第1587話 アンドレア領でメリッサさんをピックアップ
蒼穹の覇者号を巡行させて、早くもアンドレア領である。
飛行艇は速いなあ。
一週間の徒歩の旅が、一時間弱で到着である。
アンドレア領城の中庭に慎重に蒼穹の覇者号を着陸させた。
メリッサさんと、お父さんお母さん、家来さん一同がいた。
わたしは艇長席を下りて、タラップから船外に出た。
「ああ、マコトさま、わざわざありがとうございます」
「いいのよ、メリッサさん」
「聖女さま、娘がお世話になっております」
「お父さんたちも秋に王都に来ますか。秋にブロウライトのお父さんお母さんを迎えに来るのですが」
「ああ、文化祭や秋のダンスパーティですね。ご迷惑でなければ私たちもご一緒させてくださいませ」
「はい、では、秋にお会いしましょう」
「是非よろしくおねがいします。これはつまらないものですが、よろしかったら、教会へお持ちください」
おお、アンドレア領のワインの樽が沢山運ばれてきたぞ。
後部貨物室に入れてもらった。
ヒューイの居場所が狭くなって、彼はちょっとむっとしていた。
《甲板にいく》
ヒューイは羽を広げて甲板まで飛んでいった。
ごめんね。
「さあ、丁度良い時間です、お城でお昼をお上がりくださいよ、マコトさま」
「ありがとうございます」
「みなさんを呼んでまいりますね」
ダルシーが唐突に現れてタラップを上がっていった。
みんなで領城のダイニングへと移動した。
カーチス兄ちゃんとリチャード兄ちゃんは、メリッサ父さんとしては上の立場の貴族の息子さんだから、揉み手をする勢いでおもてなしをしている。
アダベルと子供も多いので、セッティングも大変そうだ。
みんなでテーブルに着くと、美味しそうなお料理が運ばれて来た。
牛肉のワイン煮とか、美味しそうなジャガイモシチューとか、アンドレア領っぽい料理が並んでいるね。
ワインも、一人に一杯配られた。
子供達には葡萄ジュースだね。
「マコトさま、今年の新酒なんですよ」
うん、知ってる、一週間前に飲んだよ。
「いただきます」
「「「「「日々の粮を女神に感謝します」」」」」
ぱくり。
うん、美味しい美味しい。
やっぱりワインが良いから、アテになるお料理も発展するのだろうなあ。
「いやあ、アンドレア領のお料理は美味しいね。ここまでとは」
「うっきー」
リチャード兄さんとモンチーもお料理が気に入ったようだね。
「美味しいねえ、アダちゃん」
「ワインが飲みたいが、まあ、葡萄ジュースで我慢しよう」
「煮込みおいしーっ」
子供達も楽しんでいるね。
ワインをカプリと飲む。
ああ、あの時のんだ美味しいワインだね。
うんうん。
「先週、巡礼団の人が来て、ご接待をしたのですよ。その中の馬子の女の子がなんだか、マコトさまみたいな雰囲気で、やっぱり教会にはマコトさまのような善良な人が沢山いるのだなあ、って思ったんですよ」
そりゃ、私だぜ、とバラしそうになったけど、まあ、黙っていた。
カロルの目が笑っていたが。
うん。
まあ、黙っていた方が良いこともあるね。
カーチス兄ちゃんがワインをおかわりして、エルザさんに止められていた。
あの兄ちゃんはこらえ性が無いね。
カロルもワインを飲んでいた。
「おいしい?」
「うん、アンドレアワインは好きよ」
「ありがとうございます、カロリーヌさま」
やっぱり特産物のある領は良いよね。
食事が終わり、お茶とケーキが出てまったりした。
巡礼の旅は粗食が多かったから、ご馳走を食べてなんだか充実したな。
「それでは、お嬢様を王都に送って行きますね」
「はい、よろしくお願いします」
メリッサ父さんに挨拶をして、メリッサさんを伴い、みんなで蒼穹の覇者号に乗り込んだ。
「ああ、覇者号もひさびさで、なんだか帰って来た感じがしますね」
「お帰りメリッサさん」
「はいっ」
マメちゃんが影から出て来て、メリッサさんにじゃれついた。
「まあ、マメちゃん、会えなくて寂しかったですよう」
「わんわん」
私は艇長席によじ登った。
「次はアップルビー領ね」
「そうだね、ユリーシャ先輩をひろって、そのまま北上して王都へ、学園に戻ろう」
【蒼穹の覇者号、離陸シーケンスに入ります】
「あいよう」
私は出力レバーを押し上げてプロペラの回転を上げて蒼穹の覇者号を離陸させた。
アンドレア領城上空で東の方角へ回頭、速力をあげた。
一路、アップルビー領に向かう。
山岳を三つ跳び越えて平野の穀倉地帯を飛んで、二時間、アップルビー領城へと着陸した。
が、肝心のユリーシャ先輩が出てこない。
「なんだろ」
「ああ、忘れてるんじゃねえの?」
「明日かと思ったのかな」
私はタラップを下り船からでた。
領城から、慌てた感じで家令さんが出て来た。
「こ、これはこれは聖女さま、今日は何の御用でございましょうか」
「ユリーシャさまをお迎えにきたのですが」
「は! なんですと、お迎えは明後日ではございませぬのかっ!」
「明後日は始業式が始まって二学期ですよ」
「なんですと!!」
ああ、公爵令嬢だから、そこらへんわりと適当なのかな。
きっちり期日を守らなくても、だれも指摘とかしないのだろう、あまりに偉いから。
若い役人の人が領城内に向けてダッシュで入って行った。
「あら、今日でしたの?」
「そうだよ、ユリーシャ先輩」
上の方の階の窓からユリーシャ先輩が顔を出した。
「あら大変、何の準備もしていないわ。ちょっとお待ちになって。メストン、皆さんをカフェでおもてなしをしておいてちょうだい」
「はい、お嬢様」
家令さんはメストンさんなのか。
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