おや、この子の様子が…
恋人らしいことがしたい…そうは思わないかしら?
魔法使い編とか言う章タイトルみたいな世界に長期滞在が決定した私たちは久しぶりに亜空間にいた。
というのもてんちょうによって生成された空間だけあって何故か私たちの家があるのよ…受け入れ始めてる私たちも異常が正常へと変わっているのかもしれないけれども。
他メンツは外出中、一つ屋根下に少女二人、何事もないわけもなく…!
「何そのストーリーは…というか少女二人じゃ文面化する程の出来事起きないだろうに」
「いいじゃないたまにはイベントを入れても」
今更だが私たちは作者権限によるイベント作成はしたことないわね…たしかこの子は渡された直後やろうとしていたけれど。
せっかくやるなら全員がドン引きするような、互いの趣味を全開にしてためらいのない一撃を放ちたいわね…
「そんな事したら現場が酷いなんてレベルじゃ済まなくない?」
「そうかしら?互いの肉がぶつかり合い体液が混ざり合って光る。内部すらも手中に収めながらうっとりしつつ口付けをする2人の少女…うん、素晴らしい愛の結晶じゃない」
「素晴らしい事故現場だよ。絶対骨見えてんじゃん、しかも臓器を握らすなよ」
「やっぱり胃袋をつかむのは大事って言うから」
「物理で掴むな料理で掴め」
「臓器を吐かせる料理か…」
「変な開発しないでね?」
「開発するなら私の身体を?」
「んなセリフ言うか!寿命なくなった時点で開発済みだわ!」
なんだか認識のずれを感じた気がするがとりあえずいいか。
冷えた水を用意して互いに正面、ではなく隣に座るいや膝のうえでも歓迎よ!
聞こえていただろう欲望を無視してこの子は隣にちょこんと座る。
ちょこんと座るなどと表現したがこの子それなりに大きいのよね。
「どうしたそんなにじろじろ見て」
「いつものことよ」
「確かに」
環境音が発生しないこの亜空間で沈黙の時間が流れ始めた。
秒数にして10秒弱しかしその時間は決して居心地が悪い等ではなくかえって心地よさやリラックスを与えていた。
一定以上の信頼関係になると沈黙すらもコミュニケーションの一つとなりえるのかしらね。
「さて、本題というわけじゃないけどあれについて話そうか」
「二次元を三次元として遊ぶ話かしら?」
「そうそう、でもてんちょうがこの前ここは二次元って言ってたけどそうしたら創作物は何次元という判定になるんだ?」
「どうでもいいわよそんなの。あなたはどう感じるかしら?」
「当分は無理だろうねぇ。私たちは感覚を信じて欲望を発動していた。それは、一度信じたものを肯定しずらいという固定概念的なものと類似しているからね」
「だからこその長期滞在…具体的な機関とか想定できるかしら?」
「んー…三か月程度から一年ぐらいになるんじゃないかね実戦投入できるのは」
なるほど、そういやこの世界には魔物などの殺してもお咎めがない生物がいない…ん?
つまり欲望の展開を限りなく制限される…まずくないかしら?
「欲望の問題はどうにかするしかないよなぁ。それこそ本当に互いで欲望を消費できるようにする?」
「その段階は中毒エンドよ?抑制の方法を思案するしかないわ」
なるべく無秩序な要素を肉体から減らしておきたいものね、でもそうするとこの子がバグって攻めてくることがほとんどなくなる…うーむ。
「抑制か。考えてみればそれを試そうとしたことないね。強制でなければ暴走しないとは思えないけど」
「それもデカい命題ね。とりあえずこの魔法使い編の世界で総洗いといこうじゃない」
「そうだな。釣りもできるしめんたいパークもあるし」
「大洗じゃないわよ?」
しかも名前しか知らない場所じゃない話しか聞いたことないし。
前に出た大正デモクラシーやスターリンもそうだが大半は雪梛たちから聞いたもので語感だったり曖昧な知識で使用している。
「とにもかくにも今はゆったりしようぜ相棒〜」
「おや、この子の様子が…」
なんで酔ってるのかしらって酒!?
流石は異世界水道から酒が出てくるのね…そんなわけなくないかしら?
現に私のは水よ。
「ほら〜禍雪もいっぱいやらんかーい」
「落ち着きなさいまだ慌てるような時間じゃない」
落ち着いて考えてたらこの子急にコップ一杯一気飲みしやがったぞ!?いやそこじゃないなんで酒が増えた?
「楽しそうだね。作者で酒飲むやつなんかいないから耐性の調整が入ってないのか」
「おー雪梛。お前も飲む?」
「これはどうも」
起き上がってこの子は雪梛のほうに行ってなんかキスし始めた!?
流石は雪梛と言ったところだろうか凄まじいことに全く動じずいや離れなさいよ…
「ぷはっ。うまい?」
「キスの技術か酒の話か唾液の話かで変わってくるから答えづらいね」
「何を言っているのかしらこの娘は…」
前2つはともかくとして唾液の話って何言ってんだ???
こんなくだらないと一蹴されるであろう会話に何故か私の頭はフル回転を発生させて考察へと入り込んでしまった。
一番最初のキスの技術だか言っていると言うことは判定できるほどの経験を持ち合わせているということかしら?
それか軽口のような冗談なのかいやまて雪梛の恋人は香澄であることから百合属性があるのは間違いないつまり香澄からの猛烈なアタックにより得た経験がある可能性が大いにある。
そして酒はどうでもいいが唾液の話ってどういうことかしら???
うまいかの話についての返しであるため私の語彙のない頭では味しか出てこないわよ!?
つまり雪梛はとんでもない無表情キス魔というわけねQED証明完了。
「早合点は良くないよ禍雪。私別に百合?レズ?じゃないしキスなんか香澄としかしたことないよ」
「したことはあるのね。まあ私たちもしているけれど」
「どうしてこうも香澄と禍雪は相方を襲うのかね…」
話の流れおかしくないかしら?
そう思った瞬間雪梛が指を鳴らし、同時にこの子が倒れた。
「ただの気絶だよ。昼間から酒とは大層な状況下だけど」
「いやおかしいのよ。なんか水道水を汲んできたらこの子のやつだけ酒だしなんか酒が無から生成されたし」
「その生成は私が来たタイミングかな?」
「そうなのよ。ほんとジャストタイミングだったわ」
「じゃあ犯人は朝月と雪だね。理由は私がいるときはその世界にいる作者の権限が大幅に制限されるから。例外はてんちょうと朝月だけだよ」
なんだか見えないわね…
「てんちょうはわかるのだけれどなんで朝月もなのかしら?」
「そっか、まだ話していなかったね。朝月はてんちょうが最初に創った世界の作者だからだよ」
「え?」
「いや、え?って言われても返しようがないけど」
キーパーソンもいいところじゃない。
「加えて既に出た情報かもだけど私と相棒の香澄、朝月、てんちょうは原初の世界出身判定になってるよ。つまりあの世界には作者が4人も集まっていたんだ。過去にも先にもあれほど同一世界から作者が出ることなんてないだろうね。せいぜい二人が最大値だろう」
確かに私たちの世界も私とこの子が作者であるため最大値の二人になっている。
いやそこも大事だけれどそれより何故雪梛が来たのかしら?
「ちょうど時間が出来たから様子見ってやつだよ。それに全ての世界で初出の情報があったからっていうのもあるけど」
「あなたの概要かしら?」
「あんなくだらないものが私の概要なら今すぐ書き直す必要がでてくるね。そうじゃなくて三次元と二次元の話。まあ特段それについて議論や考察、事実確認をするつもりはないけどね」
つまりこの世界に来て雪梛自身の手でその情報を書くこと自体に意味が生じるというわけね。
ならばタイミングや話が分かるわ。
「そろそろ昼の時間か。よければ何か作ろうか?」
「じゃあお願いするわ。あなたが来ているということはもちろん」
「私も来てるわよ」
でたわねキャラ被り。
雪梛の相棒である香澄が背後から突然現れた。
てかさっきの場面はいいのかしら?多分というか確実に読んだか見てたわよねキスシーン。
まあ本人が指摘しないのであれば良いのだろうそうねそうよねスルーするわ。
良し悪しのつかない絶妙な空間で団欒をしながら時を進めた。




