↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
29/40

◇クラウスの微笑み(オスカー視点)

評価やブックマーク、ありがとうございます!

今回は歓迎会のオスカー視点の裏話です。

楽しんでいただけますと幸いです。

 生徒会室の扉を開ける。

 隣のカトリーナ嬢は緊張しているのか、ぎこちない表情をしていた。


 室内に足を踏み入れると、愛しいエリーがとても楽しそうに出迎えてくれた。

 まあ、私ではなくカトリーナ嬢に一目散だったけれど……。

 カトリーナ嬢を前にしたエリーはいつも以上にテンションが高い。

 頬を高揚させながら嬉しそうにしている姿は本当に可愛い。


 クラウスのやつがいったいどうやってカトリーナ嬢を懐柔したのかわからないが、彼女が参加してくれるおかげでエリーがとても楽しそうなので気にしないことにする。

 そしてどうやらエリーは、クラウスの『理想の君』であるカトリーナ嬢を本当の姉にしたいらしく、今回の歓迎会でもいろいろ工作しているようだ。


(何かを企んでいるいたずらっ子の顔をしたエリーもやっぱり可愛いなあ……)


 クラウスは筆頭公爵家の嫡男で、カトリーナ嬢は子爵家、それも没落寸前と言われたベイリー子爵家の長女で、さすがに身分の差がありすぎると昔は思っていた。

 けれど、まさか令嬢の力で陞爵話が上がるほどに栄えるとは誰が思うだろう。


 実際、ベイリー子爵家は、没落寸前から高位貴族と張り合えるほどに収益をあげ、ついには高位貴族に名を連ねようとしている。

 彼女が高位貴族になれば、クラウスにも光が見えるというものだ。

 まあ、それもあって、最近のクラウスはカトリーナ嬢に露骨にグイグイ迫っているように思う。


 のだが……


 当の本人には全く伝わっていない……。


(というか、答えをはっきり教えてやっても「そんなはずありません!」って全否定されるってなんなんだ!? マジでクラウスはいったい何をやったんだ!?)


 まあ、面白いから良いんだが……。


 そして、先ほどから何やらクラウスとカトリーナ嬢が声をひそめて何やら話し込んでいる。

 クラウスは実に楽しそうだ。


 少し前までカトリーナ嬢は向かいのカインたちを交えてみんなで楽しそうに会話していたのだが、彼女の表情が楽しそうになればなるほど、クラウスの表情が曇っていった。

 その変化にカインたちが気づかないはずもなく……。


 少し黙った隙に、クラウスがカトリーナ嬢を囲い込んでしまった。


(歓迎会だというのに、何をやってるんだあいつは……)


 しかも、カトリーナ嬢も満更ではない表情で、クラウスがとても嬉しそうだ。

 挙句の果てには、カトリーナ嬢がクラウスに何か相談事をしたようで……


(あいつのあんな爽やかで優しい笑顔、生まれてこの方初めて見たぞ! なんだあれ!? 思わず咽せてしまったじゃないか!)


 しかも、咽せた途端、二人の邪魔をするなとエリーに睨まれてしまった。


(ああ、でもでも怒ったエリーも無茶苦茶可愛い……!)


 そんなわけで、普段は見せない笑顔を惜しげもなく見せるクラウスに、正直背筋が寒くなった。

 だがそれは、私だけではなかったらしい。


 歓迎会がお開きになり、クラウスがカトリーナ嬢を馬車乗り場まで送ると先に部屋を出ていった後のこと……。


「はあ〜〜〜〜〜疲れた……」


 扉が閉まった途端、カインとオリヴァーそれにガリュースまでもが揃って盛大なため息を吐いた。

 私も変な寒気がようやく抜けたところだが。


「殿下〜〜!! クラウス様のあの笑顔はなんなんですか!?」

「あれを直視して、なぜカトリーナ嬢は無事なのだ!?」

「あまりの冷気に凍るかと思ったぜ〜〜〜!!!」


 最後のガリュースだけ少し違うが、皆大体思ったことが同じだったようだ。

 ガリュースはカトリーナ嬢の目の前に座ったせいで、クラウスの氷魔法の冷気をずっと浴びせられていたらしい。

 ヤキモチもあそこまで行くと流石に引く。


 それもまだ婚約どころか、告白もできていないくせに……。


「はあ……お姉様、やっぱり所作がとても美しかったですわ……。わたくしもあんなふうになりたいです」


 お茶をする間、可能な限りカトリーナ嬢を見ていたエリーは頬を染めて嬉しそうにうっとりと語る。


(なっ!? エリー!? 私にもこんなうっとりしてくれたことないのにぃ〜〜〜!! だが落ち着け。私がこの感情を押し付ければ、エリーの楽しい気持ちが台無しになってしまう。悔しいが耐えろ、私……!)


 若干、クラウスの気持ちがわかってしまうが、まあ私は婚約者だから許されるだろう。


「そういえば、エリー。カトリーナ嬢が明日シェラード公爵邸を訪問する話になっているようだよ?」

「え!? お兄様、そんなお話をされていたのですか!?」


 どうやらうっとり見とれていて、話の内容までは聞いていなかったらしい。


「ああ、明日もカトリーナ嬢とお茶をできるかもしれないね」

「まあ!! では、帰って準備しなくては!!」

「そうだね。今日も公爵邸まで送るよ」

「ありがとうございます、殿下」


 片付けを使用人たちに任せ、私たちは生徒会室をあとにする。

 果たしてカトリーナ嬢はいつになったら陥落するのか。

 そうなった時のクラウスがどうなるのか、今から楽しみで仕方ない。

お読みいただきありがとうございます。

オスカーはエリザベスを無茶苦茶溺愛しています。

これも『理想の君』であるカトリーナ嬢に憧れるよう、クラウスが教え込んだ結果ですね。


面白い、続きが読みたいと思っていただけましたら、ブックマーク登録や下の☆☆☆☆☆にて評価していただけると嬉しいです。

引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。