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うちに住み着いた幽霊が、人気配信者になってチャンネル登録者100万人???  作者: 入舟三叉


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うちに住み着いた幽霊が、人気配信者になってチャンネル登録者100万人???:77

 遥のYouTubeでの配信も始まって、しばらく経ったある日。

いつものように、次から次へと送られてくるメールやダイレクトメッセージを捌いていると、気になるものがあった。

案件やコラボのようなものはいろいろと来ていたのだが、大半はゲームをしたり、化粧品や健康食品だったり、投資や情報商材のような怪しいものだったり。

ものによっては無視したりもしていたのだが、少し毛色が違ったものがあった。

血糖値の管理に関する、ウェアラブル機器とスマホアプリ。


 珍しいものもあるものだなと、調べていくと針を刺さずに高精度で継続的に測れる、指輪型の機器とアプリなのだとか。

そういえば、小学校の頃になんか機械ぶら下げて、注射したり大変そうな子がいたなぁと思い出しながら、その企業のホームページを読み進めていくと、ある事に気が付いた。

代表取締役社長:菅 美咲。

ただの偶然ではない気がする。

隣で歌の練習をしていた遥を呼び、PCの画面を見せていくと遥は何も言わなかった。


 たまに届いているメッセージなどを見せると、遥は何か感想や意見を言うのだが、逆に何も言わないというのは当たりなんだろう。

答えづらいのもあるのだろうが、隠してもしょうがないので直接的に聞いてみる。

「これ、遥のお姉さん?医療機器の会社の社長?」

私が問いかけたが、遥は沈黙を貫いていた。


 私も驚いたが、遥も困惑しているのだろう。

遥が答えないまま、しばらくコーヒーを淹れてみたり、煙草を吸ったりしていたのだが、考えがまとまったのか遥が口を開く。

「わかりません。珍しい名前でもないですし。ですが、姉である可能性は、高いかもしれません。」

今までこういうものは全て断ってきたが、これに関しては話くらいは聞いてみた方が良いと感じた。

もう少し、何か情報がないものかと、さらにニュースやプロモーションなどの記事を探していくと、代表者へのインタビュー記事へと行きつく。

それには写真も付いていて、いくつかの姿が映っていた。

それは、とても綺麗で芯が強そうな、遥に似ている女性で。


 さらにそれを見せると、遥はまた黙り込んだ。

ただ言葉が出ないのか、それとも認めたくないのか。

だが、端で遥の様子を見ている私としては、その態度が結果を示しているようで。

「はい。姉で間違いないと思います。その、少し意外でしたが。」

遥の返答に違和感を感じた。

私がもしかしてと気付くくらい、遥の語っていた姉とイメージが近かったのだが何が「意外」だったのだろうか。

「遥の想像とは違った?もっと違う事してそうだったとか?」

私が問いかけると、今度は落ち着いたのかすぐに返事を返してくる。

「そうですね。私が覚えている限りでは、政治や行政の道を歩むものかと思っていましたが、こういうことをしているなんて。これが姉が思い浮かべていたものだとは思えないのですが、何かの考えがあってなのでしょうか...。」


 そこには少し失望の色が映っているようだった。

遥は遥で、姉に対してもっと大きな期待があったのだろうか。

実際の年齢はわからないが、写真で見る限りはそう歳を取っているようにも見えないし、若くしてそれなりの規模の会社の社長というのは、それだけで十分すぎるほど立派だとは思うのだが。

しかし、そんな規模で収まるようなものではないほどの何かがあるのだろうか。


 とりあえず、話をする機会は設けた方が良いと思う。

それもこのメッセージを送ってきている広報の担当者ではなく、代表者の姉を釣り出せる方法で。

だが、打ち合わせに代表を出してくれなんて言っても、普通に考えれば断られるだろう。

なんとか良い文面はないかと、AIと相談したりしていると遥が言ってきた。

「送るメールに一文付け足してください。朝顔の花は今も綺麗ですかと代表にお伝えくださいと。姉の元に届けば、これで十分なはずです。」

そう言う遥の顔は、懐かしんでいるような、悲しんでいるような表情で今にも泣き出しそうにも見える。

「わかった。」

私は短く伝えると、メールを編集して返信した。

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