王子、王女の近衛兵になる
見て下さって、ありがとうございます。
なるべく短く完結させたいと思っています。
ライムは、選考に通過して、晴れて近衛騎士になった。
選考には、何十名かの応募者がいたが、
その日、選考に通過したのは、結局、ライム一名であった。
翌日、ライムは王女に改めて紹介されることになった。
選考の時にも、王女の姿は見えたのだが、言葉を交わすことはなかったのである。
ライムは従者に案内され、王女の元へと向かう。
王女は、王宮の自室の前に立って待っていた。
王女の御前まで来ると、従者は王女からかなり離れた位置でライムを止め、
そこで止まるように伝えると、王女に報告する。
「王女、昨日、新しく任務についた近衛兵をお連れしました。
衛兵よ、自己紹介を」
従者に促され、ライムはシャルロットに自らの名を名乗る。
「シャルロット王女、初めまして。
ビースト・キングダムから参りました、ライム・ハルバードと申します」
ライムは、恭しくお辞儀をする。
「ビースト・キングダム…獣人のお方なのですか?」
「はい、シャルロット様、私はライオンの血を引く家系の生まれでございます」
シャルロットは、興味深そうにしている。
「ライオンなんて、素敵ですね!私、ライオンはとても好きです」
ライムは、少し顔を赤らめる。
しかし、悟られまいと、次の言葉を続けた。
「シャルロット様がお望みでしたら、よろしければ、ライオンの姿もご覧に入れますが……」
シャルロットは、嬉しそうに首肯する。
「ライム様、是非」
ライムは、王女と言葉を交わせるのが、嬉しくて堪らなかったが、
その感情を抑えようとしてか、少し震えた声で答えた。
「お目汚し、失礼いたします」
そう言うが早いか、ライムの手足が白い毛並で覆われていく。
瞬く間に、ライムの姿は、ライオンへと変わった。
「白いライオン!!
あの……撫でてもよろしいですか?」
シャルロットが、少し控えめな様子で尋ねる。
「勿論でございます。
シャルロット様が、それをお望みであれば」
白いライオンは、恭しく、その場に伏せをする。
シャルロットは、恐る恐る、ライオンの毛並に触れようとする。
「王女様、そろそろ、お時間でございます」
お付きの者と思われる中年の女性が告げる。
「そうですね……先生の来られる時間ですね」
シャルロットは、触れ掛けた手を戻し、落胆したように答える。
「では、また、ライム様」
「畏まりました、シャルロット様」
ライムは、人間の姿に戻り、深く敬礼する。
ライムが再び、顔を上げた際には、シャルロットの姿は既にそこには無かった。
「ライム君かい?」
声を掛けられ、声がした方を振り返ると、顔立ちの整った騎士風の男性がいた。
いつの間に、ここに居たのだろう。
「はい……あの、あなたは?」
「私も、シャル様の近衛騎士のまとめ役をしている。
アルフレッドだ。アルと呼んでくれ」
アルフレッドは、握手を求めてきた。
ライムは、握手に応じる。
「ライムです。
アルさん、よろしくお願いします。
私は、ビースト・キングダムから来ました」
「ほう、君は隣国の出身なのか。
こちらこそ、これから、よろしく頼む」
アルフレッドは、微笑する。
「他にも、メンバーがいるから、紹介しよう。
付いてきてくれるか」
「分かりました」
ライムは、アルフレッドから他の3名の近衛兵の紹介を受けた。
その後に、自分の任務の説明を受ける。
ライムの任務は、王宮のシャルロットの自室の警護であった。
これで、毎日、王女と顔を合わせることが出来る。
ライムは、希望に燃えて、王女との再会を待つのだった。
この後、次を投稿したいと思います。
ここまで読んで下さって、本当に、ありがとうございます。