表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
3/20

王子、聖剣にまで舐められる

2話の続き


あの後、俺テナート・アスカテシアは何事もなかったかのように連れ戻された。


なお、襲撃の被害はゼロ。


「ば、化け物だこいつらぁ!」

「てっ撤退ーー!」


むしろ賊側が一方的に蹂躙されていた。


さすが建国以来、武力で周辺国を黙らせてきた連中である。


(送り込まれた刺客たちに同情をしてしまう)


そんなことを思っていると。


「全員、会議室へ集まれ」


父ヴァルディオスの低い声が響いた。



王城・戦略会議室。


空気は重い。


玉座に座るヴァルディオスは、普段より明らかに機嫌が悪かった。


いや、怖い。


めちゃくちゃ怖いですやん。


「皆の者、よく集まってくれた」


静かな声。


なのに圧が凄まじい。


「襲撃犯の一人から情報を吐かせた」


(……何したんだろ…うん、聞かないでおこう)


絶対に聞かない。


本能がそう告げていた。


「黒幕は…」


ヴァルディオスが口を開く。


「《ヘルガディア王国》だ」


会議室がざわつく。


ヘルガディア王国。


周辺国家の中では中堅規模。

突出して強くはないが、決して弱国でもない。


「我が国が小国だからと、舐められたものだ」


父の目が細まる。


「これはもはや宣戦布告に等しい!」


ドンッ!!


拳が机に叩きつけられた。


空気が震える。


「テナート!」


「は、はい!」


(急に呼ぶなよ!?心臓止まるかと思ったじゃねーか)


「お前を今回のアスカテシア騎士団長に任命する」


「…………は?」


思わず固まる。


周囲もざわついた。


(な、なにぃぃぃ!?)


わっわたくしがですか!?


(戦争経験ゼロのペーペーだぞ!?)


だが、必死に平静を装う。


すると。


ふと、ある考えが頭をよぎった。


(……いや待てよ?)


(もし戦場に出れば…)


「この国の王として、ヘルガディアを討ち取ってみせよ!」


「……わかりました」


俺は静かに頷いた。


「必ずや、ご期待に応えてみせましょう!父上!」


「おおおお!!」


歓声が上がる。


だが。


姉セイラ、ステファニー、メイラルド。


側近三人だけは、疑いの目を向けていた。


まぁ、それはいい。


「良かろう」


父が立ち上がる。


「本来なら即位の際に渡す予定だったが……受け取れ」


そう言って差し出されたのは

聖剣。


《グレン・レガリア》


アスカテシア王家にのみ扱える、王の象徴。


使用者によって姿を変える特殊な魔剣だ。


父のレガリアは巨大な大剣だった。


ならば俺は――


(まぁ剣くらいにはなるだろ)


そう思っていた。


周囲も興味津々で見守る中、テナートは柄を握る。


その瞬間。


――光。


眩い輝きが、会議室を包み込んだ。


「おお……!」


誰かが息を呑む。


やがて光が収まり


「……は?」


テナートは固まった。


レガリアが。


小さくなっていた。


「…………」


そこにあったのは。


ちょこん、とした小型ナイフ。


「ぶふっ!!」


耐えきれなかった貴族の一人が吹き出した。


「な、なんだこれは……」


思わず震える声が漏れる。


大剣だったレガリアは、まるで果物でも切るかのようなサイズのナイフへと変貌していた。


周囲の空気が気まずい。


姉セイラは視線を逸らし、

ステファニーは無表情を装い、

メイラルドは肩を震わせている。


笑ってるだろお前。


そして父ですら。


「……まぁ、その、なんだ」


気まずそうに咳払いした。


「個性は人それぞれだからな」


(気を遣われた…)

(親父に。あの親父に!)


終わった。


「おのれ……!」


テナートはナイフ型レガリアを握り締める。


「聖剣すらもこの俺をコケにしよって……!」


普段は冷静を装っているテナートですら、さすがに苦渋の表情を隠せなかった。


だが、逆に考えろ。


(レガリアさえ手に入れば俺は無敵だ!)


小さくて持ち運びしやすく、使い勝手がいい。


小物の俺にふさわしい武器といっても過言ではない。


テナートはニヤリと笑った。


「待ってろよ……ヘルガディア王国」


また良からぬことを企む王子の逃走劇が幕を開けようとしていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ