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うちに住み着いた幽霊が、人気配信者になってチャンネル登録者100万人???  作者: 入舟三叉


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うちに住み着いた幽霊が、人気配信者になってチャンネル登録者100万人???:14

 「準備はいい?」

机の上に小物を置いて立てかけたスマホを指し、問いかけると遥はコクンと頷いた。

配信開始のボタンに指を伸ばすと、

「あー!やっぱり、ちょっと待ってください!」

遥は手を伸ばして止めようとする。

その声に驚いて、私が手を引っ込めると、遥は胸に手を当てて深呼吸をしていた。

「ふぅ......。ごめんなさい。緊張しちゃって......。」

少し遥の動きが収まってきたので、声を掛ける。

「大丈夫だよ、急ぐことでもないし。遥のタイミングで良いから、落ち着いたら教えてね。」

そう伝えると、覚悟は決まったようで遥はゆっくりと答えた。

「ありがとうございます。今度こそ始めましょう。ボタン押してもらえますか?」

それを聞き、私は配信開始の丸いボタンを押した。


 画面が変わると、立ち絵が揺らぎながら動いている。

視聴者数はゼロ。

告知もなしに始めたので、当たり前ではあるのだが、画面の先には誰もいない。

今のうちに動作を確認しておこうと、PCの画面の方に文字を打ち、指示を出していく。

"ウインクしてみて"

遥が片目を閉じると、それに連動して配信画面の片目が閉じる。

"何か喋ってみて"

「こんばんは。」

遥がそう言うと、画面の中の口がパクパクと動く。

"左右に動いてみて"

遥が身体を左右に動かすと、画面の中で右に寄ったり、左に寄ったりと動いていく。

"OK。ちゃんと動いてる。"

そんな感じで、動作チェックをしていると、先輩からチャットが飛んできた。

アプリの初期設定が終わったら、動作チェックも兼ねて配信を見に来てくれるらしい。


 そんな感じで、いろいろと動いてもらいながら待っていたが、数分経っても配信には誰も来ていなかった。

「誰にも見てもらえないんでしょうか...。」

遥は寂しそうに肩を落としていた。

"最初はそんなもんだって。この前の甘音マカロンさんの配信も、視聴者は遥だけだったでしょ?"

私が画面に文字を送ると、遥は頷いていた。

「そうですね。とりあえず、誰か来てくれるのを待つしかないですね。」

そうして、またしばらくやり取りを続けていると、配信画面のチャット欄が動く。


システム:天才アーティスト さんが入室しました。(初めて)


 その文字に気が付くと、遥は手をブンブンと振り出した。

それに合わせて画面の中の絵も、小刻みに左右に揺れる。

「あ、えーっと。こんばんは。黄泉乃 ヒカリです。よろしくお願いします。えーっと...その...よろしくお願いします!」

たどたどしく挨拶をすると、コメントが返ってきた。


天才アーティスト:俺だよ俺。声は聞こえてるよ~。


遥が混乱しているようだったので、キーボードを打って伝える。

"先輩が来てくれたんだよ。さっき、来るって連絡来てたでしょ?"

それを見ると、状況が理解できたのか、遥の動きは少し収まっていた。

「あぁ、そうだったんですね。ありがとうございます。」


 今度はPCの方のチャットに先輩からのメッセージが来た。

どうやら、予行演習という感じで、それっぽいコメントを打ったりしてくれるらしい。


天才アーティスト:最近、配信始めたんですか?


遥はチャットの文字を確認すると、こっちを見てきたので、私は喋るようにジェスチャーをした。

「そう、そうなんですよ。今日始めたばっかりで、右も左もわからなくて。えへへ。」

遥がそう返すと、PCの方にサムズアップの絵文字が飛んできた。


天才アーティスト:そうなんですね。声も絵もかわいいですね。ファンになっちゃいそうです。


「本当ですか!?すごく嬉しいです!絵は私にはもったいないくらいカッコよくて、助けてくださったみなさまには感謝しかありません。」


コメントを打っているのが先輩だということを半分くらい忘れているのか、遥が勢いよく喜んでいると、またPCの方にもチャットが飛んでくる。

◎。先輩的に今の返しは良かったらしい。


 そんな感じでしばらく続けていると、また違うコメントが入ってくる。


天才アーティスト:そろそろ落ちますね。お疲れさまでした。


そのコメントを見た遥が目配せをしてきたので、キーボードを叩いてまた指示を出す。

"来てくれてありがとうって挨拶して、また来てねって付け加えて"

遥はそれを見ると、少しトーンを落として別れの挨拶をする。


「天才アーティストさん、今日は来てくださいましてありがとうございました。また、見に来てくれると嬉しいです。おやすみなさい。」


システム:天才アーティスト さんが退室しました


そのメッセージが流れると、視聴者数はゼロに戻る。

PCの方には先輩から、お疲れ!また明日!、と短くチャットが飛んできていた。

とりあえず動作確認もできたことだし、今日はこのくらいにしておこうかと、遥に伝えようとしていると配信画面のチャットが動く。


システム:甘音 マカロン さんが入室しました。(初めて)

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