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精神世界

「まあ、待つさ。お楽しみは十年後に・・・」




俺は目を覚ます。辺り一面真っ白な殺風景な景色が広がっている。


「・・・何だ?また死んだのか?」


「“まだ”死んでいない。」


振り返るとオモイカネ様が立っていた。


「お久しぶりです。」


「うむ、久しぶりだの。まあ、儂等にとっては昨日の事も同然なんじゃがな。」


髭を弄りながらオモイカネが答える。


「その・・・まだ死んでないとは?」


「言葉通り、今はまだ死んでないが時間の問題じゃ。」


オモイカネ様は言葉を続ける。


「このままだとちっと面倒な事になる。」


「面倒?」


「左様。今現在のお主は肉体をとろかされ、再構成されている所じゃ。このままではお主の肉体は乗っ取られる。そうなると問題が出てくる。」


「お主に与えたチートも一緒に奪われる。世界の敵対者にな。そうなるとあちらの世界は相当不味い事になる。」


話は続く。


「今回は間一髪でお主の意識体をこの精神世界に連れ込めたがもう少し遅かったら魂ごと吸収される所じゃった。」


「それは・・・ありがとうございます。」


「此方の都合じゃ。礼を言う必要はない。」


「魂まで吸収されるとお主の固有技能(ユニークスキル)や割譲した神徳も奪われるからの。」


「・・・それ以外はもう?」


「うむ。既に奪われている。」


不味い。本当に不味い。

適正や技能(スキル)はチートクラスだぞ。只でさえ高い能力を持ったヤツに奪われるって・・・


「冗談抜きで不味いですね。何とかする方法はありませんか?知恵を貸して下さい。」


俺の頼みに・・・


「方法はある。実に簡単じゃ。奪い返せば良い。」


軽く答えられた。


「では、今から体に戻って「不可能じゃ」・・・はい?」


「体に戻っても奪い返す事は出来ん。

お主は前世も含めて三十年ほど。あちらはその十倍ではきかん。しかも百年以上かけてお主を乗っ取る準備をしておる。

赤子が戦車に挑むより無謀じゃよ。」


「ならばどうやって・・・」


「なに、簡単な話じゃ。」


「相手が三百年以上の経験があるなら、こちらは千年の経験を積めば良い。

相手が百年以上かけて準備したなら、こちらは五百年かけて準備すれば良い。」


オモイカネ様は悪戯っぽく笑う。


「ここは精神世界。時の概念のない世界。そして・・・相手をしてくれる暇神(ひまじん)は幾らでも要る。」


こうして俺は自分の肉体を取り戻す為に、精神世界で修行する事になる。

修行相手は日本の神々。俺の為に修行をつけて下さる。

・・・暇潰しを兼ねて。



人生は八十年ほど。その内体の自由が利き活動できるのは五十年ほど。この五十年も睡眠、食事、休憩等々を含めると実質半分位。

何故こんなことを言い出したかと言えば・・・睡眠、食事、休憩もせずに鍛練すれば百年もあればその道を極める事が出来ると言うことだ。


オモイカネ様は俺に割譲した神徳に関係する技能から伸ばすと良いとアドバイスをくれた。

俺の持つ神徳技能は、建国神。商業神。豊穣神。酒造神。水神。軍神。の六種類。

鍛えるのに一番厄介な神徳技能は建国神の神徳だった。

講師のオオクニヌシ様とヤマトタケル様、カムヤマトイワレビトノミコト様が言うには建国の神徳は万能神徳なそうな。治水、農耕、軍事、商業、等々・・・様々な神様が入れ替わり立ち替わり指導してくれた。建国の神徳は国を治め、守り、発展させるものなので講義は様々な分野に及んだ。

ぶっちゃけこの神徳技能さえあれば他は要らんだろうと思うくらい勉強した。

建国の神徳の勉強を一通り終えると水神の神徳技能の勉強。それが終わると建国の神徳技能の復習。その後は豊穣の、また建国の復習、次は・・・と、言うくらい勉強した。

座学が終わると実践。

精神世界に箱庭を作り、建国シミュレーション。建国、商業、豊穣、治水、軍学、酒造。学んだ事の総合的な試験も兼ねて百年レベルでシミュレーションした。


知識、技能、手法等の実践学習が終わると次は武芸の実践。


教師はタケミカヅチ様とフツヌシノカミ様、アマノタヂカラオノカミ様ら武芸自慢の方々だ。

この辺りから色々カオスになってきたんだ・・・

剣神、武神の方々の実践学習と云う名の死合いが数百年。暇をもて余した四天王と四海竜王が乱入してきた時点で死合いは虐殺と云う名の拷問に代わり、死ぬことの無い精神世界でひたすら死に続けた。


そんな日々を送る俺に声を掛けてくれた方がいた。


四天王のコウモクテン様と四海竜王のゴウコウ様だ。


「はい?いかがなさいました?」


「うむ。我等で話し合ったのだが貴殿に我等の力の一部の与えようと云う事になった。」


えっ?何で?


「最近、世界が殺伐としていてな。良い気晴らしなった。」


ゴウコウ様が仰る。

・・・気晴らしですか。貴方、最後の方、龍身に戻ってましたよね?武芸もへったくれもないサバイバル・・・いや、逃走ゲームになってましたよ?


「なかなか楽しませてもらったからな。その礼だ。」


そうですか・・・お楽しみいただけましたか・・・

四天王の四神(よにん)対俺の戦いと云う名のリアル鬼ごっこはお楽しみいただけましたか・・・

これ迄の事を思い出してヘコんでいるとコウモクテン様とゴウコウ様が一つづつ酒盃を差し出す。


「力と言っても唯の基礎能力の上昇と上昇した身体能力で肉体を損なわなくする権能が付くだけだ。」


と、コウモクテン様。


「私の力も竜言語魔法と云うのか?あれの延長の様なモノだ。変な力が付くものじゃない。」


これはゴウコウ様。


「貴殿はこの数百年の間多くの事を学んだが知識は兎も角、武芸は人身で実践するには些か貴殿には難しいだろう?」


確かに。ここで学んだ事は決して無駄にはならない。知識関係は。

武芸で学んだ事はこの精神世界だから通用する・・・神々は現実世界でも同じ事ができる・・・モノも多い。

そういったことなら基礎能力の上昇する二神(ふたり)の力はありがたい。


「はい。ありがたくいただきます。」


二神(ふたり)に例を言い酒盃を飲み干す。そんな二神(ふたり)は・・・


「では、上昇した身体能力に振り回されない様に稽古をつけて進ぜよう。」


「良い考えだな。」


二神(ふたり)がジリジリとにじり寄ってくる。どうやら玩具・・・俺のコトだ・・・で長く遊ぶ為に与えたらしい。

勿論、好意もあるのだろうが・・・


二神(ふたり)がキラキラした笑顔で言い放つ。


「「さあ。殺らないか。」」





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