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生け贄と狂気

グロ回続きます。

老婆が振り返ると、リューシオンを抱えた覆面全裸・・・今はブーメランタイプのパンツを穿いている・・・が居た。リューシオンは川で洗ったのか海に落ちたか、びしょ濡れでぐったりしている。


「・・・条件にあった少年?」


「ウム!条件は十二分に合致している!性別等些細な事である!!」


覆面全裸男(へんたい)改め覆面男が胸を張って報告する。老婆は同志の言葉に幾つかの魔道具を持ち出しリューシオンを計測する。そして・・・


「なるほど。全属性適正。魔力量。オールクリア。オマケに竜言語魔法と神聖魔法使い。霊力総量はアヴァロンの教皇並み。確かに男なのが些細な事に見えるね。」


「ウム!オマケにこの少年、“あの”救世の三女神の庇護を受けておる!!意趣返しにはもってこいなのだ!!」


「それは・・・いいね。最高だよ。」


老婆と覆面男が笑い合う。


「準備を始めたい。手伝ってくれるかい第三の?」


「無論だ!!第四の!!」


老婆の指示で覆面男がリューシオンの着衣を剥ぎ取る。

その後老婆が裸にしたリューシオンの全身の毛を剃刀で綺麗に剃る。

その様子を覆面男が見守る。そして覆面男が先程老婆が描き上げた魔法陣の上に運ぶ。

呪水に筆を浸け、リューシオンの全身に呪いを書き込む。一筆一筆丁寧に。途中、リューシオンが目を覚ましたが覆面男が問題なく気絶させる。

全身余すことなく呪いを書き終わると老婆と覆面男は一息つく。


「しかし感慨深いのだ。百数十年振りに第四は魔女として復活するのか。」


「あぁ。・・・飲むかい?」


「戴くのだ!」


老婆がグラスと葡萄酒を見せると覆面男が勢い良く頷く。グラスに葡萄酒を満たし覆面男に差し出すと覆面男は老婆に礼を言い覆面を取った。


・・・覆面の下には顔がなかった。あるのは頭蓋骨のみ。頭蓋骨がカタカタ鳴り明瞭な声が聞こえる。


「しかし間に合って良かったな!!我は死魔の神々に魂を捧げて半死半生の存在となったが第四のはそろそろ肉体の限界が近かろうなのだ!!」


覆面男・・・なんと呼べば良いのだろう?・・・は、どうやら外界の神々・・・正しくは死魔の迷宮の神の欠片・・・に魂を売り、若さと力を保っているようだ。


「なに。死魔の神々に魂を捧げるのも良いが半死半生の状態でなく、アイツ等を守った姿形でアイツ等を蹂躙してやるのさ。その為に百数十年掛けて準備をしたからね。」


老婆は笑う。


「この子供の肉体と魂を乗っ取って・・・私達を裏切ったこの世界を我々七人で滅ぼそう。神も人も綺麗に無くなれば少しは私らの気も晴れるさ。」




休憩を終えた老婆達は作業を再開する。グラスに呪水を汲むと老婆は一息に飲み干す。

腹がぼこぼこと波打ち、老婆が口を開くと極彩色の芋虫を吐き出し始める。

一匹、また一匹と、赤子程の芋虫を吐き出す。

吐き出す度に顎が鳴り、歯が折れる。

六匹の芋虫を吐き出し終えた所で老婆が覆面男・・・今は取っているが・・・に頼み事をする。


「すまないね。私はこれから手が離せなくなる。代わりにお願いしても良いかい?」


「水くさいのだ!ドンと任せるのだ!!」


「私の力がこの子に馴染むのに十年はかかる。だから私は一時的にこの肉体を捨てるよ。私の心臓は既に魂核になっている。取り出して隣にある自動人形(オートマタ)に積んでおくれ。」


「隣にある自動人形(オートマタ)だな?承知したのだ。しかし十年もかかるのか。」


「まあ、仕方ないよ。六歳の肉体と魂に私は乗りきらないからね。十六歳の時に力と知識が馴染んだこの子に私の魂核を使って乗っとるよ。」


「・・・失敗は無いのだな?」


「勿論さ。六歳の自我を塗り潰す位造作もないさ。」


老婆はリューシオンを見やる。

吐き出した芋虫が魔法陣の中でリューシオンを取り囲んでいる。そろそろ頃合いかと老婆は思う。


「それじゃ第三の。後は頼むよ。」


「ウム!」


老婆が桶に残された呪水を飲み干す。変化は直ぐだった。

メキメキと老婆の頭が割れ灰色がかったピンクの芋虫が這い出てくる。

老婆の脳から創られた芋虫は床を這い、リューシオンの身体の上に乗る。

そして七匹の芋虫達がリューシオンを巻き込みながら糸を吐き始め繭を作り出す。その様な光景を尻目に覆面男は老婆の残骸から青白い球体を取り出して老婆の願い通り自動人形(オートマタ)に魂核を組み込み起動する。

人間と寸分たがわぬ人形が目蓋を開き覆面男を見つめる。


「・・・どうやら順調みたいだね?」


「ウム!」


二人は魔法陣の上に出来つつある繭玉を見やり笑う。


「全ては順調なのだ。十年後が待ち遠しいのだ。」


「なに。百数十年待ったんだ。十年なんて誤差だよ、誤差。」


「だが待ち遠しいのだ。十年後に第四のが復活したら始まるのだ。世界の滅亡が!!」


「あぁ!今、他の連中はどうしてるのかね?」


「うん!?第一と第七はリューシオン王国の近くにある死魔の迷宮にそれぞれ潜っているのだ。十年後位に魔物の領域の氾濫に合わせて死魔の領域も同時に氾濫させる調整中なのだ!!」


「・・・でもリューシオン王国には英雄王のリューシオンとリューシオンが鍛えた精鋭が要るよ?リューシオン王国に打撃を与えても周辺国に被害がなきゃあんまり意味無いよ!」


「問題ないのである!リューシオン王国には第二のヤツが潜伏してるのだ!実はこの少年の事はヤツに聞いたのだ!」


「へぇ〜。それはお礼を言わないとね!」


「ウム!リューシオン王国の親子三代の離間はほぼ成功してるらしいのだ!孫の事を巡り、親子で精々争っていれば良いのだ!!」


「全くだね!英雄王も国は育てる事は出来ても自分の子供は育てられないんだね〜。」


「英雄王は第七のが戦うのを楽しみにしてるのだ!!」


「第六は?」


「竜大陸なのだ!第四の復活に合わせてサプライズすると言っておったのだ!!」


・・・軽い。世界を滅亡させようとゆう使命感溢れる会話ではなく、明日の行き先を決めるが如く軽い。


老婆・・・自動人形(オートマタ)だが・・・が繭玉を見やり最後のお願いを覆面男にする。


「第三の。十年間あんた達でも破れない封印を此所にしてくれないかい?」


「?良いのだ!!しかしなぜなのだ!?」


「私の自動人形(オートマタ)は戦闘用じゃないよ。魂核を保存する容れ物だからね。あんた達でも破れない封印なら地上に降りてきた天使も破れないだろ?」


「うむ・・・道理であるな!!」


老婆と覆面男が握手を交わす。


「暫しの別れなのだ!!」


「直ぐだよ。十年なんて。」


地下室を出て二人は再び握手を交わす。


「では、第四のが中に入ったら封印するのだ。中から出るのは自由だから困ったことがあれば直ぐに報せるのだ!」


「それって封印の意味あるのかい?まあ、何かあれば連絡するよ。何もないと思うけどね。」


「達者にしてるのだ!!」


覆面男の言葉を背に老婆は地下室に戻る。それを確認した覆面男が入り口に封印を施す。


「・・・そういえば中から出てきたら十年後迄誰も出入り出来ないのだ。」


覆面男が呟く。


「・・・まあ、第四のが言う通り何もないと思うのだ!」




老婆が繭玉の前に座り込む。自動人形(オートマタ)の身体は食事も睡眠も要らない。動力は五十年は持つ。


「十年は直ぐだけど待ち遠しいねぇ。」


繭玉を撫でながら呟く。


「まあ、待つさ。お楽しみは十年後に・・・」






自分ルールを破ってしまった。

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