないことでもしているのでしょう」
確かにそれは容易に想像がつくが全員からそんな印象を受けているとは雪も残念な人間一歩手前といったところかしら。
「せっかくなので一緒に数独でもやりませんか?」
「数独…確かボックスと縦横で1~9を作成するゲームだったかしら?」
「ですです」
「良いわよ。ばっちり組み上げてやるわ」
梛木が雪梛からもらったノートPCを起動して画面を開いた。
そういえば当たり前みたいに接続しているけれどこれどこから電波をもらっているのかしら?
「難易度は上級、制限時間は無制限です」
「まかせなさい」
さてまずは初期の確定位置をって数字すっくな!?
ちょっとまちなさいこれ本当にクリアできるのかしら?
「まずはここですね」
「え?」
なんか私から見たら全然埋まらなさそうな場所が埋まったのだけれども…
恐らく数字を直線的に見ただけではなくルールを利用して確定位置を割り出しているわね。
「そしたらこっちと…そっちが入ります」
「ふむふむ」
一体どれだけこのゲームをやりこんでいるのだろうかこの娘は…
それから私の出る幕もないまま盤面に数字が埋まってしまった…
「さあ、出番ですよ禍雪さん!」
「ん!?ああ、任されたわ!」
脳を高速回転させてすべての枠と列とを確認していく。
時間にしておよそ3秒であっただろう、これは…!
「完璧よ!」「あっここ違いました…」
え?
静寂に包まれ二人の少女が互いに見合っているなか針が進む音だけが鳴り響いていた。




