表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
うちに住み着いた幽霊が、人気配信者になってチャンネル登録者100万人???  作者: 入舟三叉


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
41/56

うちに住み着いた幽霊が、人気配信者になってチャンネル登録者100万人???:41

 今日も遥の配信を始めると、どんどんと視聴者が増えていく。

心霊写真がバズってから、しばらくすると落ち着くのかと思っていたが、フォロワーも視聴者も日に日に増えていっていた。

やらせている本人が言うようなことではないが、特別に面白いことを言っているわけでも、変わった企画をやっているわけでもないのに、見に来ている人たちは何を楽しみに来てくれているんだろうか?

まぁ、遥の声は声優というよりウグイス嬢のような、良く通る綺麗な声で聞き心地が良い。

落ち着いた、育ちの良さを感じさせる語りと、時折見せる少し天然なところは、深夜に聞くのにちょうど良いのかもしれない。

他の人の配信もいくつか見てみたが、やたらとうるさかったり、ネタなのかもしれないがやさぐれた底辺アピールだったり。

それらと比べると、遥の配信の方が...。あれ?


 カメラに写り込まないようにコメント欄を見ていると、初見も多いが、継続して見に来てくれている人も多い。

特に配信を始めたばかりの時に来てくれた、群馬からの入国者さんはほぼ毎日来てくれている。

ただ、異動で勤務地が地元の群馬に戻ったらしく、もう入国者ではないと嘆いていたが。

他にも、何人か毎日のように来てくれる人たちがいて、配信を始めてもしばらくだれも来ない、なんてことはなくなっていた。


 そうして配信が進んでいくと、コメントやスターが飛び交い、初見も次々と入ってくる。

流れが速いので全てのコメントには答えられないが、初見やスターは律儀に拾っていっていた。


「たんぽぽさん、スターありがとうございます。これ、期間限定のやつですか?綺麗ですね。」


「赤巻紙青巻紙黄巻紙さんいらっしゃいませ。ごゆっくりどうぞ。今日はちゃんと噛まずに言えましたからね?」


「たくさん来られたので、まとめてでごめんなさい。白梅たまきさん、蒼翠さん、8192さん、ノンアルレモンサワーさんはじめまして、黄泉乃ヒカリです。みなさんは今日はどんな一日でしたか?私は今日お出かけしたので、その話をしていたところです。ゆっくり聞いていっていただけるとうれしいです。」


 気付けば配信を始めてから50分が経っていて、今日の配信もあと少し。

お出かけで買い物やレストランの話をしたからか、いつもより多くのスターが飛んでいた。

もしかしたら、昼間に払った分よりも、この配信一回で貰っている分の方が多いかもしれない。

バイト何日分だろうかと皮算用をしていると、遅い時間でも視聴者は次々と入ってくる。


システム:俊輔 さんが入室しました。(初めて)


フォロワーも増えてきたけど、やっぱり初見の方が多いなぁなんて眺めていると、遥の声が止まった。

珍しいな、どうしたんだろう?何か変なコメントでもあったのかと思っていると。


「あ...。あぁ...。ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ーーーーーーーーー!」


ノイズ混じりのつんざくような悲鳴が聞こえてきた。


「嫌っ!イヤッ!ダメ...。」


 明らかに様子がおかしい。

配信を止めた方が良さそうだが、私が声を出すわけにもいかない。

いきなり止めてしまっても良いのか?

ひとまず、急いでキーボードを叩いて様子を窺おうとしたが、遥は錯乱して気付いていない。

そうしている間にも配信には遥の悲鳴が流れている。

このままではいけない。とりあえず止めるしかない。

そう思い、配信画面の方に目をやると、


群馬からの入国者:どうしたのヒカリちゃん?大丈夫?ゴキブリでも出た?


そのコメントを見て、すぐに配信終了のボタンを押した。

既に事故と言えば事故なのだが、そういう言い訳にしておけば多少マシだろう。


 配信が止まったのを確認すると、遥に声を掛ける。

「遥?遥?どうしたの?大丈夫?」

だが、返事はなく、遥は頭を抱えながらうめき声を上げている。

人間だったら背中でもさすりたいところだが、遥には触れられない。

もどかしい思いをしながら、何度も声を掛け続けた。

「遥、落ち着いて。大丈夫、ゆっくりでいいから。」

しばらく続けていると、少しずつ遥の動きは治まってきて、声も聞こえなくなっていた。


 少しは落ちついたのだろうか?

だが、今度は下を向いて固まったまま動かない。

良いのか悪いのか、どうして良いか分からず、そんな遥の様子を見ていることしかできない。

そうしている間に、配信を見ていたのか私の携帯や遥のタブレットに絵里からのLINEやメッセージの通知が積まれていっていた。

とりあえず、返信しておこうかと思っていると、ようやく遥が口を開く。


「...ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。」


 遥は泣きながら何かを謝り続けている。

でも、わからない。

どうして急に。

昼間も配信でも変な様子はなかったし、何があったんだろうか。

「大丈夫、遥。謝らなくていいよ。無理しなくていいからね。」

そう声を掛けたものの、大丈夫なのだろうか?

いっしょに暮らしてはいるものの、遥のことをほとんど知らない。

何かきっかけになるようなことがないかと考えてみても、ヒントになりそうなことは何も思い出せない。


 絵里に"とりあえず大丈夫、また連絡する。"と短く返し、遥の様子を眺めていると、遥が語り出した。

「ごめんなさい、陽介さん。びっくりさせてしまって。少し落ち着きました。」

まだ声に違和感はあったが、喋れるくらいの状態には戻ったらしい。

私も遥の様子に動揺していたので、その言葉に胸をなで下ろす。

「良かった。びっくりしちゃったけど、大丈夫だから。ゆっくりで良いよ。」

そう言うと、遥は口ごもりながらも言葉を紡いでいく。

「ありがとうございます。ご迷惑をかけてしまいました。もう、忘れたつもりだったんですけど...。」

私が頷きながら聞いていると、遥は続ける。


「陽介さんには、話しておかないと...。知って貰わないと、いけないんだと思うんです。」


「私が...。私が、どうして自殺したのか。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ