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うちに住み着いた幽霊が、人気配信者になってチャンネル登録者100万人???  作者: 入舟三叉


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うちに住み着いた幽霊が、人気配信者になってチャンネル登録者100万人???:87

 家に帰りついてから貰った書類をAIに読んでもらったのだが、やはり内容はずいぶんと配慮されているらしい。

全体としては一般的なテンプレに近いものではあるが、明らかにわざと削られたと思われる条項や、責任の範囲が大幅に狭くされていると。

AIの感想としては、最低限の体裁は保ちつつも実質的にはほとんど賠償責任が発生しないように、丁寧に牙を抜かれた契約書なのだそうで。

これは美咲の配慮なのか、それとも佐山さんの仕業なのか。

どちらだったとしても、初めて遥が受ける案件としては条件はありがたいところで。

まぁ、一般的なVtuberや配信者というわけではないので、他や次があるかと言われれば、特に考えてもいないのだけど。


 そして、もう一つ。帰り際に渡された書類の裏。

そこには美咲の個人的な連絡先が綺麗な字で書かれていた。

急いで殴り書いていたように見えたが、そこに書かれた字はペン字教室のお手本のように整っていて、性格なのか単純に上手いのか。

「遥、お姉さんに連絡したら?」

私がそう言って促してみたのだが、思いのほか遥は乗り気ではないようだった。

「そうですね...。でも、私が直接連絡取ってしまっても良いのでしょうか?会いに行ったとはいえ、姉にとって私は本来もういないはずの人間であるはずですし...。」

配慮なのか、罪悪感なのか、それとももっと別のものなのか。

もしかしたら、全部合わさった複雑なものなのかもしれない。

久しぶりの再会を果たしたはずだったが距離を取りたいようにも感じた。

「わざわざ連絡先を渡してくれたわけだし、お姉さんの方はいろいろ話したいんじゃない?さっきの短い時間だと伝えられなかったこともあるだろうし。」


 改めて促してみたのだが、それでもあまり気乗りはしてないようで。

「それなら挨拶くらいは送りましょうか。せっかく渡してくれたものに返事をしないのも失礼にあたりますし。」

会うまでのやり取りや、遥から聞いていた話からすると、もっと仲が良いように感じていたが思っていたより複雑な関係なのだろうか。

少なくとも美咲の方は、言葉を選ばずに言うなら遥の事を溺愛しているような印象だったのだが。


 そうして、遥から美咲にメッセージを送らせると、すぐに返事が返ってきた。

あぁ、やっぱり待ってたんだろうなぁと、連絡させて良かったと思っていると、次々と通知音が鳴る。

あまり覗き見たりするのはよくないのだが、ピコンピコンピコンピコンと続くので見てみると、絶え間なく絨毯爆撃のように長文が送られてきていた。

あ、もしかしてこうなることを予想してたから避けてたのか...?

そうやっている間にも次々と通知音が鳴り、遥への思いの丈を綴ったものや、心配したり、近況を聞いてくるメッセージが届く。

「姉さん...。」

超人的な性能で行動力も人一倍ある姉がいるとこうなるのか...。

「ごめん遥。ブロックはしないけど、通知をオフにしておこうか...。」

私が提案すると、遥は静かにコクンと頷いていた。


 そして、平穏を取り戻した部屋でくつろいでいると遥が話しかけてきた。

「そういえば、あのお蕎麦屋さんはなんだったんでしょうね?」

確かに、たまたま目に付いてAIグラスが教えてくれたから入ってみたのだが、意外と有名な店なんだろうか?

遥が考察していたが、どうしてああいう風になったのかも気になると言えば気になる。

「そうだね。料理はとても美味しかったけど、いろいろと謎だよね。」

笑いながら返して、そこから検索してみたのだがなかなか情報が出てこない。

Googleマップにも載ってないし、食べログのようなグルメサイトにも掲載されていない。

AIにも聞いてみながら、検索ワードを変えたりしていくと、徐々に個人のブログやニュースなどで断片的に情報が出てきた。


 江戸初期から続く数百年の歴史、イギリスの爵位、先代はミシュランの三ツ星シェフ、サウジの王族も来ていた、老舗料亭へのレシピ提供やアドバイザリー。

もう、なんだかどこまで本当なのかがわからないが、雑多に都市伝説のようなものが出てくる。

変なものだと、ハンバーグ寿司発祥の地だとか、ロッキード事件はここで話し合われていただとか、東京大空襲を奇跡的に避けただとか、宇宙人の四次元冷蔵庫だとか、キリストの末裔だとか、都市伝説を超えて陰謀論のような話まで。

それも出てくる情報元ごとにぜんぜん違う話が湧いていて、何も共通する話が出てこない。

「これ...。どうなんだろう?遥はどう思う?」

もう、理解することを放棄して尋ねてみたが、遥も同じだったようで。

「なんなんでしょうね。全部本当だったとしても不思議じゃないですが、流石にちょっと...。」

そうして、長かった一日は終わっていった。

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