うちに住み着いた幽霊が、人気配信者になってチャンネル登録者100万人???:17
いつものように、コンビニに寄ってから家に帰って、部屋の灯りを点ける。
「ただいま~。」
私がそう言うと、スピーカーから出迎えの声が響いてきた。
「おかえりなさい陽介さん。」
今日は上機嫌で、なんだか声も明るい。
何を見てたのだろうかと、ディスプレイを見ると、ゲームをしながら喧嘩のように掛け合いをしているVtuberの切り抜き動画が流れていた。
なるほど、それで元気だったのかと思っていると、遥が尋ねてきた。
「陽介さんはゲームはするんですか?」
そう言われると、最近はぜんぜんやってなかったかもしれない。
「けっこういろいろやるよ?FPSとか格ゲーとか。学生の頃はゲーセンに通ったりもしてたし。」
私が答えると、遥は笑顔で期待しているようだった。
「そうなんですね!陽介さんがゲームするのも見てみたいなぁ。やったことないんですけど、動画を見てると面白そうで。」
じゃあ、と提案してみる。
「次の休みの日は、ゆっくりゲームをしようかな。遥の好みかはわからないけど。」
そう言うと、遥は手を振りながらはしゃいでいた。
「楽しみに待ってますね。約束、忘れちゃダメですよ?」
荷物を片付け、手早くシャワーで汗を流すと、お湯を入れたカップ麺を片手にスマホの画面を点けていく。
配信アプリを開くと、配信中のところに甘音マカロンさんの名前が並んでいた。
「どうする遥?甘音さんの配信見に行く?それとも別の人の方が良い?」
そう聞くと、遥は少し悩んでから口を開いた。
「そうですね...。他の方のも見てみたいですが、昨日見に来ていただきましたし、今日は甘音さんにお礼を言いに行きたいです。」
さっそく、そのサムネを押すとライブ中の画面へと切り替わっていく。
視聴者数:3
今夜は他にも見ている人がいるんだなぁ、と思っているとコメント欄が動いていく。
システム:黄泉乃 ヒカリ さんが入室しました。
プッチンしないプリン:こんマカ
竹宮カグラ♪AランThx♪:こんマカ~
「こんマカ~♪ヒカリさん来てくれてありがとー!あ、こんマカはうちの配信の挨拶ね。」
そういう感じなのか。遥と顔を見合わせると、スマホのキーボードに指を伸ばす。
黄泉乃 ヒカリ:こんマカ
「そうそう、挨拶ありがと~!」
これで合っていたらしい。
遥はフンフンと頷いていて、手元にメモでもあれば、ペンを走らせていたかもしれない。
そうして見ていると、どんどんコメントが飛び、話が進んでいく。
プッチンしないプリン:なになに?ヒカリさんって知り合いなの?
「最近、配信見に来てくれて、ヒカリさんも配信始めたんだって。すんごい清楚な感じで、私が男だったら惚れちゃうかも(笑)」
竹宮カグラ♪AランThx♪:そうなんだ~。マカちゃんにも後輩できた?(笑)
プッチンしないプリン:φ(゜Д゜ )フムフム…
「プリンさん浮気はダメだよ~。本推しは別でいるでしょ(笑)」
プッチンしないプリン:(。・_・。)ピエン…
竹宮カグラ♪AランThx♪:そろそろ落ちるね~。おつマカ~
システム:竹宮カグラ♪AランThx♪ さんがハートを贈りました
「カグラさんハートありがと!おつマカ~!」
プッチンしないプリン:おつマカ
システム:竹宮カグラ♪AランThx♪ が退室しました
今まで見ていた切り抜きとは全く流れも文化も違って、配信とは言っても別物なんだと感じていると、どんどん時間は過ぎていった。
甘音さんが好みや最近の話をしたり、コメントに返したり、時々こちらに話題を振ってきたりとしていると、40分くらいが経過して。
「連続配信取れたから、今日はこの辺で終わろうかな。」
そう告げると、背景とBGMが変わっていく。
システム:プッチンしないプリン さんがハートを贈りました
プッチンしないプリン:おつマカ
黄泉乃 ヒカリ:おつマカ
「あっ、ヒカリさん。ハート押してくれるとうれしいな。右下のハートのボタン。お金は掛からないから安心して。」
どれだろうと画面を見ると、画面の右下の端にハートマークのボタンがある。
遥は画面を覗き込んで、そのマークを指差していた。
それを軽くタッチすると、画面の中にハートマークが漂う。
システム:黄泉乃 ヒカリ さんがハートを贈りました
「そうそう。ありがと~!バッチリ!それじゃ、またね~!」
言い終わると、画面が変わり配信終了の文字が浮かんでいた。
思っていたよりも、いろいろな仕組みや作法を覚えないといけないだろう。
遥は大丈夫かな?なんて思っていると、遥は両手の拳を握りしめていた。
「すごいです。ただ、見てもらうんじゃなくて、見に来てくれる人の一人一人に合わせて話して。それを何人も同時に...!」
不安もあるのだろうが、それ以上にやる気に満ちているようだった。
時計を見ると、時間は午前2時の少し前。
「それじゃ、遥も配信始めようか。」
私がそう言うと、遥は元気いっぱいの返事をする。
「はい!見に来てくれる人に応えられるよう、頑張りますっ!」




