うちに住み着いた幽霊が、人気配信者になってチャンネル登録者100万人???:15
もう、今日は終わりにしようかとしていると、システムチャットが流れ、一人入ってきた。
遥も来るとは思っていなかったのか、慌てながら挨拶をする。
「あ、えっと、こんばんは。黄泉乃 ヒカリです。よろしくお願いします。」
甘音 マカロン:こんばんは!配信始めたんだね!
「はい!ようやく準備が整って、今日が初配信です。誰も来てくれないかと思っていたので、とても嬉しいです。」
甘音 マカロン:最初はそんなもんだよ~。私だって、始めてからしばらくは視聴者ゼロの時間の方が長いくらいだったし。
「そうなんですね。私も見てもらえるように頑張らないと。」
甘音 マカロン:そうそう。このまんま、ずっと誰も来ないんじゃないかって、心折れそうになったりするけど、やってたらそのうち誰か来るから(笑)
「ありがとうございます。まだわからないことばかりで、すごく勉強になります。」
甘音 マカロン:ま、私は底辺だからあんまり参考にしないでね(笑)それより、イメージしてた通りですごい声綺麗。清楚な感じで羨ましいなぁ。
「えへへ。ありがとうございます。でも、私は自分の声より、甘音さんの声が羨ましいな。とても明るくて、私も元気を貰えるようで。」
入ってきてすぐは、大丈夫か心配だったが、話し始めたら案外スムーズに進んでいた。
以前に甘音さんの配信を見ていたのも良かったんだろう。
しばらく、そんな感じで会話が続いていっていたが、気付けば時間は午前三時を回っていた。
甘音 マカロン:明日もバイトだから、そろそろ落ちるね。明日もこのくらいの時間にやるの?
そのコメントに、遥は私の方を振り向いた。
手でOKマークを作り、微笑んで返す。
「はい。明日も配信する予定なので、また来ていただけると嬉しいです。」
甘音 マカロン:りょ。自分の配信があるから、それ終わったらまた来るね。おやすみ~。
「私もまた甘音さんの配信見に行きますね。今日は来ていただいてありがとうございました。おやすみなさい。」
システム:甘音 マカロン さんが退室しました
システムメッセージが流れ、視聴者数の数字がゼロに戻る。
キーボードに文字を打って、遥に問いかけた。
"来てもらえてよかったね。今日はこれで終わりにしようか?"
遥が頷くのを見て、配信終了のボタンを押す。
ちゃんと配信が切れているのを確認すると、私は口を開いた。
「お疲れさま、遥。初めての配信はどうだった?」
緊張が切れたのか、遥は体勢を崩して、ふにゃふにゃと返事をする。
「ふえぇ......。すごく緊張しました。でも、甘音さんに来てもらえてよかったです。」
その顔は、疲れているようだったが満足そうに少し緩んでいた。
本日の配信。視聴者数:2。
一人は先輩なので、実質視聴者数:1だったわけだが、これはこれでよかったのかもしれない。
これが視聴者が何人もいて、コメントがどんどん流れていれば、落ち着いて話せなかっただろう。
そんな事を考えていると、遥が問いかけてきた。
「明日も配信して良いんですよね?」
もちろんと返すと、続けて遥は言った。
「それで、自分の配信の前に他の人の配信を見たいんです。もっと勉強しないといけないと思って。」
なるほど。今日は甘音さんにいろいろと教えてもらっていたが、確かに他の人の配信も見た方が良いだろう。
私もわかってないことが多いし、視聴者を増やすためにはいろいろとやらないといけない。
「そうだね、遥。明日はバイトから帰ってきたら、配信始める前に、他の人のも見てみようか。」
私がそう言うと、遥はうんうんと頷いて、ニッコリと笑っていた。
「はい。自分がやりたいだけじゃなくて、他の人の配信を見るのも楽しみになってきたので、ぜひお願いします。」
そうして、部屋の電気を消して寝ようとすると。
「陽介さん!陽介さん!」
遥が引き留めてくる。どうしたのかと聞くと、
「寝る前に、動画をつけておいてください。出来れば切り抜きとか配信関係のものを。」
忘れてた。
いつもは寝る前に動画を流しっぱなしにするのだが、今日は配信をしていてすっかり忘れてしまっていた。
ごめんごめん、と声を掛けて、適当なVtuberの切り抜きを自動再生にして、画面に出しておく。
「大丈夫?寝ていい?」
冗談交じりに言うと、遥も笑いながら返してきた。
「はい。陽介さんが寝てる間も勉強しておくので、ゆっくり休んでくださいね。」
ベッドに入って、布団を被ると、静かな遥の声が聞こえてくる。
「陽介さん、ありがとう。おやすみなさい。」




