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王子、誘拐されるpart3

18話の続き

メイラルドはとある場所へ訪れていた。


豪華絢爛な皇宮の応接室。


「ふふ」


紅茶を優雅に飲みながら一人の少女が笑う。


「ブレイン王国のお姫様がいきなり訪ねてくるなんて、一体何の御用かしら?」


「あら、自分の胸に手を当ててみれば分かることではなくて?」


「リリアーナ皇女」


「……」


メイラルドはサディール皇国に訪れていた。


目の前にいるのは、サディール皇国第一皇女リリアーナ・サディール。


一瞬、空気が止まる。


だがリリアーナが口を開く。


「全く何のことかさっぱり検討もつきませんわ!」


リリアーナがそっぽを向く。


「あくまでシラを切るつもりなのね」


「ボタン」


「はい!」


次の瞬間。


ドサッ。


「ぐぇっ」


床に転がされた男。


そこにいたのは、サディール皇国騎士団長のイグジフ。


今回の襲撃部隊責任者だった。


「私の旦那を襲撃した刺客に貴方の部下がいたのだけど、これでもまだシラを切るつもり?」


「……あら」


リリアーナが笑う。


「でも、これだけでは決定的な証拠にはなりませんわ!」


ピキッ。


メイラルドの額に青筋。


珍しく顔に出ていた。


「どうせ貴方のことだから、何を企んでるかなんて全部丸分かりなのよ!」


「知ったことではありませんわ!」


「ねぇ、今正直に話すなら許してあげる」


メイラルドが続ける。


「それに裏で手を回したから、まだ公になってないわ」


「白状するなら今のうちよ?」


少しだけ声を低くする。


「それとも大事にしたい?」


「………」


数秒の沈黙後。


リリアーナが立ち上がる。


「……そうよ!!」


「私が犯人よ!!」


ドン!!


「何か問題でもある!?」


潔い開き直り。


「大アリよ!!」


ガシッ。


メイラルドがリリアーナの胸ぐら掴む。


「人の旦那に手を出そうとするなんて、いい度胸してるわね!!」


「ちょっ」


「揺らすな!!」


リリアーナが焦る。


「私の性格からして、こんな面白そうなこと黙って見てられるわけないじゃない!!」


「全く反省してないわねこの我儘王女」


「貴方ほどではありませんわよ!」


再び空気悪化。


「貴方の失態なんだから挽回しなさい」


「えぇー、嫌よ」


即答。


「私は連れてきなさいと言っただけで」


「乗ったのも逃げたのも、全部貴方の旦那の意思じゃなくて?」


真顔。


「ちゃんと躾けられてない貴方の失態よ」


リリアーナがメイラルドを煽る。


「言ってくれるじゃない」


「でも、最初から貴方に拒否権はないの」


「協力してもらうわよ」


「うぅ……」


メイラルドの笑顔の圧力に押し負けるリリアーナであった。




少し後。


アスカテシア軍の臨時拠点。


「テナート様はご無事でしょうか……」


兵士達の士気は低かった。


それも当然の反応である。


普通なら大問題。


「メイラルド様…」


ボタンが首を傾げる。


「なんで皆さん、あんなクズを心配してるんですか?」


「…………」


メイラルドがボタンに耳打ちをする。


「アスカテシア兵はね」


「本来のテナート様を知らないのよ」


「上っ面だけはいいから、謎に部下からの信頼は厚いの」


「皆さん…騙されているんですね…」


ボタンが同情する。


「知らないほうがいいこともあるのよ」


「覚えておきなさい」


「わかりました…」


(まぁ……流石に今回は兵達が可哀想ね)


メイラルドが深呼吸をする。


「聞きなさい、アスカテシア兵たちよ!」


「「!!」」


「貴方たちは我らがアスカテシアの王が、たかが賊の襲撃如きでくたばったと本当に思ってるの?」


兵士達がざわつく。


「心配しなくても、テナート様は無事よ」


「この件は、私が責任をもってなんとかしますから、貴方たちは安心して主の帰還を待ちなさい!」


それを聞いたアスカテシア兵たちの士気が戻る。


「その通りだ!」


「流石はメイラルド様だ!」


少しだけ安心した空気が流れた。


(これでよし!)


「あとはテナート様を捕まえるだけ」


「覚悟なさい、捕まえたらお仕置き祭りよ!」


そう意気込むメイラルドだった。


次回に続く。

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