蠢くモノ達
グロいです。色んな意味で。
「さよなら。リューシオン殿下。」
そして件のリューシオンはとゆうと・・・
「はぁぁぁぁぁいやぁ!!」
覆面全裸の変態に抱えられて、絶賛拉致られ中だった。
「・・・なんだよ。何なんだよ?俺がなにしたってんだよ?」
小脇に抱えられたリューシオンの顔面にべったりとたんぱく質が付いていた。
どうしてこうなったかといえば・・・
「くそ!離せ。この、『炎撃』」
リューシオンの火属性魔法が覆面全裸男に炸裂する。
しかしかなり強い魔法障壁を纏っているのか火傷一つつける事が出来ない。
「『氷撃』『雷撃』」
立て続けに魔法を撃ち込むが、悲しいかな所詮は初級魔法。覆面全裸男の障壁を抜いてダメージを与える事が出来ない。
「少年!いかな私もイタズラが過ぎるとお仕置きをしなければ逝けなくなるのだ!おいたはやめたまえ!!」
「五月蝿い!『炎撃』×6」
リューシオンは技能『並列起動』で、威力を補う作戦に出たようだ。
しかし、結果は変わらず・・・
「フウゥゥゥ!仕方ない!少年!お仕置きだぁぁぁ!!」
覆面全裸男が左手でアレを握り扱き始める。目の前・・・と、ゆうか真横で自家発電しだした覆面全裸男にリューシオンの攻撃が止まる。まあ、誰だってそうなる。覆面全裸の変態でも目の前で見せつける様に自家発電しだしたら処理能力を越える。
・・・唖然と見ていたのが運の尽きだった。自家発電をしたらナニが起こるか。
リューシオンとしては六年分の人生経験しかないが、東郷涼斗としては二十六年分の人生経験がある。
・・・当然、自家発電もしたこともあるし、進行方向にぶちまけたモノが何処に飛ぶか・・・何処に掛かるかは解ったはずだ。呆けてしまったから、惨劇が起こる。起きてしまった。
「フゥゥゥゥ!エクスタシーィィィ!!」
アレから大量のたんぱく質が放出される。
そして放出しながら微妙に進行方向を左にズラす。
そして・・・
「ぐっ、ブゥ、がぁ、バァァ!?」
右脇に抱えたリューシオンに大量のたんぱく質がかかった。
「べっ、ウェェ、エェェ!」
口に入ったたんぱく質を吐き出そうとするが、二度三度と放出されるたんぱく質がリューシオンに降りかかる。吐き出そうと口を開くと新たなたんぱく質が口に入る。
暴れてたんぱく質を避けようとするが覆面全裸男のホールドはその程度で抜け出せる程甘くなく、結局四度目、五度目のたんぱく質を浴びるハメになる。
六度目のたんぱく質を浴びた時に、リューシオンは抵抗を止めた。
そして冒頭の状況である。
覆面全裸男は走る。依頼人の元に。
依頼人の宿願を成就させる為に。
・・・その老婆はかつて魔女と呼ばれていた。
この世界の魔女は美の代名詞だ。
美しく若々しい。それもその筈、魔女は人生の全てを美と若さの維持に使う。
しかしこの老婆はそれだけではなかった。
属性魔法を極め、美と若さを保つ。魔法を極めんとすれば美と若さの維持は出来ず、美と若さを維持すれば魔法を極めることは出来ない。だかこの老婆は双方を極めて見せた。
そんな老婆を人々は賢者と呼んで尊敬した。
そんな時だった。あの神々の戦いがあったのは。
百数十年前。外界の神々がこの世界に侵攻してきた。主神は新たな神・・・救世の三女神を始めとする・・・を産み出し、外界の神々に対抗した。
神々の戦いは壮絶を極め、天変地異によって人々の暮らしは脅かされた。
その様なときに立ち上がり人々を守ったのが当時、七賢者と呼ばれた・・・現在では七天魔王と呼ばれている・・・老婆達だった。
老婆は自らと同じ種族の飛天族・・・天使の末裔と呼ばれエルフと共に美の象徴とされる・・・を率いて民衆を極めぬいた魔法で守った。
第一位天使の熾天使と同じ六枚の翼を持つ老婆は人々の希望の象徴であり、憧れであった。
老婆は民衆の為に持てる力の全てを振るった。そう、全てを。
その結果、民衆は神々の戦いを切り抜け生き延びる事ができた。そして老婆は力の大半を失い若さを維持できなくなった。
老いて行く老婆を民衆は嘲笑った。魔女の癖に美も若さも維持出来ない半端者と。誰の為にその様な事になったかを忘れて。
七賢者と呼ばれた者達は神々の戦いの後、例外なく迫害された。老いて行く老婆を見て七賢者達は老いて死ぬ事を思い出したからだ。新たに生まれた神々は不滅の存在。いずれ居なくなる七賢者ではなく神々にすがろう。
人々は恩を仇で返し七賢者を責め立てた。
自分たちの家族が守れなかった。
天使を自称し自分たちを騙した。
そもそもに七賢者が守らずとも神々が守ってくれた。神々の奇跡を自分たちが行った様に見せかけた。
コイツらは自分たちを騙した詐欺師共だ。
民衆は自分たちを守ってくれた七賢者を歴史から抹消した。
そして七天魔王と名付け世界の敵とした。
老婆達も世界の敵となりかつて守ってきた人々を害した。
老婆はそんな過去をもっていた。
老婆は百数十年掛けて準備した。全盛期の美と若さと力を取り戻す為に。そして世界を滅ぼす為に。
老婆は背中の翼を・・・老いてしわしわに萎んだ・・・を一翼づつ引き千切る。千切った翼にドス黒い血・・・百数十年掛けて呪水化させた・・・を使い呪いを描く。
呪いを描いた翼がドス黒く光り、六個の赤黒い球体に変わる。
老婆は六個の球体を一つづつ飲み下して行く。
そしてドス黒い呪水を皺だらけの節くれだった手で掬い一口飲むと、呪水の入った桶を持ち石造りの床に魔法陣を描く。
その光景は鬼気迫るモノだった。
一筆毎に凄まじい魔力と霊力をこめ、その魔法陣を絵描き出して行く。
ほぼ丸一日掛けて魔法陣を完成させる。皺くちゃの顔を歪ませ・・・それを笑顔と言うなら竜の威嚇すら笑顔になるだろう・・・呪水を又、一口啜る。
ぼこぼこと蠢く腹を愛しげに撫でている時に彼は現れた。
「条件に合う少年を連れて来たのだ!!」
序盤と中盤からの温度差が激しい過ぎる。




