94話 行われてきたこと
一通りの探索が済んだ頃、リズたちは拘束したチェスの両親が目覚めるのを待っていた。
あまりこの場で時間を喰いたくは無いのだが、現役の研究員からしか取れない情報があるかもしれないので、仕方が無しにこの場にとどまった。
「……う…ん?な、なんで俺が縛られてるんだ?」
チェスの父親の方が先に目を覚ました。
彼は自分の今の現状が不思議でたまらないらしい。チェスは冷たい目で自身の父親を見つめていた。
ニックが積極的に前に出て、チェスの親に質問していく。
「まあ先ずは初歩的なところからかな……君はここで働いている職員かい?」
「な、なんでそんな事答え…ひっ!」
「どうやら自分の立場がわかっていないようだけど……一応君の命はこちらが握っているんだ。生かすも殺すも君の態度次第だ。」
正直、チェスの父親は白衣を羽織り、頭にゴーグルをつけていたし、実験器具が大量に置いてある部屋から出てきたので、職員であることはほぼわかったも同然なのだが、聞いておくに越したことはないと思い問うたが、彼は答えようとはしなかった。
彼が最後まで言葉を吐き切る間も無く、ライサが彼の首元に手を当て、静電気レベルの雷の魔法を使ってみせる。
すると、彼は流石に命の危険を感じたのだろう。急に怯えきった情けない声を出し、震え上がった。
此れ見よがしに、ニックが正直に答えた方がいいと取れる趣旨を話すと、彼はコクコクと首を縦に振る。
「君はここの研究員?」
「あ、あぁ!ここの研究員だよ!だから早く解放してくれ!!」
「すべての質問に嘘偽りなく答えたらね。さて、ほかには………」
ニックはその後も色々な問いかけをした、男はそれらにすべて答えた。
取れた情報は
『ここは戦争関連のためだけに作られた研究施設であること。
人体実験のため、大量のサンプル品を作り、貧民街やお金がない人に報酬として金をやるという条件で拉致、もしくは契約を結んでいるものたちに薬を投与していた。
罪人は被験体の魔力測定器として使っていた。
広範囲に強大な力を持つ魔法を最小限の魔力で使えるようにした機械の開発。』
など、主にこの場で行われてきたものだが……あまり気分がいいものではない。
「拉致だなんて……そんなの犯罪じゃない。」
「……。」
「まぁ……こんな国のやることだからな…。」
ソレイユはブルブルと震えながら声を振り絞り、オスマンは顔を真っ青にし、チェスは髪をかき上げながら低い声でつぶやく。
しかし、チェスの父親はよせばいいのに、ソレイユの言葉に対して得意げに
「ハッ!国に負担をかけてるだけの存在である民衆が国のために使われるんだ!いいことだろう?!」
「あんまりだ……。」
男の言葉を聞くや否や、誰かが落胆した。
神獣たちは苦い顔をしている。
「聞き出せるのもここまでか……ルフィナ。」
「念のため喉もやっておいた方がいいかしら?」
「ああ。まああとあと不利になるぐらいだったら、今やっておいた方がいいか。」
「はーい。」
ルフィナは男に近づくと、男の喉に手を当てた。
すると……
「……!………!!」
「あれ?声が急に聞こえなくなったよ?」
「ちょこっと魔法をね。」
ルフィナはまるで、イタズラでも仕掛けたかのようなお茶目な顔をリズに向ける。
曰く、チェスの両親はこの場に拘束したまま放置しておくが、助けを呼ばれて自分達のことが知れたらあとあとめんどくさくなるので、一時的に喉を潰したんだそう。
「あっちの部屋に入れておこう。念のためこれも飲ませておくか……。」
ニックは飴玉くらいの大きさの丸いものを男と女の口の中に入れた。
その後、奥の薬品庫に入れ、リズたちはその場をさった。




