表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
何故現代兵器をファンタジー世界へ持ち込んではならないのか?  作者: ウォルギリウス
第二章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

22/49

名誉の負傷

悪巧み

今回の作戦の最重要人物である下級妃『能力解除』─各務響子は鞭を携えてほかの二人を待っていた。

「…いつに成ったらあいつらは来るのよ。こっちは一時間程度待たされているのよ?」


何でも『他者模倣』─真白エナは恐らくだが遅れてやって来るだろう。彼女はいつも通り気怠げにやって来て適当に誰かに化けて敵である君塚悠里の殺害と宝物庫の鍵の奪取を担当する。

しかし彼女が誰に化けてどの様に暗殺するかは気まぐれな彼女次第であり全く不明だ。


そして『千里跳躍』─早瀬凛は前回の作戦で一人女転生者を捕らえた褒美に散々神堂様の『寵愛』を受けてから来るだろうしまず遅れるのは分かるが一体いつまでかかっているのか各務には分かりかねるものだった。


龍の国から潜入が決まった際に携帯している粗末な食糧─カビの生えかけているようなパンを食べていた。

最近の龍の国は以前のような模本的な近代的国家ではなくテクノクラート達の脱出が相次ぎ、度重なる反体制派の反乱や富農達に対して実施した農地没取により経済は崩壊していて貨幣は機能せず戦闘部門の下級妃達が地方の徴税を巡幸として行い村々の略奪を行って歳入を賄っている。


他には銅鉱山や金鉱山へ強制連行したり人身売買や違法物品の取引場所になる事によって収入源を作り出した。


そのため食糧については生産は不可能な状態でほぼ手にはいらず、食糧事情は急速に悪化して貧農達は娘を奴隷業者に売り渡して何とか命を繋いでいる状態である。

この腐りかけのパンでさえ龍の国では貴重な贅沢品に成る。


「私だって神堂様の寵愛を受けたいのにいつもほかの下級妃ばっかりになる…!あの、あの夢を神堂様に見せてもらいたいのに…!!」


神堂はギフト『女性支配』で彼女達にとある夢を見せる。

神堂のギフト『女性支配』が見せる幻覚。

彼に止め処無く愛され彼との間に出来た子供を産み続け彼に身体を求められ続けるという甘美な悪夢。

正常な思考能力を奪われただその快楽を報酬として働く彼女たちにはもはや正常な判断力や思考力を失っていた家畜同然の存在に成り下がっていた。


「ごめんごめん遅れた〜、でそっちの首尾はどう?どんな感じ??」

呑気そうに真白エナは散策して来た結果手に入れた食糧を各務に分け与えた。

いわゆる平原の国では普通のライ麦パンだがこんなものでさえ龍の国では手に入らずこのような食品は上級妃達が召し上がる物だ。


「……あんた、それ」

「ん? 現地調達。平原の国って意外と食事が美味しくてさ〜」


なのにそれを任務で食ってる目の前の真白エナ(サボり魔)に苛立ちを隠せなかったが彼女が最もやる仕事が多く、怪しまれない人物に変装して警備兵の目を盗み宝物庫から財宝を略奪する任務を帯びている。

各務も早瀬も所詮彼女の補佐でしかない。


さらに遅れて『千里跳躍』の早瀬凛も現れた。

「す、すいません少し遅れました…痛た。神堂さまも執拗に求めて来ましたから仕方無いですよねぇ?」

首筋のキスマークを自慢げに見せつける早瀬。

自慢気に現れた早瀬に二人は舌打ちした。

彼女は宝物庫を2人が制圧したらギフトを使い宝物庫内に転移して君塚悠里の首と財宝を龍の国に持ち帰る任務を帯びている。


この任務では彼女も重要だが各務の鞭も君塚悠里の軍隊を壊し、そして彼を仕留める為の武器になる。

彼女の鞭は先端に刃が取り付けられており鞭を振るえば先端の刃が相手を切り刻み能力も問答無用で自動的に解除されてしまう。

その能力を使い君塚の軍隊を消し去り君塚の首もその刃で刎ねる予定だった。


しかし君塚悠里の警護は厳重であり

寝起きは必ずナディアに加えてつむぎと美羽が同衾していて三人に抵抗されると暗殺は厳しいものになる。

更に邸宅に潜もうとしても幻想動物園で創造された魔獣達に阻まれて忍び込めずやむなく各務は撤退させられたことが有った。

普段から3歩後ろに居るナディアが警戒していて各務の存在に気付いていたのか油断している時が無かった。


そんな経緯で三人揃った今回こそ成功させる為に作戦計画を練ろうとした。


三人の連携チームワークは最悪だ。

綿密な作戦会議などできるはずもなく、「エナが化けて潜入」「早瀬が転移で撹乱」「各務が鞭で君塚を殺る」という、アドリブ全開の特攻作戦が決行された。



そして早瀬は各務を王宮内に転移させ彼女は宮殿の庭の茂みの中に紛れ込み君塚悠里を待ち受けた。

彼さえ居なければ龍の国の政権はまだ安泰であり彼のような危険人物は排除しておくに限る。


「待ってなさいよ君塚悠里…!私の為にその命もらい受けてやるんだから…!!」


一方真白エナは早瀬が事前に捕らえていた侍従の一人を暗殺して紛れ込み王宮内に侵入、そして鍵を奪取しようとしたがアクセス権限が無くやむなくこっそりと鍵の保管されている玉座の間に侵入しようとした。

ヤドヴィガ殿下は今何処かにいらっしゃるようでもぬけの殻なのは既にエナは掴んでいた。


だが玉座の間に入った次の瞬間、首に極細の糸が巻き付き、視界が反転した。

「がぁっ、ぐっ…!」

「お久しぶりですね、真白エナさん。下級妃として下らない男に奉仕するのに飽きて今度は泥棒ごっこでしたか?成る程、確かにその能力を十全に活かすなら仕方ないかもしれないですね」


君塚に寝返った裏切り者の元下級妃桂木つむぎが現れた。

「ぐっ、桂木、あ、んた…何で…!」

「私は私の意思で君塚様にお仕えする事にしました。なら君塚様の為の行動をするのは当然でしょう?」


侮蔑の眼差しで以前の同僚の首をキッチリ絞める。

そして呼吸もままならなくなりそのまま真白エナは今大会から完全に脱落した。


「さようなら、哀れな下級妃さん。」

昔の自分への決別も兼ねて彼女を殺めた桂木つむぎは念の為死亡確認の為に首も断ち切ってから主の許へ歩みを進めた。


時を同じくして君塚は呑気に護衛をしているナディアに鼻の下を伸ばしながら彼女の肩を抱きいちゃつきながら時々臀部や胸に触ろうとする等のセクハラまがいの行為をしていた。

各務はそんな君塚悠里をハッキリと軽蔑しつついつ仕留めるかのタイミングを計っていた。


もし彼の事を少しでも詳しく知っていたらその表情も凄く無理をしている表情だと見抜けたしセリフも棒読みであるから罠と分かっていたと思われるが彼の事を全く研究していなかった各務は気付けなかったのだ。

後ナディアも満更ではない表情をしていたそうだ。


そして愚かな事に小便をする為にナディアと別れて各務の目の前で立小便を始めたのだ。

これは絶好の機会と思い鞭を構えそして勢い良くその能力解除の鞭は振るわれた。

「今だッ!!」

各務は飛び出し必殺の鞭を振るった。


その瞬間破裂音が宮殿内に響いた。

「閣下!」


『能力解除』の鞭が唸りを上げ君塚の臀部をピシャリと打ち据えた。

「ぐああああッ!!」

君塚が悲鳴を上げて血を流しながら倒れ込む。


君塚悠里は臀部を鞭で抉られて倒れ込み動けなくなった。


やった仕留めた! と各務が確信した直後遠くから乾いた銃声が響き彼女の右腕が弾け飛んだ。

「ぐっ……!?」

屋根の上からエレーナ・ソコロワ中尉がSVDで狙撃したのだ。

各務響子は腕を撃ち抜かれてそのまま悶え苦しんでいた。

だが、異変はそこから起きた。



しかし彼女は少しおかしな状況に陥っていた。

もっと正確に言うなら()()()()()下着を含む服が弾け飛んだからだ。


艦隊がそれなりに強力な構成でホクホク顔のクズネツォフ提督が沖合で海兵たちと演習をしていた。

そんな中突然全員服が消し飛んだ、すぐに演習を中止して全艦母港に帰投して状況について整理する為である。


現場で訓練中のロコソフスキー元帥率いる第1軍管区とメレツコフ元帥率いる第2軍管区の将兵達も一気に服が消し飛んだ。

数万の兵士たちの軍服が一斉に弾け飛び戦場は筋骨隆々なパンツのスラブ系(と少しの少数民族出身者の)男たちの博覧会と化した。

「な、何事だ!?」

「敵の新型兵器か!?」

「寒い!!」


ズラトポルで何か起きたことを察して兵士達は勇みながらその肉体に弾帯や弾倉を紐などで括りつけ王都に向けて進撃していった。


各務の鞭は君塚のギフト『軍隊創造』そのものに干渉し彼が創造した「軍服」という概念を全軍規模で強制解除してしまったのだ。


そしてそんな混乱の真っ只中でナディアは気絶した君塚へ向かって駆け寄り、ついでに腕を失い倒れている各務に火球でトドメを刺した。 

「閣下! ご無事ですか!?」

「い、痛てて……俺の尻が……尻が割れた……増えてるかもぉ…ぐぬぁ…」


君塚には治癒魔法をかけある程度肉のえぐれた部分を治療して駆けつけた桂木や雨宮と共に王宮内に有る診療所へ君塚を運んだ。


「ご主人様!しっかりしてください!!私がもっと早く駆けつけて居れば…!!!」

つむぎは己の不甲斐なさを恥じて謝罪するも君塚は手で制して

「いや…いい、あの転生者相手なら俺を餌にするかヤドヴィガ殿下を餌にするかなら俺を餌にするだけだったからいてててて」

やはり尻の激痛は残っていた

「同志閣下…申し訳ございません。私が居ながらまさかあのような攻撃を許してしまうとは」

「良いんだよソコロワ中尉。そう良いんだ、アイツは死んだんだし全て終わったんだ。それより、アイツの持ってた鞭はどうした?」



君塚は能力解除の鞭の所在について尋ねた。


「はいぃ…私の狼さんの一体に既に保管しています。」

そう言うと美羽は自身の影からその狼をワープさせてきて鞭を体内から吐き出させた。

「ああ、これだよこれ。これさえ有れば神堂を1回ギャフンと言わせてやれる武器だから今度アイツをこれでしばき倒してやりたいなぁ。ありがとう美羽」


そして君塚はふと尋ねる。

「そういえば美羽、3人目の下級妃はどうした?確かそいつも面倒なギフト持ちだったような気が─」

「それについては私からご報告致します同志閣下」


そこへヴァシレフスキー元帥が入ってきた。

彼もまたカーテンを腰に巻いた普段の威厳が消し飛びかねない程非常に際どい格好だ。

「その者についてはロコソフスキー元帥がズラトポルへ到着した際に既に同志雨宮に拘束されていたものの我々が到着した頃に再び脱走し、そして閣下がお眠りになられている間に平原のど真ん中を転移し続けていた所をメレツコフ元帥率いる部隊のT-80で討ち取りました。」


呆気ない最期を迎えた最後の下級妃には少しだけ同情するも危機が去ったことは確実であり、今君塚は少しだけ枕を高くしても良くなったのだろう。


君塚が安堵の息を吐こうとした時、ヴァシレフスキーが言いにくそうに切り出した。

「それと同志…一つお願いがございます。」

「何だ?言ってくれ」

「我々が着用していた軍服および装備品の一部は、閣下のギフトによって『創造』されたものでした」

「……ああ、そうだな」

「今回の攻撃でそれらが解除された結果、システム上我々全員との『雇用契約』もリセットされたようです」

「……はい?」

「つまり、現在我々数万の将兵は全員『無職』かつ『全裸』です。怪我が回復してから政務にお戻り次第全員分の再雇用契約書へのサインと装備の再創造をお願いいたします」

「う、嘘だろ……? 数万人分の書類……?それと備品の再創造だって…???」

君塚の顔から一気に血の気が引いて青褪めさせた。

尻の痛みなど比ではない途方もない事務作業という名の地獄の釜の蓋が開いた瞬間だった。

摂政閣下の悲鳴が王宮に虚しく響き渡った。

全員全裸のロシア軍兵士達が首都に向けて進撃している件について

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ