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獣人と使い魔と魔法

使い魔アンブルバードのダクネスを仲間にしたユキは、ルノとの約束の通り魔法の練習をすることにした。

「ユキ!起きろ!今日は魔法の使い方教えてくれるんだろ!」

普段はユキが起こしに行かないと起きてこないルノが、ユキを起こしに来た。

「ルノ?どうしたの?こんな早い時間に、」

「もう日が昇ったぞ!朝だ!魔法の練習するぞ!」

ルノは目をキラキラさせている。

「ルナは?」

「まだ寝てる!」

「じゃあ、ルナが起きて、朝ごはんを食べてから練習をはじめましょう」

「わかった!ルナを起こしてくる!」

ルノはユキが止めるのも聞かず、走ってルナを起こしに行った。

「まったく。ダクネス、起きてくれる?」

ユキの部屋に用意した止まり木で寝ていたダクネスを起こす。

ユキの声でダクネスは目を覚まし、前足で顔をかき、クチバシで身なりを整える。

「ごめんね、まだ朝早いのに起こしちゃって。ルノが早く魔法の練習をしたいみたいなの。ダクネスも協力

 してくれる?」

ダクネスはユキの方に乗り、キーと返事をする。

「ありがとう。それじゃあ、朝ごはんの準備をしなくちゃね」

ユキはキッチンに行き、朝ごはんの準備をする。

「ユキ!ルナを起こしてきたぞ!」

ルノがまだ目が開ききっていないルナの手を引いて連れてきた。

「おはよう、ルナ。眠いだろうけど、ルノに付き合ってあげてね」

「ふぁい」

ルナは目をこすりながら返事をする。

ユキたちはスープとパン。ダクネスはドライフルーツを食べた。

「ごちそうさまでした」

食事を終えるとルノがすぐに立ち上がり、外に出ようとする。

「ルノ!ちょっと待って!」

「なんだよ、ルナも起こしたし、朝ごはんも食べたろ!」

ルノは不満そうな顔をしている。

「まだ片付けも終わってないし、支度もできてないでしょ!ルノも顔を洗ってきなさい!」

ルノは渋々食器をシンクまで運び、ルナをつれて顔を洗いにいく。

ユキも洗い物を終え、支度を済ませる。

「よし!準備OK!お待たせルノ、いきましょう!」

ユキの言葉にルンルンで外に飛び出す。

かつてユキが魔法の練習をしていた場所に移動し、落ちていた木の柱を立てる。

「あの木の柱が的よ。あそこに当てる練習をしましょう」

ユキはしゃがみ込み、ルノと視線を合わせ手を繋ぐ。

「ルノ、魔法を使うには体に魔力を巡らせる必要があるの。私の体に流れている魔力を感じ取れる?」

ルノは目を伏せ、集中する。

「ユキの体にポカポカあったかい何かが流れてる」

「それが魔力よ。じゃあ次は自分の体に魔力を巡らせてみて」

「どうやってやるんだ?」

「イメージが重要なの。体に魔力を巡らせるイメージをしてみて」

ルノは再び目を伏せ、体に魔力を巡らせるイメージをした。

「なんだか、体がポカポカしてきた」

「魔力が体を巡っている証拠よ。次はその魔力を体の外に放出するイメージをしてみて。どんな魔法を使

 いたいか、どんな形にしたいのか、はっきりとしたイメージをもつの」

集中してイメージを膨らませる。

ルノはカッと目を見開き、唱えた。

<ウィンド>

そよそよっとした風がふいた。

「ふっ」

あまりにも弱い魔法にユキは少し笑ってしまった。

「わっ笑うな!!初めてなんだぞ!しかたないだろ!!」

ルノは顔を真っ赤にして怒っている。

「ごめんごめん、でもしっかり魔法使えてたよ!後はもっとはっきりとしたイメージをもつことね」

ユキは手をかざし、唱えた。

<ウィンド>

ユキが唱えると、ルノやルナの体が浮いてしまいそうになるほどの暴風が吹き荒れた。

「すっすげぇ」

自分の魔法とは圧倒的な力の差にルノは放心状態になる。

「こんな感じかな、さあルノ、もう一回やってみて」

それから何度か繰り返し試してみたが、風の威力が上がるくらいだった。

「ふぅー、全然上達しねぇーなー。やっぱりオレ才能ないのかな」

うまく魔法が使えず自信を無くし、落ち込み始める。

「そんなことないよ、誰でも最初はうまくいかないもの。魔力は十分あるから練習すればきっと使えるようになるわ」

落ち込むルノの頭をなでる。

「そういえば、ダクネスも魔法が使えるのよね、少しやってみてくれない?」

ユキの方に乗っていたダクネスは、羽ばたきユキ達の前へ飛んでいく。

キーーー‼

ダクネスは鳴き声と同時に火の玉を的に当てた。

「すげぇな!ダクネス!」

火魔法をまじかで見て、大はしゃぎしている。

ユキは的についた火を消し、はしゃいで走り回っているルノ達のもとに戻る。

「ダクネスは火魔法専門なのね、この実力なら何かあったときも安心できるわ」

「オレももう一回試してみる!」

ルノはやる気を取り戻し、魔法を唱え始める。

「ちょっと待ってルノ、次はつむじ風を起こすイメージでやってみて」

「つむじ風?」

「そうよ、今までは広範囲の風を操る魔法だったけど、つむじ風の魔法は風の一部を操る魔法だから成功

 しやすいかもしれないと思ったの。まずはお手本を見せるわね」

ユキは的に向かって魔法を放つ。

<ウィンド・カッター>

つむじ風が的の上部分を削り取る。

「どう?できそう?」

「やってみる」

ルノは目を閉じ、集中してイメージをかためる。

ゆっくりと目を開き唱える。

<ウィンド・カッター>

ルノの手から放たれたつむじ風は的に当たり、ふわりと消えた。

威力は弱かったが、間違いなく的に当たった。

「やっっったー!できた!」

「すごいわ!ルノ!一発でできちゃうなんて、すぐ上達しそうね」

「おめでとう!すごいよ!お兄ちゃん!」

離れて見ていたルナも駆け寄り、ルノに抱きつく。

「さあ、ひと段落したところで休憩にしましょう。たくさん魔法を使ってお腹すいたでしょ?」

ユキ達は一度家に戻り、昼食を取り始める。

「おまたせ!今日の昼食は、ホーンラビット南蛮よ!」

「なんばん?」

「なんばんってなんですか?」

「ホーンラビットの肉を揚げ焼きにして、卵とオニロンを刻んで、マヨネーズと混ぜたソースをかけて食

 べるの」

「マヨネーズ!」

ルノはマヨネーズが大好きなのだ。

「それじゃあ、手を合わせて、いただきます!」

「「いただきまーす!」」

二人は一口かじり、手で頬をおさえる。

「おいしー!」

「うまいな!これ!」

二人はパクパクと食べ進める。

「下にひいてあるキャベットもしんなりしてて、ソースと絡んでとっても美味しいです」

「オレもキャベット苦手だけど、これなら食べれる!」

ユキはダクネス用の蒸し肉を作り終え、食卓につき、食べ始める。

「久しぶりに食べたけど、やっぱり美味しいわ。鶏肉がなくてホーンラビットの肉を使ったけど、弾力が

 あって食べ応えもあるし、こっちの方が好きかも」

三人はあっという間に食べ終わり、片づけを始めた。

「そういえば、ルナは練習しなくてもいいの?」

洗い物をしながら、手伝ってくれているルナに話しかける。

「私はいいです、何かを傷つけるのは苦手なので」

ルナは少し顔を引きつらせて笑う。

「魔法は誰かを傷つけるためだけじゃなくて、自分や誰かを守るためにも使えるのよ」

「誰かを守るため」

「練習したくなったらいつでも言ってね」

ユキは手を止めて、ルナの頭を撫でる。

「ユキ!オレ先に行って練習してるな!」

ルノはユキの返事も聞かず、勢いよく飛び出ていった。

「もー、ルノったら。ルナ、ダクネス、様子を見に行ってくれる?」

「はい!行こう、ダクネス!」

ルナとダクネスはルノを追いかけていった。

ユキも食器を洗い終え、追いかける。

それからは日が暮れるまで練習し続けた。

<ウィンド・カッター>

つむじ風は勢いよく的に当たり、的が少し削れた。

「うん。なかなか威力が上がってきたね」

「だんだん慣れてきた!ホントはもっと威力を上げたいんだけどな!」

「魔力を放つ瞬間に少し流れがぶれてるのよ、しっかり最後まで神経を研ぎ澄ませてないと威力は上がら

 ないわ」

「うーん、むずかしいな。練習あるのみだな!」

かなり魔法が使えるようになり、自信が出てきていた。

ユキは鑑定を使い、ルノのステータスをみる。

「ルノ!これを見て!ルノのステータスに風魔法が追加されてるわ!」

「ほ、ホントだ!やったー!」

ルノは両手を突き上げ喜び、ルナも嬉しそうに笑っている。

ユキはその微笑ましい光景に顔が緩む。

「今日はもう終わりにして、家に戻りましょう。明日は狩りに連れて行ってあげるわ」

「本当か!」

「実戦で使えなきゃ意味がないもの。この前森に入った時いいものを見つけたから連れて行ってあげる」

ルノははじめての狩りにウキウキでいつもより早く眠りについた。

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