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うちに住み着いた幽霊が、人気配信者になってチャンネル登録者100万人???  作者: 入舟三叉


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うちに住み着いた幽霊が、人気配信者になってチャンネル登録者100万人???:53

 翌朝目が覚めると、絵里は先に起きていたようで、スマホ片手に何かを調べていた。

トイレに洗面所に台所にと、水回りを周って戻ってくると、絵里は首だけこちらに向けてきた。

「位牌とか神棚って言ってた件なんだけど。良い考えがあるから、私にまかせて。」

ニヤニヤとしながら言ってくる良い考えというのは、あまり信用ならないが聞いたところで教えてはくれないのだろう。

「なんでしょうか?楽しみに待ってますね。」

私は不安だったが、遥は期待しているようで、そんなことを言っていた。


 いつもはいっしょに出かける予定でもなければ、目が覚めたらいなかったり、早めにいなくなるのだが珍しく絵里が長居していた。

少し日も落ちて来ていて、そろそろ自分はバイトに出ないといけない時間だったのだが、まだ絵里は私を追い出したベッドでゴロゴロしている。

「そろそろバイト行くから...。」

控えめに追い出そうとしたが、返事の代わりに手が差し出された。

その意味がわからず、しばし固まっていると絵里が催促する。

「鍵。何本かあるでしょ?ちゃんと閉めて帰るから。」

もうしばらく居座ってから帰るつもりのようだった。

まぁ、何度も泊めてるし、遥が居るから変なことはできないだろうからいいかと、戸棚に入れていた鍵を一本渡した。


 そこからは、いつものように駅前で仕事前のご飯を食べて、喫煙所で煙草を吸ってバイトへと向かって行った。

とはいえ、普段とは違って、新商品のバーガーが食べたかったので、牛丼ではなく少しリッチなハンバーガーだったが。

そんな日常のルーチンをこなしながら、職場へ着くと、しばらくして先輩が出勤してくる。

「お疲れ様でーす。」

先輩が予定休を取っていたり、自分の休みとズレていたりで、地味に会うのはこの前の仕事帰りに飲みに行って以来だった。

「あ、先輩お疲れさまです。先日はありがとうございました。」

私が社交辞令を伝えると、先輩は気になっていたのか聞いてくる。

「どうだったAIグラス?ばっちり見えたか?」

「えぇ、ばっちりでしたよ。ほんと、教えてもらってよかったです。結局、もう一つ買っちゃいました。」

その返事に、先輩は眉を顰めた。

「それって、絵里ちゃん用?けっこう高いけど、買ってあげたの?」

私は先輩の問いかけに頷くと、先輩はさらに頭を抱えていた。

「いや、いいんだけどさ。絵里ちゃん最近、俺や店長に前より冷たいんだよ。田辺さんには前からだけどさ。お前、浮気するなよ。」


 浮気もなにも、絵里とはそういう関係ではないし、他の身近な女性と言えば遥くらいのもので、関係の持ちようもないし。

私が不思議に思っていると、返事を待たずに先輩は言った。

「まぁ、陽介だから不義理はしないと思うけどさ。でも、絵里ちゃんのこともちゃんと考えてやれよ。」

店長が誤解していたが、先輩も誤解しているような気がする。

絵里の距離感はおかしい気はするが、特にこれといったこともなく。

健康な男子ではあるので、期待しないわけではないのだが、そういう機会もなくもう二ヶ月くらいが過ぎていて。


 特に忙しくも暇でもなく、普段の仕事を終えて帰路に就く。

途中でコンビニに寄ると、変わった炭酸飲料が売られていた。

こういうの、遥は好きだよな。

前は手に取らなかったそれをカゴに入れ、レジに向かうとまた違うものが目についた。

栗まんじゅう。

そういえば、栗も好きって言ってたような。

季節ものだし、これもついでに買っていこう。

そうして、一人だった頃には買わなかったようなものも袋に詰めて家へと帰っていった。


 家に着き、鍵を回すとガチャりと音が鳴り、錠が開く。

ドアノブを捻ると戸は開いて、玄関が見える。

ちゃんと絵里は鍵を掛けて帰ったようだった。

コンビニで買ってきたものを遥に見せると、とても喜んでいて、特に炭酸飲料はお気に召したようで。

「すごい!どんな味がするんでしょう。ジンジャー?ガラナ?アルギニン?体に良いのか悪いのか...!」

遥が期待する中、封を開けて口を付けてみると。

「なんだろう。ちょっと辛いコーラ?でも、なんか青臭いような癖があって...。」

私が拙い食レポをしていると、遥はそれも面白かったようで。

「そうなんですね!見た目だと...たしかにコーラっぽいですね。香りは...わかりませんけど、なるほど...。」

私の周りをうろうろしながら、ペットボトルのラベルや、コップに注がれたそれに顔を寄せて、子供のように興味津々といった感じだった。


 そうして、夜も更けてくると電気を消して、ベッドへ入っていく。

布団を被って、枕に顔をうずめると甘い匂いがした。

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