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◇疑惑(クラウス視点)

評価やブックマーク、ありがとうございます!

今回は少し短めのお話になります。

楽しんでいただけますと幸いです。

「あの、カトリーナ嬢!」


 午前の授業終わりすぐ、お昼に誘おうと、隣に座るカトリーナ・ベイリー嬢に声をかけた。

 けれど、その声は届かず、彼女は一目散に教室を去っていった。

 彼女の様子は尋常ではなく、なんとなく気になってしまった私は、いけないとは思いつつも、カトリーナ嬢の後を追ってしまった。


 そして、今朝と同じように彼女の妹が一年Aクラスの教室前で騒ぎ、カトリーナ嬢がそれを制止しようとしているところにでくわした。



『ちょっと、なんで私が弾き飛ばされなきゃいけないのよ!! おかしいじゃない!!』

『ソフィア!? あなたいったい何をしているの!?』


 大声で叫びながら、今にもAクラスの扉を蹴り出しそうだ。

 さすがのカトリーナ嬢もいつもよりも大きな声で、妹を止めようと試みている。


(それにしても……弾かれたということは、Aクラスではないのですね。あれだけ優秀な姉君がいるというのに。まあ、血は繋がっていないようですが……)


 カトリーナ嬢の妹は養子で元孤児。

 けれど、普通は孤児を養子に取る場合、何かしら秀でた部分があることが多い。

 その上、貴族が血縁者以外を養子を取る場合は、家督を継がせることなどないので、学園に通わせてもらっている間に、手に職をつけたり、学問を極めたり、人脈作りに奔走する。

 よほどのことがない限り、貴族の子女のように成人後も家に面倒をみてもらえることなどないからだ。


 にもかかわらず、あの妹はAクラスに選抜されないどころか、私が見かけた限り、おかしな行動ばかりしている。


 簡単には壊れることなどないけれど、万が一にでも学園内の結界魔法を故意に壊すことがあれば、実家がよほどの影響力を持っていない限り、犯罪者になってしまうというのに……。


『お、お姉様!? なんでお姉様がここに……それより魔法がかかってて教室に入れないのよ!! なんでよ!! これじゃあオスカー様を攻略できないじゃない!! なんとかしてよ!!!』

『とにかく、ここじゃ目立つわ。一旦こちらにいらっしゃい!』


 騒ぐ妹のせいで人が集まって来たこともあり、カトリーナ嬢はこの場を離れようと動き始めた。


(正しい判断ですね。さすがカトリーナ嬢です。それに引き換え……)


 周りが全く見えていないのか、あえて見せることに意味があるとでもいうのか、妹は全く引く気がない。


『嫌よ! 私は殿下に用事があるの!! なんでお姉様に邪魔されなくちゃいけないのよ!! それにあの悪役令嬢にも話があるのよ! だから、放して!!』


(殿下に用事!? いや待て、その前にも「殿下を攻略できない」と言っていなかったか……!? 確かにAクラスには王太子殿下のオスカーがいる。どういうことだ……妹の狙いはオスカーということか? いや、まさか……)


 今朝方の妹の行動を思い出してみる。


 彼女は講堂近くの『渡り廊下』に行きたいと懸命に喚いていた。

 今朝は、大半の生徒は荷物を持ったまま講堂に集合していたため、校門や馬車降り場から直接講堂へ向かっていた。

 あの時間帯、講堂に近い渡り廊下というと……中央棟にある王族用の控え室にいたオスカーくらいだ。

 つまり、この妹の狙いはやはりオスカーということになる。


 何のために狙っているのかわからないが、王太子を害そうとしているなど、あってはならない。

 カトリーナ嬢は懸命に止めているようだが、果たしてどうなのか……これは王太子の側近として、見張る必要がありそうだ。


(それにしても、ようやく彼女に会えたというのに、まさかこんなことになるなんて……なかなかままならないものですね)



 あまりに深く考え込んでいたせいで、うっかりカトリーナ嬢たちを見失ってしまった。


(少しショックもあったのかもしれないですね……とりあえず、オスカーと護衛たちに警戒を怠らないよう伝えておきましょうかね)


 そうして、私は彼女たちが去ったばかりのAクラスの前まで行き、呼び出しボタンを押した。

お読みいただきありがとうございます。

面白い、続きが読みたいと思っていただけましたなら、ブックマーク登録や下の☆☆☆☆☆にて評価していただけると嬉しいです。


引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

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