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未来から娘がやってきた!前編

11話の続き

騒動から一週間後。


テナート・アスカテシアとメイラルド・ブレインの結婚式が執り行われた。


「おめでとうございます!!」


「お幸せにー!!」


盛大な祝福。


沢山の国からの来訪者。


王侯貴族。民衆。


会場全体が祝福ムードに包まれていた。


なお、テナートは何故か傷だらけだった。


包帯。擦り傷。打撲跡。


どう見ても結婚式前に何かあった人間である。


だが。


「きゃー!!メイラルド様綺麗!!」


花嫁が綺麗すぎて誰一人そこに触れなかった。


(花婿がボロボロなのに違和感持てよ)


テナートは内心で叫ぶ。


「幸せになりまーす!!」


メイラルドが満面の笑みで手を振る。


異様に機嫌が良かった。


「あら?」


メイラルドが覗き込む。


「今日は逃げようとはしないんですね」


「けっ」


テナートが鼻を鳴らす。


「あれだけ見事に完敗して逃げ出すほど落ちぶれちゃいねぇよ」


「そういうところは潔いですよね」


メイラルドが少し嬉しそうに笑う。


ちなみに、即位の日とは違い今日はブレイン王国の王女との結婚式。


喧嘩を売るマヌケは存在しない。


つまり、テナートの期待していた


「急襲ワンチャン逃亡ルート」


は端から存在しなかった。


そして。


一番はしゃいでいたのは両家の父親だった。


「がははは!!ついにこの日が来たな!!」


「ヴァルディオスよ!!これで真の家族だ!!」


「うおおお!!今日は飲むぞぉ!!」


テンションがおかしい。


異様に盛り上がっている。


(普通、結婚より先にやることあるだろ……)


(私情挟みやがって馬鹿親共が)


テナートが呆れる。


すると。


「おめでとう、メイラルド」


声をかけてきた人物がいた。


「ありがとうございます!お姉様方」


現れたのはメイラルドの姉。


ソフィア・ブレイン。


そしてルリナ・ブレイン。


どちらも既に大国へ嫁いでいる。


久々の再会だった。


「まさか、貴方が小国へ嫁ぐなんて思いもしませんでしたわ」


ソフィアが少し皮肉っぽく笑う。


「えぇ」


メイラルドがにっこり笑う。


「お姉様方には分からないでしょうね」


ルリナも笑う。


「そうね、一生分かることはなさそうですわ」


バチバチの雰囲気。


(おいおい…俺を姉妹喧嘩に巻き込むなよ)


(しかし、メイラが捻くれた性格になったのも姉の影響だったな)


「こんな残念な妹だけど」


「よろしく頼むわね、テナート王子」


ソフィアが笑う。


「お任せください、お姉様方」


どうやら。


メイラを敵視しているだけで、俺自身は認めてくれているらしい。


メイラの親父といい姉といい、なんで俺評価高いかがわからない。


謎が深まるばかりだった。


「キィー!!」


「嫌味ったらしい!」


メイラルドが不機嫌そうに言う。


「来なくていいのに!!」


珍しく感情が出ていた。


「なんですか?テナート様」


「いや、ちょっと珍しいなと思って」


笑いを隠しきれていなかったか。




その夜。


「はぁ……疲れた……」


テナートはベッドへ倒れ込む。


「お疲れ様です、坊ちゃま」


ステファニーが静かに頭を下げる。


「今夜はもう何もしたくない」


「駄目です」


即答。


「新婚初夜なんですから」


「ふっ」


テナートが立ち上がる。


不敵な笑み。


「逃げることはできなくても、防御はできる」


ガチャ。


扉の鍵を閉める。


「はぁ……」


ステファニーがため息をつく。


「メイラルド様も大変ですね」


「うるさい」


テナートが布団へ潜る。


「今日はもう寝る」


「静かにしてろよステファニー」


「はいはい」


そして。


眠ろうとしたその瞬間。


ドゴォッ!!!


「ぐぇぇぇぇぇ!!?」


何かが勢いよく上に落ちてきた。


目の前には知らない美少女。


「……あれ?」


青髪の綺麗な顔立ち。


どこか見覚えがある。


「転移成功した?」


ぽかんとしていた。


「貴様、何奴!!」


ステファニーが即座に剣を抜き、斬りかかる。


「よっと!」


少女が軽やかに回避。


ついでに。


「ぐぇぇ!!」


テナートを蹴り、飛び上がる。


目にも留まらぬ速さで、ステファニーの頭上を飛び越えた。


「坊ちゃま!!無事ですか!!」


「無事じゃありません……」


すると、少女がぱあっと顔を輝かせた。


「あっ!!」


「ステファニーだぁ!!」


「……何故私の名前を?!」


空気が変わる。


「貴様、何者だ!!」


少女は首を傾げた。


「あっ!」


そしてにこっと笑う。


「申し遅れました!」


深々お辞儀。


「私」


「エアリアル・アスカテシアと申します」


「…………アスカテシア?」


テナートの顔が引きつる。


「どういうことですか坊ちゃま!?」


「知らんて!!」


「親父の隠し子か何かじゃないのか!?」


少女が首を傾げる。


「違うよ」


「一目で分かったからね、パパ!」


「……パ?」


「「パパァ!!」」


ステファニーが固まる。


「坊ちゃま!!」


「メイラルド様がいながら……!!」


「違うって!!」


即否定。


「年齢的にこいつが俺の子供なわけあるか!!」


「貴様!!」


ステファニーが剣を向ける。


「適当なデタラメを言うな!!」


「えぇ~」


エアリアルが困った顔。


「私はお母様似だから、すぐ分かると思ったんだけどなぁ」


「……たしかに…メイラルド様にそっくりですね」


「感心してる場合か!!」


テナートがツッコむ。


「顔なんてどうとでも寄せられるだろ!!」


「うーん……」


少し考える。


「あ!」


そして。


鞘に手を伸ばす。


抜刀。美しい刀身。


「……な」


「なななな……!?」


テナートとステファニーの顔が固まる。


少女が得意げに笑う。


「どう?」


剣を掲げる。


「私のレガリア!」


それは間違いなく。


《グレン・レガリア》。


アスカテシア一族しか扱えない聖剣。


「の……」


「のぉぉぉぉぉ!!?」


二人同時に片言になる。


エアリアルがにこっと笑った。


「ね?認めてくれる?」


満面の笑み。


「パパァ♪」


次回へ続く。

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