うちに住み着いた幽霊が、人気配信者になってチャンネル登録者100万人???:19
翌日、翌々日とバイトから帰ってきてから、配信を行っていたが、特に大きな動きはなく。
甘音さんにいろいろと教えてもらいながら、たまにふらっと入ってくる人が多少いるくらい。
地味にフォロワー数は5まで増えていたが、特に見に来てくれるというわけでもなかった。
そんな感じで、のんびりと毎日一時間配信を続けていたが、今日は久しぶりにバイトは休み。
少し寝不足なところもあったので、ゆっくり寝ようかと思っていると、幽霊に追いかけられる悪夢で目が覚める。
「陽介さん!陽介さん!」
呼ばれる声に重たい目を擦る。
何時だろうと時計を見ると、時間は午前10時。
日頃のバイトの日でもまだ寝ている時間だった。
二度寝しようと、布団を被るとまた呼ばれる。
「陽介さん!今日はお休みですよね?もう、朝ですよ?」
朝は朝かもしれないが、もう少し寝かせてほしいのだが。
布団から出ないまま、遥に尋ねる。
「どうしたの遥?お休みだから、もう少し寝たいんだけど...。」
それを聞くと、遥はさらに大きい声で答えた。
「次の休みにゲームを見せてくれるって言ってくれたじゃないですか!すごく楽しみに待ってたのに!」
そういえば、そんな話をしたような。
とはいえ、別に早起きしてするようなことでもないし、休みは休みとして、しっかり休養したいところだったのだが。
「陽介さん早く!お天道様は待ってくれても、私は待てません!」
なんでそんなに急かすんだよと思い、ふと動画を流しっぱなしにしているディスプレイを見ると、ゲーム実況の動画が流れている。
くそっ!こんなことなら、サバンナの定点カメラの動画でも流しておくんだった。
まだ重い頭と身体を起こすと、遥はパタパタと喜びだした。
目を覚まそうと、適当に冷水で顔を洗い、トボトボと椅子に座ると遥が問いかけてくる。
「何のゲームしますか?格ゲー?FPS?マイクラとかのんびり遊べるやつも良いですよねぇ。」
日頃流しっぱなしにしている動画で勉強しているせいか、遥はそれなりにゲームに詳しくなっていた。
しかし、眠たいところを起こされ、テンションも上がらないので、格ゲーやFPSをやる気も起きない。
「じゃあ、マイクラでもするかぁ...。」
私がそう言うと、遥は元気いっぱいに答えた。
「はい!もう、ここ数日はそれを楽しみに待ってたんですから!」
ゲームのランチャーを立ち上げると、しばらく遊んでなかったのでアップデートのロード画面が続く。
数分経つとスタート画面が出てくるのだが、バージョンを表す数字はかなり変わっていた。
過去に遊んでいた時のセーブデータがいくつか出てきたが、せっかくだから一から始めようと新規ワールドを立ち上げた。
短いワールド生成のロード画面が流れると、広い世界が見えてきた。
平らな緑の地面に、木がいくらか生えている。
「おぉ、これがマイクラ...!ここから冒険が始まるんですねっ!」
遥のテンションは上がりっぱなしなようで、明るい声が響く。
とりあえず、村を見つけないとと、適当に辺りを散策していくと。
「なんにも無いですねぇ。かわいい建物とか、大きい街とか、すごい畑とかどこに行ったらあるんでしょう?」
遥は動画で見た、巨大建築物や豪華な装置のイメージが強いんだろう。
夢を壊すようで悪いが、現実を伝えていく。
「ああいうやつは元々あるんじゃなくて、投稿者の人が何十時間、何百時間掛けて作ってるものなんだよ。」
そう伝えると、遥は少し大人しくなって、静かに画面を眺めていた。
何分か歩いていると、村が見つかり、適当に物色している間に日が暮れてきて、村人のベッドを奪って夜を明かした。
「これで一日が終わりなんですねぇ。」
遥がそんな感想を言いながら眺めている横で、夜が明けると最低限の装備を作って、辺りの木を切ったり、石を掘ったり物資を集めていく。
大して見栄えは変わらないまま、またゲーム内の一日が終わった。
「なんか、地味ですね。今日は特に冒険もしていないような。」
編集されて、良いところだけを映している動画を見ていれば、そういう感想になるのもわかる。
だが、動画で映っていない水面下の部分の大半はこんなもんだ。
「マイクラってこういうゲームだよ?ほとんどの時間はこういう単純作業。特に最初の方はなんにもないから、木を切るのも遅いし、石を掘るのもゆっくりだし。」
そうやって、のんびり採掘したり、畑を作ったりを続けていたのだが、遥は少し飽きてきているようだった。
「これ、どのくらい経ったら、ドラゴンと戦ったりするんですか?」
「まぁ、普通に装備整えたりしてたら、次の次の休みの日くらいかなぁ。」
それを聞いた遥は、考え込んで言う。
「みなさん、すごく地道に努力されてるんですね。見えない部分がこんなに大変だったとは...。」
頑張ったところで、私は動画になっているようなすごい建物を建てたりはできないのだが、裏で行われていることを伝えられたのはよかったのかもしれない。
そんなことを考えながら、プレイを続けていると。
「そろそろ別のゲームをしませんか?格ゲーとかFPSも見てみたいです。」
遥は完全に飽きていたようだった。
まぁ、マイクラの作業をしているところなんて、やる方は楽しくても、見てても面白くはないんだが。
そこからはマイクラはやめて、格ゲーやFPSをやっていった。
勝ったり負けたりするたびに、遥は歓声を上げ一喜一憂し。
そんなこんなで、遥の応援を受けながらゲームをしていると、日は暮れ、休みの一日は穏やかに過ぎていった。




