第2話『この世界につき』
最近歩けるようになった。
はじめて歩いた時、両親は大騒ぎだ。父は町中の人を家に呼び、母は号泣していた。親バカというやつだ。
俺自身、愛されている実感が持てて悪い気はしなかった。多少気恥ずかしいがそれもよしだ。
やはり二本足で歩けるっていうのは良いな。獣から人間に進化した気分だ。
歩けるようになったことだし宣言通り二階に向かうとしよう。
二階には寝室以外は何があるのかは分からない、だが寝室に向かうときに部屋がいくつかあるのは確認済みななのでなにかはあるだろう。
(よし、ついた。まず寝室の隣の部屋からだにしよう)
この家は全てドアレバー式になっているので背伸びすれば開けれない事も無さそうだ。
ドアを開け中をのぞくと武器やら鎧が壁にズラーと掛けられていた。
(これは父のモノだろうか、この中で使うなら弓だな、剣とかより安全そうだし)
この部屋は父のコレクション部屋みたいなモノだろう。
いくつか持ったら触ったりしたが全て本物の武器だろう。
一般的な両刃の剣やサーベル、日本刀のようなものまであった。
鎖鎌や鞭などの飛び道具まで飾られていた。
(これは相当な武器好きだな、体がデカくなったら誰かいただくとしよう)
そう心に決め次の部屋へ向かうことにした。
次は個々の一つ隣の部屋だ、先ほどと同じように中をのぞく。
ここの部屋には大きな鏡があり棚には化粧品らしきものがきれいに並べられていた。
(ここは母さんの部屋か、しかしこの世界にも鏡や化粧品なんてあるんだな)
前々から自分の顔がどんなのか気になっていた俺はいい機会だと思い鏡を使い見てみることにした。
鏡に映る顔は父親によく似た顔立ちと母親のキリッとした目をしていた、頭髪は父の白髪を強く受け継いでおり赤のメッシュがところどころに入っている。
右目だけが緑色だったのが少し気になったがオッドアイという奴だろう、かっこいいしそこまで気にならなかった。
髪の色はできれば赤が良かったが産んでもらっといて文句は言えない。
俺はイケメンが嫌いなのだが、自分の顔となると話は別だ。
イケメン大好き。
(さてと、イケてる俺は次の部屋に行っちゃいますか)
何処かで俺を見ている者がいたら調子に乗るなというかもしれない。
しかし今だけは許してくれ、どうせ人前ではろくに話せないんだ。
中身は俺なのだから・・・・いやダメだ!こんなこと考えてなんになる、切り替えろ俺!
次はこの部屋の逆にある部屋に行ってみるか。
中には何もなく空き部屋になっていた。
(何もないか、まあいい次行こう)
そこから四部屋ほど見たが同じく空き部屋になっていた。
(使ってない部屋が多いんだな、子供のために作った部屋とかか、しかし部屋が多いな、まぁあの二人の盛り具合なら使い道には困らなそうだが)
次が最後の部屋だ。ここは寝室の反対側にあり角部屋となっている。
ここも空部屋とかはやめてほしいものだが、父がここに入って行くのを何度か見たので何かある事は確信していた。
ドアを開き最初に目に入ったのは、身長の倍以上ある本棚だった。
本棚には本が整理して並べられており、全部で二百冊以上はあるんじゃないだろうか。
最後に大当たりを引いた。
本には多くの情報が詰まっている。今の俺にとって一番必要なものといっても過言ではないだろう。
早速だが何か読むとしよう。
俺はとりあえず目についた本に手を伸ばす。
表紙には知らない文字が書いてあり、表紙は分厚く作られていた。
いわゆる『ハードカバー』というやつだ。
本を開くと知らない文字で長文がかかれていた。
(言葉がわかってもさすがに文字は無理か)
自分で読むのはあきらめ母に読んでもらうことにしたーーーー
ここ数日で20冊ほど本を読んでもらった。
そのほとんどが冒険譚や英雄譚だった。
アパシーという愛の最大の敵を神と協力し封印する話や王女様と平民の恋愛話しなどよくある恋愛小説まであった。
しかしこれらの本からもこの世界について分かった事があるのでまとめよう。
1.魔法という概念はこの世界にはない、その代わりに神の加護が備わっている
ナルシシズムという概念から加護が贈られる、それ以外詳しいことはわかっていないらしい。
2.加護は産まれた瞬間に授かり、初めに授かる加護は例外なく自己愛というもの
自己愛の加護で出来ることは二つ
身体強化と自己治癒だ。強度は自己愛の大きさで決まるらしい。
3.加護は自分の成長と共に成長し自分だけの加護に変化する
変化する加護は大きく分けて七つだ。
エロス(情熱的な愛)ヘラ(家族愛)プラグマ(実用的な愛)
フレイ(自然の愛)ルダス(遊びの愛)ストーゲイ(友愛的な愛)
現在判明している加護はこんな所だ。
4.加護が変化すると体の一部分がそれに伴った変化をする
髪の色が変わったり、体に印が現れたりもする。母の赤髪と父の青い目もそれが原因らしい。
5.どんな加護も愛に関わるものになる
とりあえずこんなものか。
書庫には二百冊以上あるのでまだ役立つ知識があるだろう、すべて読むのは骨が折れそうだが何もせず時間を持て余すよりはマシだろう。
分かったことがあったらその都度情報を整理するとしよう。
本に書いてあった自己愛についてもそのうち試してみるか。
そう決めると新たな情報を求め書庫へと向かっていったーーーー




