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チートすぎやしませんか?

新しくポーション生成のスキルを獲得したユキは、色々な薬草を探しに出た。

「村の中にもまだ薬草が生えてるかも、鑑定かけまくって探そう!」

あらゆる植物に鑑定をかけてみたが、生えているのは雑草ばかりだった。

「そんな都合よく生えてないか、元の世界には道端に薬のもとになる草とか生えてたんだけどな~」

どうやら村に残っていた薬草はユキがポーションに変えたカイン草だけだったようだ。

「村の中だけじゃ、これ以上見つかりそうにないな。森の中には何か生えてるかもしれないけど」

ため息をつきながら、大きな石に腰をかける。

「森には魔物がいるって言ってたし、武器は持ってないけど、魔法は使えるみたいだし、練習してみようかな」

ユキは村の中に生えていた大きな木を的にして、魔法の練習をすることにした。

「魔法ってどうやって使うんだろ」

ステータス画面を開き、魔法を押してみる。

<魔法:身体中に魔力を巡らせ、イメージすることで使うことができる>

「なるほど、イメージが大事ってことね」

ユキは、目をつぶり魔力を巡らせるイメージをした。

(不思議、体の中に何かが巡っている感覚がある)

木の方に手を向け、頭の中に炎の塊をイメージして唱えた。

《ファイヤ》

唱えた瞬間、大きな火の玉が勢いよく木に直撃し、爆発した。

衝撃で木は倒れ、あたりに火の粉が飛び散る。

「あわわわわ、み、水!水!」

火を消そうと慌てて水魔法を使う。

すると、バッシャーン!と大きな音を立てて大きな水の塊が降ってきた。

あまりにも大きな水の塊を浴びて、全身がびしょ濡れになり、地面に倒れこんだ。

「や、ヤバすぎる」

あまりの衝撃に語彙力が低下、混乱を隠せずにいた。

「きょ、今日の練習は終わり!とりあえず、濡れた体を拭いて、落ち着こう!」

速足で家の中に戻る。

お湯を張って、ゆっくりとつかりながら、心を落ち着かせる。

「魔法が全属性使えるだけでもチートなのに、威力までチートとか聞いてない!」

湯舟で縮こまって、うなだれる。

「使いこなせるようになるまで練習あるのみよね、火をおこしたり、そよ風を吹かせたり、普段から練習

 して、早く使いこなせるようにならなきゃ」

よくも悪くも、ユキは前向きだった。

「よーし!がんばるぞー!」

湯舟の中で小さく拳を握り締める。


ー翌日ー

「よし、火をおこすところからはじめるぞ」

キッチンの釜戸に手をかざして、小さい炎をイメージする。

「小さい炎、小さい炎」

呟きながら、イメージを膨らませる。

《ファイヤ》

イメージのかいあって、手から出たのは小さな炎の塊だった。

小さな炎の塊は、釜戸にくべてあった薪にフワフワと飛んでいき、着火した。

「やった!できた!強くイメージをすることで簡単に制御できるようになるのね」

一発でコツをつかんだユキは、風魔法も土魔法も雷魔法でさえ、扱えるようになっていった。

「魔法って楽しいのね、制御もできるようになったし、もっと色々試してみたい!」

森の中で魔物と戦うために、光魔法を磨くことにした。

「魔法は色々な形に変えられるのよね、接近戦は危険だから、遠くから狙って倒したいな」

ユキは、頭の中で光の弓矢をイメージする。

ユキは元弓道部、イメージをしたまま構える。

《ライトニング=アロー》

構えたところに光の弓矢が出現し、まっすぐ木に向かって矢が飛び出した。

光の矢は木に直撃したが、木は無傷。どうやら光魔法は魔物以外には通用しないようだ。

「やっぱり、実践が大事よね。神様が用意してくれてた食べ物も少なくなってきたし、薬草を探すついで

 に、魔物狩りでもしてみようかな」

ユキは、蔵にあったショートソードと古いローブを身に着けて、森の中に入っていく。

結界から一歩森の中に踏み出すと、昼間とは思えないほど薄暗く、木漏れ日を頼りに進むしかなかった。

「こんなに暗いとは思わなかった、村の中からみたらとても明るかったのに」

光魔法をつかって自分自身に結界を張っているものの、どこから魔物が出てきてもおかしくない状況に緊張感が走る。

「生き物の気配は感じないし、とりあえず、薬草を集めよう」

ユキは目についた植物に鑑定をかけていった。

<鑑定:ボノ草 やけどに効く薬草>

「やけどか、とっておいて損はないよね」

<鑑定:チカゴの実 食用としてもおいしいが、発熱を抑える薬にもなる>

「普通に食べられるし、薬にもなるのね。あれ?これって」

<鑑定:カイン草 切り傷やかすり傷に効く薬草>

「やっぱりカイン草だ!たくさん生えてるし、たくさん摘んで帰ろう」

様々な薬草や木の実、キノコを摘んで持ってきていた籠がすぐにいっぱいになってしまった。

「しまったな、籠がいっぱいになっちゃった。もっと積んでいきたいのに、一回戻るしかないかな」

ポーション生成のスキルを獲得した時と同じように頭の中で声が響く。

<スキル:アイテムボックスを獲得しました>

「アイテムボックスって、異次元にモノを収納できて、好きな時に取り出せるっていう、あの?」

<スキル:アイテムボックス ものを無限に収納できる。中に入れたものは腐ったり劣化したりしない>

「腐りも劣化もしないなんて便利すぎる!しかも無限に収納できるなんて!」

あまりの有能スキルに感動し、残りの薬草や木の実を夢中で採った。

「ふ~、結構とれたな。こんなにとってもアイテムボックスに入れられるから手ぶらで帰れちゃう」

一通り採取し終えて一息ついていると、数メートル先の茂みが揺れた。

音に驚いてビクッと体が跳ねる。

「なに...?」

身体を小さく縮め、草むらに身を隠し、あたりを観察する。

茂みの奥に角の生えたウサギのような魔物がいた。

「あれが魔物?小さいけど、あの鋭い角で突かれたらひとたまりもないわね」

ユキはその場にスッと立ち上がり、弓を引くポーズをとった。

<ライトニング・アロー>

光の矢がウサギの魔物に向かって一直線で飛んでいき、魔物の腹部に突き刺さった。

ギギギーー

魔物は苦しそうに叫びながらその場に倒れた。

「なんとか一発で仕留められたみたいね」

周囲に仲間がいないか確認しながらそっと倒した魔物の側に行く。

<鑑定:ホーンラビット 肉は柔らかく弾力がある。鋭い角は工芸品として愛好家たちの間では大人気>

「食べられるのね、とりあえず持ち帰って捌いてみよう」

ホーンラビットをアイテムボックスに収納し、その場を立ち去ろうとしたその時だった。

グル..グルルルル...

背後から大きな唸り声が聞こえ勢いよく振り返る。

その途端、鋭い爪が結界を弾いてユキは吹き飛ばされた。

「キャー!」

爪が繰り出された先を見ると、大きな牙をもつ赤毛の大熊が立っていた。

「なに!こいつ... ホーンラビットの血の匂いにつられてきたの?」

ユキは咄嗟に鑑定をかける。

<鑑定:キンググリズリー 鋭い爪と牙を持つ狂暴な魔物。硬い皮はカバンや靴などの材料になる>

「なるほどね、牙や爪だけじゃなくて、フワフワに見えるその皮も硬いなんて。一筋縄ではいかなさそう

 ね」

ユキは立ち上がり、距離をとるために走りだす。

グオーーーー‼

キンググリズリーは大きく吠えて猛スピードで追いかけてくる。

ユキは必死に走りながら、魔法を唱え、距離をかせぐ。

<ファイア>

ボン!と大きな音を立ててキンググリズリーに直撃するも一瞬怯むだけで、効いてはいないようだ。

<ウィンドカッター>

鋭い風がキンググリズリーの目を抉った。

グオーーーーーーーー‼

キンググリズリーは足を止め悶えている。

「今だ!」

弓を構える時間も距離もない。

ユキは持ってきていたショートソードに光魔法をまとわせ、大きく振りかぶってキンググリズリーに切りかかった。

ショートソードは眩い光を発しながらキンググリズリーの腹部に突き刺さり、キンググリズリーは大きく唸った後、その場に倒れた。

「はぁ、はぁ、やったわ」

ユキはその場に尻もちをつき、走って荒くなった息を整えた。

「とにかく、ここを離れないと」

キンググリズリーをアイテムボックスに収納し、速足で帰路についた。

なんとか村にたどり着き、家にもどったユキは血まみれになったローブを脱ぎ、ベットに倒れこんだ。

「なんとか帰ってこられたわね、ほんと死ぬかと思った」

天井を見ながら、森での出来事を思い出す。

「色々あったけど、チートスキルのおかげで無傷だし、たくさんの収穫も得られたからいいとするか」

体力が底をついてしまったユキは、そのまま眠りについた。

ユキの鑑定日記


カイン草:切り傷やかすり傷に効く薬草


ボノ草:やけどに効く薬草


チカゴの実:食用としてもおいしいが、発熱を抑える薬にもなる


ホーンラビット:肉は柔らかく弾力がある。鋭い角は工芸品として愛好家たちの間では大人気


キンググリズリー:鋭い爪と牙を持つ狂暴な魔物。硬い皮はカバンや靴などの材料になる

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