うちに住み着いた幽霊が、人気配信者になってチャンネル登録者100万人???:28
突如として始まろうとしていたコラボ配信。
設定しないと、と思いベッドから身体を起こしたが、私が触る間もなく絵里がポチポチと画面を押して進めていた。
身体を起こしたものの、することが無くなって二人の姿を眺めていると、絵里が私に言ってくる。
「わかってると思いますけど、静かにしててくださいね。私も遥も"彼氏"はいないんで。」
身体をもう一度ベッドに横たえると、カウントダウンの声が聞こえてきた。
「行っちゃいましょう!絵里さん!」
「行くよ遥?3、2、1。」
「「キューッ!」」
そうして、遥と絵里の初のコラボ配信が始まった。
配信が始まって、数分は"誰も来ないね~"なんて緩い会話が続いていたものの、しばらくするとどんどんと視聴者は増えていく。
まだ、昨日のXへの投稿の影響が残っているのか、次々と初見も入ってきていた。
大した会話をしているわけではないのだが、次々とスターやハートが飛ぶので、それに対してのお礼を二人は言っていた。
だんだん流れの速さや、飛び交うスターやハートに慣れてきたのか、ある程度は無視しながら二人は話を進めていく。
「ヒカリは何か最近美味しいもの食べた?」
「美味しいものですか?そうですねぇ、コーラといちご大福は良かったです。」
「コーラ?まだまだ暑いし、炭酸は美味しいよね。」
「そうなんですよ!なかなか口にする機会がなくて、初めて口にしたんですけど、もっと早くお会い出来てたらなぁと(笑)」
そうやって二人が話していると、コメント欄では。
○○さん太郎:えっ?ヒカリさんってお嬢様?
☨皇蒼也☨:コーラ代置いておきます(´・ω・)っ
☨皇蒼也☨ さんがスターを贈りました。
ペペロンチーノ:かわいい!
紺色シエロ:美味しいですよね!私も最近、炭酸飲料にハマってて。
紺色シエロ さんがハートを贈りました。
思い思いのコメントとスターやハートが飛び交っていた。
大きいスターが来ると反応したりはしながらも、二人でたわいもない会話を繰り広げていると、時間はだんだんと過ぎていって。
「あ、そろそろ一時間か。この辺で終わっとく?」
絵里が遥に問いかけると。
「そうですね。もう、夜も遅いですし、終わりにしましょうか。」
遥が答え、配信はエンディングに入る。
「今日はみなさん来ていただいてありがとうございましたー!」
「お時間いただきまして、ありがとうございました。明日も見に来てくれると嬉しいです。」
「「それではまた、おやすみ~!またね~!」」
そうして、初めてのコラボ配信は終わっていった。
配信を終了した画面にはいくつも数字が並んでいて。
視聴者数:215
スター:72659
ハート:6328
「エグっ!バズったら、こんなに数字が伸びるのか。私がやってた一年分くらいかも。」
絵里がリザルトの数字に唖然としていると。
「ありがたいですよね。一昨日と、昨日今日で何かが変わったわけでもないのに。ただ、見に来ていただけるのは素直に嬉しいです。」
そんな話をしていると、絵里は深く考え込んでいた。
しばらく固まっていたので、どうしたのかと聞いてみると。
「遥借りていいですか?そのうち、こっちの枠でコラボ配信を...。」
その申し出は当然ではあった。
たった一回の配信で、換金すれば数万円にはなるスターを得られるなら、それは誰だってやりたい。
ただ、話の中心に居るのは遥であって、私がそれを勝手に決められたりはしない。
答えはわかっていたが、遥に振ってみる。
「絵里ちゃんがコラボ配信したいって。今回と逆だけど、遥はやってみたい?」
それを聞いた遥は。
「もちろんです!今までお世話になっていましたし、少しでも恩返しが出来れば。」
そんな話をしているうちに、夜はどんどんと更けていき、午前3時過ぎになっていた。
私があくびをしていると、絵里が聞いてくる。
「もう眠いし、そろそろ寝ましょうか。」
部屋の電気を落とし、ベッドに横たわると、絵里もベッドに腰かけてきた。
「もっと奥に詰めてもらっていいですか?それじゃ私、寝れないんで。」
そう言うと、同じくベッドに横たわり、掛けていた毛布を半分奪ってくる。
私は壁の方を向いて、寝付こうとしていると、背中に柔らかい感触が伝わり、お腹の周りに手を回される。
「今日はぬいぐるみが無いんで、その代わりです。こっち向かないでくださいね。」
そうして、いろいろと眠れない思いをしながら、雨の降り続く夏の夜は過ぎていった。




