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歓迎会

評価やブックマーク、ありがとうございます!

楽しんでいただけますと幸いです。

 生徒会室に着いて扉を開けると、そこにはクラウス様をはじめ、生徒会役員の面々が揃い、すでに準備を終えていた。


(王太子殿下と一緒に来たのだから、完全に重役出勤状態よね。申し訳なさすぎる……せめて片付けはやって帰らないと!)


「お待たせして申し訳ありません。それに準備のお手伝いもでき……」

「お姉様!! 何も謝ることなどありませんわ!! わたくしがお姉様のためにやりたかっただけですし、お兄様だって同じですから! 何も気になさらないでくださいませ!!」


 私の言葉を遮り、ものすごい勢いで捲し立てて、エリザベス様に力説されてしまい、何も言えなくなってしまう。

 隣で殿下が笑いながら「ほら、だから気にしなくて良いって言ったじゃん」とこっそりつぶやいた。

 エリザベス様の剣幕に驚いていると、部屋の奥からクラウス様の声が聞こえてきた。


「エリー。カトリーナ嬢が驚いてしまっているじゃないですか。ほら、席に戻りなさい」

「お兄様……わかりましたわ。お姉様も、申し訳ありません。嬉しくてつい。さあ、お姉様のお席はこちらです!」

「ありがとうございます」


 クラウス様に叱られ、少ししょんぼりしつつも、叱られたところを私に見られたのが恥ずかしいとでもいうように、照れ隠しをしているのがとんでもなく可愛い。


(それにしても綺麗なお辞儀ね……洗練されていて他の仕草もとても美しい。美しいのに可愛いって、これはまさにギャップ萌えってやつね。男ならイチコロかも。さすが「悪笑み」の主人公だわ!!)


 そんなエリザベス様に手を引かれ、席に着く。

 なぜかその席は右にエリザベス様、左にクラウス様というとんでもない席だった。


(左右にシェラード公爵家兄妹って……え、待って、クラウス様の隣!?)


 そして、向かいに座っている三人は、コーレル侯爵家のカイン様、サイラス侯爵家のオリヴァー様、ソラント伯爵家のガリュース様。

 三人ともイケメン揃いな上に、名家の嫡男で、頭も良い。

 今年度は王太子殿下が在籍する関係で、私以外全員伯爵家以上の高位貴族で構成されているらしい。


(ここに私が居るって明らかにおかしくない!? それにいかにも乙女ゲームの攻略対象っぽい気が……というか、この三人『悪笑み』にも居たような……? カインって名前に見覚えがある気がする)


 まあ元々が乙女ゲームだから当然といえば当然かと納得してしまう。

 現状、私を含めて、生徒会役員は七名。

 そして、今年度の生徒会長はクラウス様が就くことが決まっているらしい。


「あ、あの、クラウス様。準備があるのでしたら、お声をかけていただきたかったですわ……」


「いえ、それはさすがに。領地から戻られたばかりでお疲れでしょうし、ましてやあなたは歓迎される側ですから。エリーからはあなたのために準備を手伝いたいと事前に相談を受けていたのです。ですから、何も気にする必要はありませんよ」


「でも……」

「気にせず、ぜひ楽しんでください」


 机にはアフタヌーンティーのように、軽食とお菓子が所狭しと並べられていて、紅茶の良い香りが漂い始めている。


「では、歓迎会を始めましょうか。王太子殿下、エリザベス、カトリーナ嬢、ようこそ生徒会へ!」


 ワイングラスではないので、特にカップを掲げるようなことはしないけれど、互いに目を合わせて少しだけカップを上げてから一口飲む。

 芳醇な紅茶の香りが口いっぱいに広がった。


「美味しい……」

「お姉様に気に入っていただけたようで良かったですわ。我が家で作らせている紅茶ですの」


 うっかり漏らしてしまった感想に、エリザベス様が満面の笑みで説明してくださる。


(え!? 公爵家で作らせている紅茶……!? ってことは、流通してない高級紅茶ってことでは!?)


「さすがはシェラード公爵家の紅茶ですね。我が家で飲んでいるものとは全く違って、果物のような芳醇な香りがしますわ」

「気に入られたのでしたら、いくつか贈らせていただきますよ」

「い、いえ、そんな、申し訳ないですわ!」


 クラウス様の提案を必死に止めようとしていると、反対側からエリザベス様がこそっと私に耳打ちした。


「お姉様、貰ってくださいませ。実はこの紅茶はお兄様が作らせたものなのです。きっとお姉様に褒められて嬉しいのですわ」

「え……?」


 思わず硬直していると、それに気づいたクラウス様が笑顔でエリザベス様に詰め寄る。


「エリー、カトリーナ嬢に何を話したのです?」

「別になんでもありませんわ。ただ、貰っても問題ないとお伝えしただけです」


 いたずらっ子のように笑うエリザベス様に、私まで思わず笑ってしまいそうになる。

 クラウス様は少し困ったようにエリザベス様を見ていた。


(え? ちょっと待って! さっきの殿下といい、エリザベス様といい、どういうことなの~~!?)


 そうして、私が心臓をバクバクさせたまま、一人一人自己紹介を行うことになった。

 もちろん、全員が知っている殿下は除いて。

 どうやら将来、殿下の側近になるメンツなのか、私以外幼い頃からの知り合いのようで、なぜか皆私に向かって自己紹介していく。

 その奇妙な状況に、少しずつ鼓動が落ち着いていく。


(……確かによく考えれば、高位貴族だけのお茶会があるし、そこで皆知り合っているのが当然で……やっぱり私がここにいるのはおかしいのよね。それに本来、『悪笑み』でここに居るのはソフィアだったはずだもの……)


 複雑な思いを抱きつつ、私は全員の自己紹介を聞いた後、自分の簡単な自己紹介を行った。


 自己紹介の後は、今期の生徒会で何を行いたいか、新たな行事を創設したいなどの話に花が咲いたのだけれど、そのレベルの高さに驚かされた。

 皆、志が高く、王国の未来を見据えていることが窺える。

 私も領地を改革してきた身としては、共感できることが多くて、話を聞いているだけでも楽しい。

 なんだか嬉しくて思わず相槌をうって頷いていると、隣のクラウス様と目が合ってしまった。

お読みいただきありがとうございます。

歓迎会はまだ続きます!

目が合ったクラウスのせいで、ドキドキ展開です。


面白い、続きが読みたいと思っていただけましたら、ブックマーク登録や下の☆☆☆☆☆にて評価していただけると嬉しいです。

引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

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