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王子、召喚する 後編

15話の続き

光が収まる。


「うっ……!」


テナートが目を開けると


「どうなったんだ?」


見渡してもそこに邪神らしき姿はない。


「……あれ、失敗?」


エアリアルが首を傾げる。


その時だった。


「汝、我を呼んだのはソナタか」


「!?」


三人同時に上を見る。


「…………ちっさ!」


そこにいたのは小さい黒い竜だった。


だが、目は鋭く異様な圧が感じる。


「キャーー!!」


「かわいいーー!!」


エアリアルのテンション爆上がり。


がしっと捕獲。


「ぬぁ!?」


抱きしめられる邪竜。


「きっ……きさま!!」


「神であるこの私に無礼だぞ!!」


「でも、神様の割にスケール小さくない?」


「何を言う!」


邪竜が胸を張る。


「貴様らなど指一本で……あれ?」


「…………」


邪竜が困惑していると。


「知らないの?」


セイラが呆れ顔。


「神様ってね、仰度度、つまりは知名度で強さが変わるの」


「え?」


邪竜が固まる。


「貴方、一体何年封印されてたの?」


少し考える。


「千年くらい?」


「なるほど」


「千年もあれば、覚えてる人間なんていないも同然ね」


「姉さん詳しいな」


「よっぽど凄い神として語り継がれていたら話は別だけど」


「そんな……」


邪竜が目に見えて落ち込む。


すると、テナートが悪い顔。


「おいおい」


しゃがみ込む。


「願い何でも叶えてくれるって言ったよな?」


邪竜がさっと目を逸らす。


ピュー♪ピューピュー♪


口笛。


「てめぇ、あんだけふざけた素材要求しといてこれはねぇよな?」


「む、昔ならできたんだ!!」


言い訳タイム。


「今はほら!この姿だし」


「それに!あんな舐め腐った素材で図々しいにも程があるぞ!」


「ふーん」


テナートが立ち上がる。


「じゃあ今夜の晩飯にでもするか?」


「ひっ…」


「ねぇパパ!!」


「この子ペットにしてもいい!?」


「ペットだとぉ!?」


邪竜激怒。


「貴様!!」


「貴様じゃなくてエアリアルー!」


邪竜の頬を強く引っ張る。


「のぉぉぉぉぉ!!」


「うーん……」


テナートとセイラが話し合う。


「本来ならヤバい邪竜っぽいけど」


「…実害はなさそうだな」


「おい邪竜!」


「なんだ!」


ドン!


目の前に積まれる大量の書類。


「願い一つ叶えてくれるんだよな」


「じゃあこれ終わらせといてくれ」


「ふざけるな!!」


邪竜が怒鳴る。


「この私に雑用をやれだと!?」


「おいおい。自分の立場分かって言ってるか?」


「昔どんな奴だったか知らんが、この俺に逆らったら――」


次の瞬間。


ボッ。


小さいブレス。


それがテナートの目に直撃する。


「めっ……」


「めがぁぁぁぁぁ!!」


テナートは悶絶し、床を転げ回る。


「すごーーい!!」


「そんなことできるんだ!!」


エアリアル大興奮。


「気に入った!」


「名前なんて言うの?」


「貴様如きに教える名など――」


「じゃあ私が命名する!!」


「Ancient 《エンシェント》Fabriano 《ファブリアーノ》Black 《ブラック》Stephanie 《ステファニー》Dragon 《ドラコン》なんてどうかな!!」


ドヤ顔で言う。


「…………」


「なんだその長ったらしい名前は!!」


「ふざけるな!!」


邪竜ブチギレ。


「えぇー、じゃあファニちゃんで!」


「おい!!勝手に――」


「じゃあファニちゃんと遊んでくるーー!!」


バサッ。


窓から嵐のように飛んでいった。


「なぁぁぁぁ!!」


邪竜の悲鳴が遠ざかる。



「……はぁ」


テナートがため息。


「ワンチャン逃げられると思ったのになぁ」


現実は甘くない。


「さぁサボった分やるわよ」


セイラが書類を叩く。


「ちぇ……」


戻ろうとしたその時。


扉が開く。


「テナート様ぁ?」


優しい声。


そこには、笑顔のメイラルドが立っていた。


「私のお気に入りの下着、どこ行ったか知りません?」


「…………し、しらないなぁ」


「……そうですか」


次の瞬間。


ガシッ。


首根っこを掴まれる。


「お、おい!!」


「俺には山積みの書類が!!」


「それは私が後でやっておきますから」


「姉さん助けてくれ…」


「…………」


「……ごゆっくり」


「嫌だぁぁぁぁ!!」


引きずられる。


「許してぇぇぇ!!」


その夜テナートの悲鳴が王城中に響き渡ったとか。

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