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第21話 秘密の手紙

訓練校に入ってしばらく経ったある朝。

訓練を終えて休憩していたロアのところへ、

郵便係の兵士が歩いてきた。


「ロア。手紙だ」


差し出された封筒には、

見慣れたフローラの字で名前が書かれていた。


――ロアはその文字を見た瞬間、頭がいっぱいになった。


食事中も、胸がそわそわして落ち着かなかった。

「僕、先に部屋に戻ってるから!」

そう言い残し、少し速足で自室に戻った。


部屋に入ると、机の前にまっすぐ座り、封を切った。



ロアへ


無事に過ごせてるかしら。

無茶して倒れたりしてないといいんだけど。


女学校が一時休校になったから、今は村に戻ってるわ。

村のほうはかなり大変になってる。

男手が減って、畑の手入れが全然追いつかないの。

徴兵された家には国からお金が出るって話だけど、

作業が減るわけじゃないし、みんなバタバタしてるわ。


あなたのご両親も、村の人たちと協力しながら

なんとかやってるみたい。


時間あるときでいいから、そっちの様子も教えて。


フローラ



読み終えたロアは、なんとなく後ろの扉を確認し、

すぐに返事を書き始めた。



フローラへ


こっちは元気だよ。

教官は厳しいけど、なんとかやれてる。

寮の部屋の子とも仲良くなれたし、リオも同じ部屋なんだ。


父さんと母さんの様子、教えてくれてありがとう。

元気にしてるみたいで安心した。


畑のこと、聞いて心配になったよ。

フローラの家の農場も、きっと大変だよね。

収穫の時期も近づいてるし。


体に気をつけて。ぼくも頑張るよ。


ロア



急いでそれを郵便係に渡したところで、ちょうどファルクが廊下を曲がってきた。

目が合ったような気がしたが、ファルクはそのまままっすぐ自室に入っていった。


ロアはほっと息をつき、しばらく時間をつぶしてから部屋に戻った。



部屋に戻ると、リオがすぐに顔を上げた。


「兄ちゃん、さっき急いでたけど、どうしたの?」

「え、ちょっと……用事があって」

「ふうん……」

リオは不思議そうにロアを見たが、それ以上は聞かずに寝台へ潜り込んだ。


ロアも寝台に入ったが、なかなか眠れなかった。




翌夕、まだ頭がぼんやりしたまま訓練場へ向かうと、

教官が声を張り上げた。


「今日は隠密訓練を行うぞ!剣術組も一緒だ!」


ロアははっと顔を上げた。

今までアトラトルや基礎行動ばかりだったので、

普段と違う訓練と聞いて一気に目が覚めた。


教官は続けて説明する。


「迷暗服を着て森に潜伏する。

人を見つけたら吹き矢で濃い墨汁を付けろ。

墨汁を付けられた者は退場。最後の一人になるまで続ける」


迷暗服と吹き矢、墨汁が配られた。

迷暗服は、麻布の服を薄墨で染めたものだった。


教官が言う。


「迷暗服は草木の濃淡にまぎれるように作られている。

隠密行動の際は、これを着て匍匐前進する」


ロアは迷暗服に袖を通したが――どこか違和感を感じていた。

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