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緊急依頼の報酬

冒険者ギルドの解体場で狂闘牛バーサク・ブルの死体を

全てアイテムボックスから放出したアレクは

解体担当のカルロスに変異種を含む5体分は

パーティーで使うので別にしてもらうように

お願いすると解体場を後にした。


バルドからは、素材の買取は昇格試験の

結果発表と一緒に後日、行うことを聞いて

パーティーメンバーと待ち合わせしている

ギルドの休憩所で時間を潰して待機していた。


(今回は、アイテムボックスの《素材生成》

をバルド教官が一緒だったから使えなかった

けど今度からは大量に魔物を狩ったら

そっちで処理した方が楽だな)


1人でアイテムボックスの機能を活用する

手段について改めて考えているとやがて

買い出しを終えた仲間達が帰ってきたので

セシリアからの伝言を伝えて一旦解散し

夜に再度集まることした。



===============================



その後、いつもパーティーで食事をしている

酒場に一行が集まるとセシリアを待っている

間に昇格試験の結果発表と素材の買取が

後日に纏めて行われることなどを報告する。

飲み物や食べ物を注文しているうちに

仕事を終えたセシリアが合流してくると

旅の無事を祝う打ち上げ開始される。


「えーでは、《漆黒の魔弓》の昇格試験が

無事に終わったことを祝してお疲れ様でした!」


「「お疲れ様ー!」」


アレクの簡単な挨拶を済ませるとグラスを

合わせて乾杯し打ち上げがスタートする。

セシリアとアレクはワインを飲み、その他

の面子は果樹酒を飲んでいるとセシリアが

冒険者ギルドで我慢していた感情を爆発する。

元々離れた席に座ったセシリアがワイン

片手にアレクに詰め寄ってくる。


「寂しかったよーアレク君!全然受付に

来てくれないだもん!お姉さん寂しかったよー!!」


頬を擦り付けてくる激しいスキンシップに

慣れたように対応するアレクは空いている

方の手で“ガシッ!”とセシリアの顔を掴むと

距離を作りそのままワインを飲み始める。

パーティーメンバーも慣れた様子で苦笑い

しながら、その光景を見つめている。


「確かに久しぶりですね……この感じも。

セシリアさんは、最近お仕事の方はどうですか?

最近ギルドで何か変わったことはありましたか?」


くっついてこようとするセシリアを

落ち着けて隣の席に着かせるとアレクは

最近のギルドの動きを質問する。


「あっーもうーアレク君の意地悪っ!

まぁ、久しぶりに会えたからいいけど〜

ギルドの様子は、いつもと変わらないよ。

新進気鋭の《漆黒の魔弓》の名前が

少しずつ広まり始めたくらいじゃないかな?

ルシアさん達以来の早さで昇格してるから

注目されるのも仕方ないと思うよ?」


「そうですか……名が売れるのはいいですが

妬みなどで面倒事がないといいですが」


過去に逆恨みで命を狙われたことある

アレクは遠い目をしながら昔を思い出し

ながらワインを口に運んでいく。

そんなアレクを他所に陽気なカインが

今後の予定について話し始める。


「数日後にはCランクに昇格することは、

もう決まったようなものなんだろ?

これから《漆黒の魔弓》の活動はどうなるんだ?国外に出れるようになったし……

やっぱり国外で依頼を受けるのか?」


「国外か……私は国から出たことないから

少し不安かな?確か国によっては気温とか

気候とかも変わるもんなんでしょ?

大した装備の種類とかないから困るかも」


「ぼ、僕もお姉ちゃんと同じで国外は、

初めてで不安が大きいです……多分……。

でも、アレクさんとなら大丈夫かと……!」


そんな会話をしているとアレクがパーティー

の今後の活動について自分の考えを皆に

話し出す。


「一応、今後の予定を考えてるだけど……

Cランクに昇格したら《漆黒の魔弓》は

ルブルム王国の王都アルテスへ向かおうと

考えてるんだ」


「やっぱり国外にいくのか……それで

目的とか具体的なことは決まってるのか?」


「ああ、俺は《漆黒の魔弓》に今必要なこと

は装備の充実だと思うんだ……変異種との

戦いでも真正面から仕掛ければ俺達は

負けていた可能性が高い。

それを覆すためには個々力を高める意味でも

装備の充実を行っておいて損はない。

幸い、今回の緊急依頼と素材の売却で

纏まったお金が入るし余った素材を元に

装備を作ることもできる。

それにルブルム王国には優秀な鍛冶職人も

多くいるし知り合いもいるから安心して

仕事をお願いできるしね」


「じゃあ、私達の次の目的地はアルテスで

決定としてどれくらいの期間滞在する予定

なの?向こうで長期間滞在するなら拠点と

なる場所も必要よね?」


「期間は……そうだね、最長でも半年かな?

装備を作ってもらう時間・向こうで依頼を

受けてお金と素材を集めるとしても時間は

掛かるから。それから拠点については

以前にお世話になった宿にしようかと

考えてるけど……家を借りる案も考えてる」


カインとアマリアの質問にアレクが答えると

《漆黒の魔弓》の面々は今聞いた情報を

各自で整理して計画を考えて始める。

そんな、真剣なアレク達の元にセシリアの

悲痛な声が飛び込んでくる。


「……そんな……また長い間アレク君に

会えないなんて……お姉さん耐えられない!

これはもう、ギルドに長期の休みをもらって

アレク君について行くしかないのでは?」


「いえ、付いてこられても邪魔なので

大人しくギルドで仕事をしてて下さいよ……

別に帰ってこない訳ではないんですし

大人なんですから我慢して下さい」


弟にべったりの姉を軽くあしらう一連の

やり取りを見せられたミカエラが何故か

憧れの視線をアレクに送り、逆に恨めしそう

な視線をアマリアから向けられる。


わいわいと騒ぎながらも次の予定が決まった

《漆黒の魔弓》はCランク昇格が決まり次第

ルブルム王国王都アルテスに向かうことが

決定したのであった。



===============================



《漆黒の魔弓》とセシリアの打ち上げから

1週間後、アレクはギルドから呼び出しを

受けて応接室に向かうとバルドが待っており

Cランク昇格決定を報告される。

それと緊急依頼を受けた時にバルド自身が

提案していたギルドからの優遇措置について

説明を受けていた。


「それでは、こちらから提案できる優遇措置

の案を説明させてもらおう……今回の緊急

依頼を完璧にこなしたことで《漆黒の魔弓》

にはCランク以上の実力があると判断し

次の昇格に必要な100Pのうち50Pを与える

ことが第一の優遇措置になる。

次に緊急依頼で入手した素材を定価よりも

高く買取を行い利益をアレク達に還元する。

これがこちらから提案できる優遇措置に

なる。どうだろうか?」


「それで結構です。逆にこちらに配慮して

頂きありがとうございます!それと緊急依頼

の報酬と素材の買取はどちらで行いますか?


「ああ、そう言ってもらえると助かるよ。

緊急依頼と素材買取は解体場で取引内容を

確認した後で買取の受付で纏めて支払うから

まずは解体場へ一緒にきてくれるか?」


話を終えたアレクとバルドは、一緒に

解体場へ向かうとそこには疲れた様子の

解体担当のカルロスが2人を待ち受けていた。


「おう、来たなアレクとバルド。全て

解体は終わってるからギルドに売却する

ものを決めてくれるか?」


そういうと解体した素材の内訳を渡される。

狂闘牛バーサク・ブル1体分

狂闘牛バーサク・ブルの毛皮 金貨10枚

狂闘牛バーサク・ブルの角 金貨15枚

狂闘牛バーサク・ブル骨 金貨5枚

狂闘牛バーサク・ブルの心臓 金貨10枚

狂闘牛バーサク・ブルの睾丸 金貨20枚

1体 金貨60枚 全30体で合計 金貨1,800枚


結構な大金に内訳を2度見してしまう。

アレクは、驚きながらも必死に頭を働かせ

優遇措置の度を越した金額で買取ってくれる

バルドに心からの感謝を伝える。


「あ、ありがとうございます!ですが……

こんなに大金を頂いていいんですか!?

っていうかギルドは、こんな金額で買い取って

大丈夫なんですか?」


すると“ニカッ”と笑みを浮かべるとバルドは

心配ないと意味で自分の胸を強く叩いて

みせる。


「はっ!まったく問題ないだなこれが……

前にも言ったが狂闘牛バーサク・ブルは非常に高値で

取引させるからな。毛皮は防具からマント

防寒具とあらゆることに使われることになるし

角は高級品として貴族に人気ある。

骨に関してもその強度から武器や馬車などの

部品の一部として重宝されている。

心臓は、一部の者達に精力増強として

昔から取り引きされていて王都でも人気がある。

最後に睾丸だが……これは万病に効く

万能薬の素材になることから非常に高額で

取り引きされ近年は手に入りにくいことも

あって更に価値が上がっている」


狂闘牛バーサク・ブルの特性上、頻繁に

手に入る物ではないために市場に出回ること

があった時は買い手が一瞬決まるらしい。

アレク達から高額で買い取っても更に

高額で捌くことができるためにギルドと

しても損はないとのことだった。

買取金額とは別に緊急依頼の報酬として

金貨300枚を受け取ることになり

合計2,100枚を1度の依頼で得ることとなった。


それと自分達で使うように解体してもらった

5体分の素材は、そのままカルロスから

受け取りアイテムボックスへと押し込んだ。

その際に変異種の素材をなんとかギルドに

売ってくれないかと何度もバルドから

頼まれたが……何故か直感的に売ろうと

思えずに断ってしまった。

色々と惜しまれながらバルドと共に

買取受付へ向かって実際に金貨を受け取ると

重さで袋が破けるのではないとヒヤヒヤ

しながらアイテムボックスに収納した。


ついでに今後は長期間、王都を離れる予定を

バルドに伝えると意外にあっさりと

送り出してくれた。

Cランクに昇格したパーティーは国外に

出ることが多くなるから仕方ないというのが

本音だと漏らしたバルドと笑い合いながら

受付を後にしたアレクは休憩所で待機

していた仲間達と合流するとアレクの拠点

へと場所を移すのであった。


アレクの拠点へと場所を移した《漆黒の魔弓》は

テーブルにつきアレクの話を待っている。

アレクは黙ってアイテムボックスから

今回の報酬が入った袋を取り出して袋を

テーブルの上に乗せる。

“ズシン”と重たい音を立ててテーブルの上に

置かれた袋を皆が凝視するとアレクが

報酬の詳細を話して金額を言い放つ。


「ということで、ここにある金貨2,100枚が

今回の報酬になる!何か質問がなければ

これを4当分に分けようと思うけど……

それでいいかな?」


「いや、4当分にしても金貨525枚かよ……

まさか、こんな大金を1度に報酬として

もらうことになるとは……すごいな」


心からの正直な感想を漏らすカインは、

少し緊張した様子で金貨の入った袋を

見つめている。

そこでアマリアが報酬の分け方について

自分の意見を話し始める。


「ま、まさかこんな大金を見ることに

なるとは思わなかったけど……実は

ミカと相談して決めていたことがあるの。

今回の緊急依頼の報酬は、アレク・カイン・

私とミカで3等分でお願いするわ」


「3等分?いつも通りに4当分でいいんじゃ

ないのか?それだとアマリアとミカの報酬が

少なくなってしまうだろう?」


「それで構わないわ!今回の緊急依頼では

私は攻撃手段がなくて戦闘では役に立たなかったから」


「ぼ、僕も今回は3当分でお願いします!

戦闘ではアレクさんとカインさんに

頼りきりですし2人には負担を掛けてますので……」


「いや、そんな風に考えたこ……」


そこまでアレクが反論を言いかけると

カインがそれを静かに制止する。


「きっと、2人の中で納得できない点が

あって言い出したことなんだろう?

だったら俺達が横から文句を言うことじゃ

ないと思うぜ。

けど、アレクと俺は2人のことを本当に

頼りになる仲間だと思ってからそこは

勘違いしないでくれよな?」


自分の言いかけた言葉を、優しく言い換えて

くれたカインに感謝しながらもアマリアと

ミカエラに最後の確認するアレク。


「本当に3当分でいいんだな?今回は2人の

意見を尊重して言う通りするけど……

次回からは、しっかり4当分に分けるから

受け取ってくれよ?」


「私達の意見を聞いてくれてありがとう。

アレク、カインには感謝してるわ!

次回からは、しっかりと受け取るから

安心してちょうたい」


「は、はい!次回からはアレクさんの

言う通りに受け取りますので安心して

下さい!」


アマリアとミカエラの希望通りに報酬を

3当分にして1人金貨700枚を袋に分けて

手渡すとアマリアとミカエラは拠点を

後にした。

残されたアレクとカインは、先程のやり取り

について話し合っていた。


「さっきの話、カインは2人の気持ちが

分かったのか?俺には良く分からなかった

んだが……」


「う〜ん、全てじゃないけどなんとなく

2人の気持ちは理解できると思うぞ俺は?

きっとアレクに少しでも貰ったものを

返したかったんじゃないかな?」


「返すって何を?別に俺は2人に渡した

ものなんてないし貸してもないぞ?」


「そういうことじゃなくて……アレクは、

俺達が快適に冒険できるように環境を整えたり

リーダーとして中心になって作戦を考えたり

色々なことを当たり前のようにやってくれる

だろう?本当ならそれは1人やることじゃなく

パーティーメンバーで足りないところを

補完し合いながらやることなんだよ。

それをアレクに頼りきりになっていることを

2人は気にしてるんじゃないんかな?」


「………………」


「だから、まだ自分達ができないことを

やってくれてるアレクに対して金銭面での

負担を減らす意味での提案が今回のことに

繋がったんじゃないか?まぁ、俺は

オマケみたいなものだからえらそうなことは

言えないがな」


「そういう考えもあるのか……でも

カインもオマケなんかじゃないだろう?

こうやって俺の足りないところを補って

くれてるんだからさ」


「そう言ってもらえると俺もうれしいよ!

じゃあ、話も済んだことだし俺は帰るぜ。

またなアレク」


そう言いながら拠点の玄関に向かって

歩き出し手をひらひらと振りながら

カインは帰っていった。

1人になったアレクは、カインとの会話を

思い出しながらアマリアとミカエラ2人の

ことを想いながら独り言を呟く。


「もっと、仲間を頼ってもいいのかもな……」


自分達の描く未来のパーティーの理想の姿を

考えながらアレクは、次の冒険について

思いを巡らせるのであった。






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