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うちに住み着いた幽霊が、人気配信者になってチャンネル登録者100万人???  作者: 入舟三叉


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うちに住み着いた幽霊が、人気配信者になってチャンネル登録者100万人???:30

 仕事終わりに浜野先輩に引きずられるようにして、明け方までやっている立ち飲み屋に連れていかれる。

店へ着くと、先輩は私の希望も聞かずに生二つと注文した。

突き出しも出てきていない、空のテーブルで待ちきれないのか先輩は聞いてきた。

「で、絵里ちゃんとはどこまでいったの?」

そう聞かれても出せるものは何もない。

少しは色のある話が出来れば良いのだろうが、残念ながらそんなことはなかった。

言い淀んでいると、ビールのジョッキと小鉢が運ばれてきた。

「まぁ、いいや。とりあえず乾杯!」

先輩がそう言うのに合わせて、ジョッキを掲げて口を付ける。

何を話したものかと言いあぐねていると、先輩が催促してきた。

「少なくとも、何か話したり、何かいっしょにしたりはしたんだろ?別に悪くは言わないから教えろよ。」


 そう言われて、昨夜の事を思い出す。

きっかけは絵里が配信をしていることに気付いたこと。

だが、これは言えない。

しょうがないので起こったことだけ、部分的に話していこう。

「仕事終わりに話してたら、雨が強くなってきて、終電がなくなったんでうちに泊めたんですよ。」

私がそう言うと、先輩は目をキラキラとさせていた。

「泊めた!?お前ん家に!?絵里ちゃん飲み会にも来ないのに、どうやって連れ込んだんだよ。」

その感想は確かにそうだろう。

むしろ、私の方が何故そうなったのかを聞きたいくらいで。

あまり細かく話していくと、絵里が配信をしていることがバレそうだったので、適当に嘘を混ぜていく。

「昨日、絵里ちゃん傘持ってきてなかったんですよ。雨宿りしながら、最近の話をしてたら配信の話になって。それで、絵里ちゃんも遥の配信を見てたみたいで。」

先輩が頷きながら聞いているので続ける。

「それで話し込んでたら、終電がなくなっちゃって、遥に会いたいっていうからしかたなくみたいな。」


 そこまで話すと、先輩はいくらかは納得してくれたようで。

「俺もXの反応見てたけど、かなりバズってたもんな。配信は見にいけなかったんだけど、けっこう来てくれたんだろ?」

思っていたよりも、良い方向に解釈してくれたようで。

騙すようで少し心が痛んだが、そういう方向で持っていこう。

「そうなんですよ。今まで、視聴者一桁だったのが、一気に三桁くらいに伸びちゃって。それで、絵里ちゃんもXでバズってたところから配信を見にきたみたいで。」

変わらず、先輩は頷いて話を聞いているので、上手くいっているのかと話を続ける。

「遥が配信してるのに関わってるって教えちゃって、それで本当に幽霊なの?って、見にきたいと言いだして。」

即席だが、悪くはないストーリーだろう。

これでなんとか胡麻化せないかと、祈っていると先輩が口を開く。

「あのイラスト、俺が描いたって、絵里ちゃんに教えた?」


 どうだったかなと記憶を漁ったが、そういう話はしなかったような気がする。

もしかしたら、見てない間に遥が絵里に教えてたかもしれないが。

「いや、それは教えてないですね。」

私がそう答えると、先輩は顔をテーブルに向けて、手に持ったジョッキを軽く叩きつける。

「なんでだよ!それは言っておけよ!絵里ちゃんが俺を見る目が変わってたかもしれないだろ?」

もしかして、と思って聞いてみる。

「先輩、絵里ちゃんのこと狙ってたんですか?」

だが、返事は少し違った方向で。

「狙ってたかと言えば違う。本命はライブにいつも来てくれてる子。だけど、男ばっかりの職場だから、その中での序列ってあるじゃん?お前とか店長より、俺を好きでいて欲しいじゃん。田辺さんは...アレは入れてないけど。」

本人の知らないところでディスられてる田辺さん。

ちょっとかわいそうだなと思いながらも、アレを一番に選ぶなら、よっぽどの聖人君子か依存症かと納得してしまう。


 そうして話しながら飲んでいると、時計の長針は一周と少し進んでいた。

「あ、気になったから引っ張ってきたけど、明日はライブの打ち合わせがあるんだよね。」

先輩が伝票をひっくり返しながら、財布に手を伸ばした。

「四千円出すから、残りは払っといてな。」

そう言うと、半分よりは多い金額を置いて、先輩は席を立った。

後に続いて席を立って、レジで会計を済ませて店の前へ出る。

じゃあ、と別れようとすると先輩が声を掛けてきた。

「で、絵里ちゃんいけそうなの?どうなの?」

そんなこと言われたって、良いも悪いも分からないのが現状で。

「どうなんでしょう?頑張ります。」

適当にそう返すと、先輩は手を振りながら私とは逆の方向へと消えて行った。

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