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うちに住み着いた幽霊が、人気配信者になってチャンネル登録者100万人???  作者: 入舟三叉


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10/20

うちに住み着いた幽霊が、人気配信者になってチャンネル登録者100万人???:10

 夜もすっかり更けていたので、今日は寝ることにした。

遥はまだまだ元気なようで、他のライブも見たいと駄々をこねていたが、明日はバイトなのでそろそろ寝ないといけない。

宥めながら寝ようとすると、遥が。

「陽介さんが寝ている間、私は暇じゃないですか。むぅ・・・。」

確かに、遥に暇をさせておくのは良くないかもしれない。

放っておくと、また私の寝ている姿を見て、あれこれと世話を焼こうとして悪夢を見ることになるだろう。

「じゃあ、PCの方で動画を自動再生にして、流しっぱなしにしておこうか。音は大きくは出来ないけど、見てたら暇しないでしょ?」

そう提案すると、遥は少し悩んでから、しぶしぶ了承していた。


 音量のボリュームを落として、動画の画面を中央に。遥の姿を確認するために、端に小さくセルフビューを出す。

その後、部屋の電気を消し、ベッドに腰かけてから就寝の挨拶をした。

「遥。おやすみ。」

私がそう言うと、遥は静かに返してくる。

「陽介さん。おやすみなさい。」

床に就こうと、布団をめくって中に入ろうとしたが、ふと気になってPCのディスプレイの方を見た。

端の小さいセルフビューに、遥の顔が映っている。

暗い背景の中に青白い顔が浮かび、動画の光が反射して、顔がはっきり見えたり、消えたり。

あぁ、ホラー映画で暗闇の中を迫ってくるアレだぁ・・・。

遥は襲ってこないだろうことを知ってはいても、怖いなぁと思いながら布団を深く被って眠りにつく。


 ―


 翌朝。

とは言っても、日は高く昇ったお昼ごろ。

ここ数日とは違い、悪夢を見ることもなく、スッキリと目が覚める。

ぼんやりとした視界で、ディスプレイの方を見ると、セルフビューには遥が映っていた。

しかし、なにやら手を上げながら、ブンブン振り回して踊っている?

「おはよう、遥。」

そう挨拶すると、遥は何かに熱中していたのか、慌てながら姿勢を整えて答えた。

「えっ!?あー、おはよう、おはようございます、陽介さん。」

ちらりと、流れている動画の方を見ると、アイドルのMVが流れていた。

ここまで遥の反応をいろいろ見てきたが、こういうのは好きらしい。


 微笑ましく眺めながら、ゆっくり伸びをしてベッドから立ち上がる。

キッチンまで行き、水をコップ一杯飲み干して、煙草に火を付けた。

ぷかぷかと煙を漂わせながら、遥に聞く。

「何か面白い動画あった?その様子だと、けっこう楽しめたみたいだけど。」

からかいながら言うと、遥は拳を握りしめながら力説してきた。

「もちろん!あれもこれも面白かったです!大食いの人とか、私が一週間かけても食べられないくらい一気に食べちゃうし、サバンナのドキュメンタリーはとても景色が綺麗で、危ない科学実験をするのも面白かったし、あれもこれも.........。」

遥の動画の感想は、煙草が燃え尽きても、ずいぶんと続いていって。

しばらくすると落ち着いたのか、動画を見ていた時の疑問を聞いてきた。

「いろんな曲を歌っている人とか、顔だけの博識の人とか、緑の面白い人とかは、人気のタレントさんなんですか?」

いろんな曲?博識?面白い?そんなチャンネルあったっけ、としばし考え込んでいると、遥がディスプレイを指差した。

「これ、この人です。知識が幅広いし、最近の話題から学術的な話題まで、すごい学者さんとかなんでしょうか?」


 ディスプレイを見ると、赤いリボンを乗せた生首と、黒い帽子を乗せた生首が、"ゆっくり"歴史の話をしていた。

そういうことか。歌と緑は、おそらくアレとアレの事だろう。

疑問に思う遥に、種明かしをしていった。

「これは、文章を読み上げてくれるソフトを使って、動画を作っているんだよ。」

そう伝え、ブラウザの新しいタブを開くと検索してサイトを開いていく。

適当な文章を打ち込んで、再生ボタンを押すと、スピーカーから"ゆっくり"と声が流れた。

遥はびっくりしながらも、期待が裏切られたようで、少しガッカリしていた。

「そう・・・。そうだったんですね・・・。」

夢は夢のままの方が良かったのかもしれない。

だが、これを誤解したままというのは良くないだろう。


 そこから、いくつか電子の歌姫の動画を見せていると、遥の機嫌はだんだん戻ってきたようで、リズムに乗りながら動画を見ていた。

そうこうしていると、早めに起きたつもりだったが、気付けば出勤の時間が近づいていた。

「そろそろ準備してバイト行かないと。動画は流しっぱなしで出るから、帰ってくるまで待っててね遥。」

そう伝えると、遥はコクンと頷き、私が準備するのを見守っていた。


 準備が整うと、鍵やスマホをポケットへ突っ込み、遥に手を振る。

「バイト行ってくるね。良い子で待っててね遥。」

おそらく年上であろう、幽霊にそう言うと。

「はい。いってらっしゃい、陽介さん。」

遥は微笑みながら、手を振っていた。

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