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転生先で愛を求む  作者: もろ刃
幼児期
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第3話『母の加護と過保護』


 この世界に来て三年の月日が流れた。

 異世界の言葉にも慣れ今では考えなくても話せるまでになった。

 そして今日初めて自己愛の加護を試すため家の裏庭に来ていた。

 加護の発動には詠唱が不可欠らしい、それも声に出して言わないといけないらしく。

 以前どうしても使ってみたく、心の中で詠唱してみたのだが何も起きなかったのだ。

 

(早速やってみよう)


 本によると自己愛は丹田(たんでん)つまりへその下の部分にあるらしい。

 加護を使う時は詠唱をし、丹田から集めたい部分に自己愛(ナルシズム)を流し込むイメージをするのだとか。

 やってみるか。


「神は我を愛さず、己(おのれ)は自(みずから)を愛し力を求む」


 心臓の鼓動が早まり丹田に熱が熱を持つ


 (おそらくこれが、自己愛(ナルシズム))


 これを強化したい場所に流すイメージをする。

 イメージ、つまりは妄想力だな。

 妄想の一つや二つ出来なくては男がすたるってもんだぜ。


「うし、いくぞ!」

 

 丹田の熱を血管う伝わせ足に流し込む。

 こんな感じか。


 いつもとは違い足の周りを何かが覆っている感覚がある。 


(成功ってことなのか)


「いくぞ」


 足に力を入れて思い切り跳ぶ。

 一瞬だった、一瞬で50メートルほど上に跳び上がった。

 しかし浮いたわけではなく跳んだだけなので上がれば落ちるのは必然だ。


 上への力が完全に消え落ちる力へと変わる。

 次は安全に着地しなきゃならない訳だ。

 選択肢は二つまず体の頑丈さを信じ生身で着地、これはダメだ多分普通に死ぬ。

 だとするともう一つ恐怖を押し殺しもう一度足に自己愛を纏わせての着地だ。


(ダメだ!間に合わない)


 どうしよ、どうする、どうしたら・・・・これならいけるかもしれない。

 不安だがやるっきゃない。

 


 考えてる間にも落ちていき地上まで残り20メートルとなってしまった。

 すぐさま詠唱を始める。


「神は我を愛さず、己(おのれ)は自(みずから)を愛し力を求める」


 ドガン!!


 その直後大きな音が響いた、人が落ちた音だ。

 砂埃が立ち込める。


「あっぶねーーー!助かったーー!」


 砂埃の中にはシャチホコのように腰を反った状態の男つまり俺だな。

 落ちる直前足での着地は無理だと判断した俺は詠唱後、自己愛がはじめに発生する丹田へと全集中した。

 そしてそのまま丹田での着地という訳だ。

 これ、クセになりそう。


(もう一回やってみよ)


 もう一度試す為に立ち上がる。


「いったあ!!」


 立つために踏ん張った足にズキリと鈍い痛みが走る。


 折れてる・・・・やっぱ三歳児の体じゃ耐えられなかったか、今度使う時は調整しないとな。


(いい機会だ、自己治癒も試してみよう)


「神は我を愛さず、己(おのれ)は自(みずから)を愛し癒しを求む」


 原理は自己強化と同じだ、先ほどやったように足に流し込む。


 自己強化の感覚とは違い足の内側が熱くなる。

 しかしその熱はすぐに冷めてしまう。

 

(あれ、もう終わったのか)


 もう一度立ってみる。


「いたっ」


 やっぱり痛い、俺は自己治癒が下手とかですか。

(うーん、困ったなこっから動けなくなった)


「あらあらあら、アミ、あなた怪我してるわね、ママに見せてみなさい」


 母さん?!いつの間にというかなんで怪我したの知ってるの。


 色々と疑問はあったが言われた通り腫れ上がった足を見せる。


「あらー痛そうね、こんなに腫れちゃって。でも大丈夫よママが治してあげるからね」


 治す?自己治癒は自分にしか使えないはずだ、それなのにどうやって治すつもりなんだ。


「家庭を司りし女神よ、アマード・へストルゲーとの縁を伝い我に災いを」


 そう言ってから俺の足に触れる。

 自己愛の詠唱じゃない、てことは母さんの加護か。


「よし、治ったわよ。立ってみて」


 言われた通り立ってみる。

 嘘だろ?!本当に治ってる、どう言う原理だ。


「か、母さんこれどうやったの?」


「え〜、知りたい?じゃあー『ママ大好き♡』って言って」


 はぁー、こちとら中身は30手前のおっさんだぞ、厳しいって。

 いやーでも知りたい!言ってしまおうか。

 まぁ失うものもないし言っちゃおう。


「ママ大好き♡」


(オエー、俺キモ、精神に50のダメージ、未だ失うものはあったようだ)


「きゃわー、うんうんママも大好きよ!」


「そ、それでどうやったの?」


 返す言葉が見当たらず話を逸らす俺に物憂げな表情をしつつも答えてくれた。


「えっとね、私の加護であなたの怪我をこっちに移したのよ」


 そう言って自分の足を指差す。

 確かにその足は先ほどの俺のように腫れ上がっていた。

 

「本当だ、でもそれ痛くないの」


 俺の怪我をそのまま移したのなら死ぬほど痛いと思う のだが、さっきから平気そうに話している母をみて、つい疑問に思い聞いてしまった。


「痛いわよ、死んじゃいそうなくらい」


 平気な顔でそう答える。

 これが「母は強し」ということか。


「じゃあママ、お洗濯しないとだから行くわね。気をつけるのよ」


「ありがとう、母さん」


「どういたしまして」


 母は平然と歩き去っていった。

 去っていく母の足には先ほどの腫れはもうなく綺麗さっぱり治っていた。

 治ってる、詠唱も聞こえなかった。

 もしや漫画やアニメで強キャラが使う無詠唱というやつではなかろうか。

 だとすればこの母強い?

 優しい母から強く優しい母へと認識を書き換えておこう。

 

 「餅は餅屋」というし母に加護の使い方を教わるとしよう。

 俺は分からないことはしっかりと人に聞ける男だからな。

 それにしてもドッと疲れたな、今日はもう休もう。


 彼は疲弊し切った様子でフラフラと一人わが家に向かうのだあった。






 


 


 


 




 


 

 


 


 



 

 


 


 


 



 

 

 

 


 

 

 


 






 

 

 


 


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