始まりの塔9
湖の真ん中に向けて細く道が続いていて、中央には始まりの塔。
前回来たときとは全く違う、湖の水は透き通っていて水面が輝いている。
塔は全く汚れも傷みもなく真っ白で、日の光に照らされて淡く優しく光っていた。
周りを囲む原始の森も、鮮やかな緑の葉が優しい風に揺らされて踊っているようだ。
なんて美しいのでしょう。
この森の空気がとても優しい。
昨日の暗く重い雰囲気が嘘のよう。
私は陛下に呼ばれて、陛下のすぐ後ろにつき塔へ続く道を歩きだした。
いよいよ塔の前まで来た。
塔は例えるなら金閣寺くらいの高さかな?白くて丸い塔。
入り口はハクトでも余裕で通れるくらいの大きさだ。こんな大きな扉を開くのは力がいりそう。
鍵って何処にあるんだろう?
扉には見たところ鍵穴なんて無くて、むしろこのまま入れそうな感じだ。
「リナティシア、今から扉を開けるよ。」
陛下が振り向いて、私を見ながら面白そうにいう。
陛下もイケメンよね。
ここっていう時には凄く圧のある話し方をして、自然と頭が下がるけど、今みたいにしてると凄く若く思える。まぁ31歳だから若いんだけどね。
今の陛下は凄くワクワクしてて楽しそう。7年も閉ざされていたから楽しみなのかしら?
「鍵は何処にあるのですか?扉はどう開けるんでしょう?」
自分では解らなかったから興味で聞いてみる。
「私が鍵なんだよ。」
そう言うと陛下は扉の中央にそっと両手を置いた。
するとそこから金色の光が溢れて扉を包んでいく。
扉を全て光が包むとカチリと確かに鍵の空く音がした。そして扉が自然と開いていった。
おぉーーー。ファンタジー!
陛下が鍵と言うことは陛下がいなければ入れないのね。
塔の中は見た目より広かった。
部屋の中心に台座があって、それを囲むように剣が立っている。
剣は地面から浮いていて、均等に間隔を開けて立ってる。全部で7本。
剣はどれも素晴らしく美しい。
これ1本1本が国宝なんじゃないかしら?剣1つ1つに魔法石が沢山埋め込まれて、それぞれが淡い光を放っている。
私がキョロキョロ辺りを見回していると、陛下が私を見てにっこり笑い
「じゃぁリナティシア、精霊王を呼んで。」
「はっ…………?」
思わず間抜けな声が出てしまった。
えっ?なんて?確かに今日私はここに精霊王に会いに来たけど、私が呼ぶの?
陛下もそんな、醤油とって。くらいの軽い感じで頼みますけど、私はどうすればいいか解りません!
私のなかでは中に入れば会えると思ってたし、呼ぶってどう呼ぶの?
そもそも精霊王を呼ぶのなら陛下が呼ぶんじゃないの?
「じゃー精霊王を呼ぼっか!」
テンパってる私の元にビエントが来てくれて、話しかけてくれるけど
「………どう呼ぶの?」
前にビエント呼んだみたいに、精霊さーんって呼ぶとか?
「やだなぁ、リナにしか出来ない魔法があるでしょ?
精霊も精霊王達も、皆リナの歌声が大好きだよ。
リナの歌声で始まりの塔を満たして精霊王達を呼んで!」
そっか、歌。そうだった。
歌を歌うことで精霊王が出てきてくれる?なら歌えば良いのかな?
どんな歌を歌おう?
私は精霊王に会いたいのよね。
それで魔災について聞きたいんだ。
そして精霊王は私の記憶を思い出させた人。
でもそもそも精霊王は説明が少ないんじゃないかしら?愛し子って言っちゃダメしか言わないから皆も言えなくて、結果私は小さい頃から魔力無しの加護無しって言われてたんだし。
それで随分辛い思いもしたし、悔しかったわ。
どうして私だけこうなの?って、家族はとても優しかったけど、自分は価値なんてないって思ってたし。
………うん、考えると腹が立ってくる。
今は妖精の加護もちゃんとあるし、力もあることは解ってる。
でも今度は急に魔災を止めろとか言われるし。
そうだ!あの歌を歌おう。
某アニメの歌だけど、今の私にはぴったりだ。
私が何を歌うかを考えて居ると、後ろでは一緒に来た人達がビエントの指示で剣の後ろまで下がって、私は陛下と台座まで来ていた。
私は一度周りを見回して、ゆっくり歌い始めた
皆も私の覚悟を聞いて
私は貴方に逢うためにここまで来たわ
皆と違うことにずっと悩んでた
なぜ私が愛し子なの?
理由が知りたい。貴方にいろいろ教えてほしいの。
ずっと迷ってた
今もまだ迷ってる
でも、ここに私の大切な人達が居る
私は皆を守りたい
その為の力が私に有るのなら、受け入れるわ
だから、私にその姿を見せて
ここまで呼んで下さってありがとうございます!
この次の話は早く投稿できるように頑張りますね。
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