『どうやら死んだらしいよ』
目が覚めると真っ白な空間が広がっていた。
(ここはどこだ、白い空間、病院か。てことは俺生きてるのか・・・・最悪だ。)
職を失い人への信頼も自分への期待も失ったあの場所は俺にとって虚無の世界でしかない。
改めて周りを見渡す。
(ここは病院なんかじゃないのかも知れない)
ドアや窓がなく終わりの見えない真っ白な空間。
閉じ込めたいのか自由にさせたいのかよくわからない空間だ。
「ーーー目が覚めたか」
「えっと、どなたですか?」
(女の声、ここの住人か?)
それは半分正解で半分間違いだった。
声がした方を向くといたのは確かに女性だった。
しかしその肌は緑で染まっていて、包帯が巻き付けられている。
さらにその上から黄金の衣服を纏っていた。
「我は死と再生を司る神「オシリス」死者の審判者である。」
(オシリスってエジプト神話のか、ほんとに肌が緑色だ・・・まったく違和感ないな。むしろ白とかの方が気持ち悪いかも。)
「オシリス様、私は死んでしまったのでしょうか?」
出来るだけ丁寧な言葉遣いで聞く。
オシリスは神の中では温和な性格と聞いたことがあるが、あくまでそれは人間の尺度での話だ。
もしタメ口や舐めた口を聞いたら機嫌を損ねる可能性もある。
「おぬしは死んでおるぞ、だから我が前におるのだ。」
(やはりそうか)
「自殺とは感心しないがな」
「それは、僕の意思とは関係なくて・・その・・気づきたら死んでたというか」
(やばい、自殺は地獄に落ちるって聞いたことあるぞ)
「ほぉ、自分の意思ではないと?」
(自分の意思じゃないともっと悪いとかなのか?ミスったかも)
俺は頭をフル回転させ最適な言い訳を探す。
しかし内申点、道徳以外オール1の頭の回転では何も出てこない。
「ごごご、ごめんなさい!」
焦って絞り出したのが子供のような謝罪だった。
「・・・・はははは!子供のような謝罪じゃの。安心せい、全て知っておるわ。からかって悪かったの」
(よかったー、無理なら最近会得した土下寝を繰り出す所だったぜ)
秘密兵器は出さなくて済んだようだ。
「コホン、『田嶋 優』そなたには別の世界で新たな人生を歩んでもらう。よいな?」
一度咳払いをし目の前の男にそう伝える。
(転生ってことか・・・・断る理由なんてないな!絶対楽しいし。しよう、転生!)
「分かりました、それで大丈夫です!」
数秒間考えた後、答えを出す。
「そうか、話が早くて助かるぞ。では最後に記憶を残すか消すかを選べ。」
「残します」
即答してやった。
(こういうのは記憶があった方が良いってどっかのラノベ主人公が言ってた)
「そうか、ではおぬしを新たな人生へと導くとしよう」
(案外すんなりと転生させるんだな、もっと『選ばれし者よ』みたいな感じだと思ってた)
「あの最後に・・転生先はどんな所ですか」
流石にどこに行くのか知らないと怖いので聞いておく。
「それは我の知るところではない、まぁ行ってからのお楽しみというやつだ。」
「そうですか」
(そこは教えて欲しかった・・・・まぁそれも一理あるな)
「この者に死と再生の加護があらんことを」
「なんですかそれ」
「我からおぬしへの贈り物じゃ、悪いものではない、ではさらばだ」
言い終わると俺の周りが光に包まれる。
そこで意識は途切れたーーー
ありがとうございました。




