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◆ヒロインの画策(ソフィア視点)

評価やブックマーク、ありがとうございます!

楽しんでいただけますと幸いです。

「教室イベントが全滅なんて……だいたいなんでわたしがDクラスなわけ!? おかしいじゃない!! しかも他のクラスに入れないとか、そんな設定知らないわよ!!」


 屋敷に到着するなり使用人に部屋に押し込められたわたしは、部屋の中でクッションを片っ端から投げながら鬱憤を晴らそうとしていた。

 だけど、どんなに投げても気分は晴れそうにない。


「このままじゃオスカールートを攻略できないじゃない……」


 思わず弱音が口をつく。

 わたしはヒロインなのに、どうして上手くいかないのよ。

 だいたいこういう乙女ゲームへの転生には、ヒロイン補正とか、ゲームの強制力なんかがつきものなのに、全然そんな力が働かない。


「何かの機能が壊れているに決まってるわ。だって、わたしはヒロインで、最推しのオスカー様とわたしが結ばれるのは運命なんだから!!」


 何かきっと見落としているものがあるに違いない。

 そこでふと、部屋にはそぐわない古びたトランクが目に止まった。

 孤児院を出る時に、院長先生がわたしの荷物を詰めてくれたトランクだ。

 トランクの中には、前世の記憶を取り戻してから書き始めた日記と一冊の絵本、それにお気に入りだったぬいぐるみなんかが入っていた。


「そういえば、日記にゲームの攻略方法を書いた気が……メモしたこともすっかり忘れていたわ!」


 急ぎトランクを漁って、日記を読み始める。


「やっぱりオスカー攻略は教室イベントばっかりじゃない。他はどれもオスカー様に招かれなきゃ行けない場所だし……」


 招かれるどころか、入学してからオスカー様に会うことすらままならない。


(それもこれも、お姉様が邪魔ばかりするせいよ……)


 本当に目障りな存在だ。


「でも、わたしはヒロインなのよ? 招かれないなら、なんとかして会いに行けば良いのよね? わたしに会いさえすれば、きっとオスカー様だって、わたしに靡くに決まっているわ!! だってわたしはヒロインでこの物語の主人公なんだもの! そうと決まれば……」


 日記に書かれた攻略イベントのうち、潜入できそうな、遭遇できそうなイベントを探す。

 さらに、もう一つ、日記の中に書かれている情報が目に留まった。 


「アイテムショップ……?」


 そういえば、ゲームの中では手っ取り早く攻略するためのアイテムや、攻略の手助けをするアイテムを課金して手に入れることができた。

 とはいえ、この世界で『アイテムショップ』なるお店は存在しない。


「そういえば……この間、お母様と買い物に出た時に、魔道具屋で面白いものを見つけたわね……」


 魔力を込めた道具で、この世界では割と出回っているが、いい商品だけでなく、犯罪に使えるようなものも普通に売られている。

 わたしがお店で見つけたのは、ウィンドウ越しに飾られていた、ブローチ型の魔道具。

 説明には『一定時間、人を従わせることができる』と書かれていた。

 犯罪スレスレの商品だろう。

 何に使われるのかはわからないけれど、かなりの金額で売られていた。


「でも、あれがあれば、いざとなった時にお姉様を黙らせることができるんじゃ……他にも使い道はいろいろあるわ」


 わたしは急ぎクローゼットの中からありったけのドレスや宝石を引っ張り出した。


「……これだけあれば足りるかしら?」


 必要最低限のものだけを残し、それ以外を積み上げてから侍女を呼ぶ。


「お嬢様、お呼びでしょうか?」


 呼ばれてやってきた侍女はなぜか怪訝な表情でこちらの様子を伺っている。


(なんでこの侍女はいつもわたしを疑わしい目で見るのかしら。腹立たしい……)


「ええ、呼んだわ。ここにあるドレスと宝石を売ってきてちょうだい。そして、その売ったお金で魔道具屋へ行って、ウィンドウに売られている『服従の魔道具』を買ってくるのよ」


 わたしの話に侍女の顔がどんどん青ざめていく。


「お、お嬢様、それは……」

「ケイト、だったかしら? あなたに拒否権はないのよ。お姉様たちにチクるのも許さないわ。あなたがお母様の宝石を時々盗んでいることをバラされたくないのなら、従いなさい」

「な、なぜそれを……!?」


 ケイトが驚愕に目を見開く。


「いつもいつもお母様の部屋の掃除ばかりしていて、おかしいと思ったのよね〜。お姉様は宝石類に全然興味がないし、お母様は新しい物好きだから、古い宝石のことなど気にも留めないから、バレないと思ったのね」

「そ、それは……」


「残念だったわね。わたしはお母様から『いつかソフィアに』って言われてから時々チェックしていたの。そしたら減ってるじゃなーい? おかしいって思ってよく見たら……ねえ?」

「も、申し訳ございません!!」


 その場に蹲み込み、ひれ伏すケイトに、わたしは少し気分が良くなる。


「謝らなくていいのよ。その代わり、働いてちょうだい? わかったわね」

「……………はい」

「よろしくね。ふふ」


 それからケイトはドレスや宝石類を抱え出ていった。


 数時間後、わたしの手元には『服従の魔道具』があった。

お読みいただきありがとうございます。

面白い、続きが読みたいと思っていただけましたなら、ブックマーク登録や下の☆☆☆☆☆にて評価していただけると嬉しいです。


引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

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