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うちに住み着いた幽霊が、人気配信者になってチャンネル登録者100万人???  作者: 入舟三叉


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うちに住み着いた幽霊が、人気配信者になってチャンネル登録者100万人???:86

 ようやく着いた神社は住宅街の中ということもあり、あまり広くはないようだった。

敷地の周りはシラカシがびっしりと囲んでいて、外からは建物などは見えない。

入口の方へ周り、頭を下げて古ぼけた鳥居をくぐると、石灯籠が並んでいて狛犬が出迎えてくれる。

こういう石造りのものを見ると、神社に来た感じがするなぁと思いながらその奥に目を向けると、赤塗りの本殿が見えた。

手入れが行き届いているのか、朱塗りは鮮やかに赤く、漆喰は真っ白に光っている。


 石畳を進んで、本殿の賽銭箱に小銭を投げ、二礼二拍手一礼をして心の中で願い事をした。

いくつかの願い事を念じたが、どれか一つでも叶ってくれるのだろうか。

そんな神社でのルーチンワークを済ませていくと、本題はと辺りを見回す。

しかし、けっこう境内は物が多く、木も鬱蒼と生えていてどっちの方だろうかと、キョロキョロとしていると遥が声を掛けてくる。

「こっちです陽介さん!こっちこっち!」

呼ばれて指差す方へ向かい、垂れ下がった枝をくぐると開けた庭園が広がっていた。


 小さな池の周りに水仙がところ狭しと並んでいて、白い花びらがちらほらと開いている。

まだつぼみも多く、満開になるにはもう少しといったところだろうか。

ゆっくりと池の周りを回りながら、花を眺めていると池の中では紅白の錦鯉が群れをなして悠々と泳いでいた。

オフィス街からは多少距離があるとはいえ、とても静かで都会の喧騒は全く聞こえてこない。

都内の中心部にも明治神宮や新宿御苑のような自然が豊かな場所はあるが、観光客や人通りも多くガヤガヤとしているのとは対照的に、人の存在を感じず落ち着いて景色に集中できる。


 こういうゆっくりしたのも良いなぁと思っていると、池の対岸に人が居るのに気付いた。

あまりにも静かだったので他に人はいないのかと思っていたが、紺の着物に身を包んだ初老の女性が私たちと同じように、池を周りながら花を愛でているようだった。

視線を移すと、それに気づいたのか女性は微笑みながら軽く会釈をしてきた。

私も会釈を返すと、遥が言う。

「綺麗な方ですね。私も歳を取るなら、ああいう風になりたいと思います。」

そうだね、と相槌を打ってみたものの、遥が言うといろんな意味に聞こえてしまう。

他意はないのだろうが、話を広げづらいなと思っているとAIグラスの端に警告が出た。


 どうやら充電が切れそうなようで、電池のマークが赤く光っている。

「ごめん遥。電池切れそうだから、しばらく充電するね。イヤホンは付けてるから、離れる時は声掛けて。」

私が言うと、遥が答える。

「わかりました陽介さん。充電が終わるまで気を付けますね。」

そうして、AIグラスの電源を切って、バッグに入れていたモバイルバッテリーに繋いでいった。


 特に見えているものが変わるわけではないが、AIグラス越しではなく、直接見るとまた見え方が違うなぁと庭園を眺めていると異変に気が付いた。

あれ?着物の女性は?

「遥、さっき池の向こうにいた女性はどこにいった?帰っちゃった?」

バッグにAIグラスを仕舞うだけなので、大して時間は経っていないはずなのだが、辺りを見回しても姿が見えない。

「いえ、そこに...。いませんね。ついさっきまでいらっしゃったはずなのですが...。」


 なんだったのだろうか。不思議に思いながら、池の周りをグルっと一周回ってみたが、先ほどの女性は影も形も見当たらず。

一通り見終わったので、神社を出て駅の方へと歩いていく。

その道中には、準備中の看板が下がった古ぼけたそば屋が佇んでいた。

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