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◆チャンス(ソフィア視点)

評価やブックマーク、ありがとうございます!

楽しんでいただけますと幸いです。

「やったー!! お姉様が領地に行ったわ!! きっとしばらく帰ってこないわよね!」


 バタバタと出掛けていったお姉様を見て、思わずガッツポーズを決める。


「邪魔なお姉様がいなければ、オスカー様に会いに行けるわ!」


 わたしは急いで準備を整え、学園に向かおうとして、ふと気がつく。


(今は放課後だから、明日のほうがいいかしら……? それにわたしが学園に行ったと知れたら、お姉様が帰ってこないとも限らない……)


 神殿の転移陣がある限り、すぐに帰ってくる可能性を否定できない。

 つまりは、すぐに決行するしかない。

 しかも、家族や使用人たちにバレないように学園へ行く必要がある。


(ついに、魔道具の出番だわ! 服従の魔道具を使われた相手は、その期間についてのことは覚えていないらしいし、ちょうど良いわね!)


 早速クローゼットから魔道具を取り出し、制服に着替えて部屋を出る。

 なるべく誰にも見つからないよう、細心の注意を払い、ゆっくりと屋敷を出て、馭者(ぎょしゃ)が待機している場所へと向かった。


 そこにはいつも、二人の馭者が待機している。

 今は、お父様もお姉様も領地に行っていて、お母様も出掛けているのか、扉を少しだけ開けて部屋を覗くと一人だけ待機部屋にいるようだ。

 そのまま扉を開け、早々に魔道具を起動させる。

 ブローチの真ん中にはまっている宝石が七色に光ったあと、馭者はふらりと立ち上がると、わたしの足元に跪いた。


「ふふ。良いわね……。馬車を出してちょうだい。学園に行くわ」

「……かしこまりました」


 そのまま馬車に乗り込み、学園へと向かった。





 学園に着くと、放課後なせいか、人がまばらにしかいない。

 入学式の日から登校していないおかげで、わたしを知っている人はほとんどいないのもあって、知り合いに会う可能性も低そうだ。


(この時間ならオスカー様は生徒会室にいるはずよね……きっとあそこなら例の結界もないはず!)


 生徒会室のある中央棟を目指し、講堂の近くにある渡り廊下を進んだ辺りで妙な視線を感じた。

 周りには誰もいないはずなのに、おかしい。


「誰もいない……わよね?」


 何度見回しても誰もいない。

 気にせず中央棟の入り口まで進んだところで、棟の中から思わぬ人物が現れた。


「シェラード様……? ど、どうしたんですか!?」


 イケメンのくせにお姉様の味方をした男。

 クラスの子達の話によると筆頭公爵家の嫡男で、例の悪役令嬢の兄らしい。

 たしか名前はクラウス。


(なんでこんなハイスペックなくせに攻略対象じゃないわけ……? もしかして、わたしがオスカー様推しであんまり他のルートやらなかったから知らないだけで、シークレットキャラとかだったりするのかも!?)


 それなら納得がいく。

 それに……シークレットキャラであれば、ヒロインの攻略対象。

 上手くいけば味方にできるかもしれない。


「ベイリー嬢こそ、どうかなさいましたか? この先は生徒会室です。もしかして、迷われましたか? よろしければ一年生の教室までご案内しますよ」


 クラウスはニコリとも笑わずに、淡々とそう言い放つ。


(お姉様にはあんなに笑顔を向けていたくせに……! むかつく! わたしにも笑いなさいよね!! ……そうだわ!)


「いいえ、結構ですわっ!」


 思い立ったわたしは、魔道具を取り出し、クラウスに向けて起動させた。

 七色の光を眩しそうに浴びた後、クラウスの動きが一瞬止まる。


(よし! これでわたしの言いなりよ!)


 と思った次の瞬間、ぬっとわたしに向かって手が伸びてきた。

 そのまま手にしていた魔道具を奪われる。


「え!? ちょ、ちょっと、返しなさいよ!! っていうか、なんで操られないのよ!!」

「ふっ……こんな魔道具、私に効くわけがないでしょう」

「ど、どういうことよ!?」


 クラウスはわたしを嘲笑うかのように、鼻で軽く息を吐く。


「……良いことを教えてあげましょう。高位貴族は皆、生まれた時から従属除けの魔道具を常に身につけているのですよ。でなければ、大変なことになってしまいますからね。ですから、魔法や国宝級の魔道具ならまだしも、その辺で簡単に手に入るような魔道具など効くわけがないのですよ」


 不敵な笑みを浮かべたクラウスは、わたしから奪ったブローチをこちらに向けた。

 七色の光が視界に飛び込んでくる。




 ――気がつくと、わたしは自分の部屋のベッドに座っていた。


 どれくらい時間が経ったのかわからない。

 外はもう真っ暗で、窓から見える月が高い位置にあるから、きっと夜中だ。


 覚えているのは、学園に侵入して、中央棟でクラウスに遭遇し、魔道具を奪われた上、使われたということ。

 その後、何があったのかはわからないけれど、今家にいるということは、魔道具で帰るよう命じられたのだろう。


 オスカー様に会うことに失敗した上、魔道具を奪われた……。

 腹立たしくてたまらない。


(お姉様のみならず、クラウスまでわたしの邪魔をして! いったいなんなの!? ふざけんじゃないわよ!! わたしはヒロインなのよ!?)


「シークレットキャラだかなんだか知らないけど、覚えてなさい……絶対後悔させてやるわ!」

お読みいただきありがとうございます。

腹黒同士の対決でした。

頭空っぽなのに、割と猪突猛進なソフィアは書いていてとても楽しいです。


面白い、続きが読みたいと思っていただけましたら、ブックマーク登録や下の☆☆☆☆☆にて評価していただけると嬉しいです。

引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

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