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1万+35対15万の戦 4(奮起)

うーーーん、長くなりすぎた感じがして、くどいかもしれません。

誠に申し訳ない。


一瞬何が起こったか全く分からなかった。しかし、剣が鞘から出されている事から武技を使ったのだろうと予想できた。だけど、あんな武技なんて見たことがなかった。一瞬のうちに散らばって攻めて来た兵士たちを肉片に変えるなんてハヤトでさえ無理だろう。それほどまでにすごい技だった。

というか俺の敏捷値でさえ見えない速度とは一体どれほどなのだろうか。

なんて考えていると


「どうしたんじゃ?オウガよ。怪我は大丈夫なのか?」


と優しく話しかけて来た。


「大丈夫です。それよりも、先ほどのあれは一体なんだったのですか?」


オウガはいかにも不思議です。と言わんばかりの顔をする。


「そうじゃなあ。《剣神》スキルのおかげじゃろうなあ。」


と白い髭をさすりながら答えた。なるほど、剣神か、、、え?


「《剣神》スキル、、、ですか。」


聞き返すように尋ねる。


「そうじゃよ。昔はよく剣一本で魔物の討伐に向かったものじゃ。そしたらの、いつのまにか《剣神》にまで至っておったのじゃよ。」


と目を細めながら優しく言ってきた。

信じられない。チートも何もない陛下がまさか才能と努力だけで神の領域に到達しかけたのか、、、

とオウガは達観する。

そして、今一度認識を改める。


(こいつは敵に回すとやばい。)


チートなど一切の補助を受けずに技術だけを磨いたならばステータスにどれだけ差があろうとも陛下は技術だけで覆しかねない。

俺たちはチートや皆は知らないと思うが職業のレベルアップに補正がかかっているらしい。

ユキチの身体を借りて話したルナ曰く


(「お主らは努力さえすれば、たとえ神にすら到達しかねないレベルの才能を持っておる。それを、努力の方向を踏み外さないようにするのが、妾とこの、ユキチの役割じゃ。せいぜい、精進するのじゃぞ?」)


と悪戯な笑顔で話していた。あれは良く覚えている。いや、普段の無表情がちなイメージとは違ったからな。

と内心ひとりごちる。


まあ、なんにせよ、職業の進化には一般人程度なら並大抵の努力では追いつくことすらできない速度だというのに陛下は、、、


「ん?どうしたんじゃ?儂の顔に何かついておるのか?」


気を戻すと目の前に不思議そうに首を傾げ顔を触っている陛下がいた。

いかんいかん、考え事に集中していたらしい。

気を取り直して、、、自分に喝を入れる。

あと2回死ねると言ってもそれはもしもの時。大事にしていこう。


「なんでもないです。陛下。少し考え事をしていました。先を急ぎましょう。」


誤魔化して敵兵に押されて来ている兵士の一群を指してそう言う。

陛下はまあいいか。と指した方向へと歩き出す。隣では耳が尖った女性が後をついて行っていた。


「民の為に立ち上がって、民を守っていく事こそが王としての責務ではないのだろうか。」


ぼそり、と陛下が呟いた。

頭に浮かんだのはかつての故郷。

卓上の理論を飛ばし合い。その理論で使われている当事者の悲痛な想いなど一蹴し。じゃあ、君たちのうち誰かが代わりにやってみろといえばこぞって互いにどうぞどうぞとなすりつけ合う。そんな腐った世の中。

責任が問われる。そんな仕事をやるなんて少数の人しかおらず、少しでも楽な方へと進みたがる人類。


本当に、、、、どうしようもない。


そんな事を考えたが、首を振り考える。

目の前に歩いているこの人の目はなんと輝いて、誠実な、美しい目をしているのだろうか。

ワンパターンな枠に収まらず自分の道を進みたがるようなこの人は、だからこそ民に愛されているのだろう。

領地の町村が反乱を犯したなんて話は図書館の本にも全然乗っていなかった。


俺は、この人をすごい、と思った。





「さて、」


しばらくして、陛下が急に立ち止まり、大きく息を吸う。


「皆の者!!!この儂も、アルカ・ディア・バルバロッサも貴君らの加勢に来たぞ!!!国のため!!民のため!!家族のため!!もう一度!!奮闘するのじゃ!!!」


戦場に響く大きな声。

しーんと静まり返る戦場。

そして、



「『おおぉぉおおぉお!!!!』」


と一斉に兵士たちが叫び出す。

まるでみんなの心が一つになっているかのようだった。


疲れ切っていた目には光が宿り、血まみれの身体を、まるで怪我がないかのように動かし。

諦めていた者の心を動かし、前を向かせる。

自分の大切なものを守る。ただそれだけのために、

約1万の兵士はもう一度、立ち上がったのだった。












「なーーーんてハッピーエンドで逆転されるほど甘くはないんだよねぇ〜〜〜。」



と言う声がふと聞こえたと思ったら


チュドォン!!


と言う音と共に、

1万のうちのおおよそ4割が消え去った。


その光景を、俺はただ何もできずに呆けて見ていたのだった。


絶望よ。来たれ。

とでも聞こえて来そうですね。

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