95話 前線からの連絡
コツコツコツ……と、幾人かの足音が空間に広がる。
緊張が走る中、リズたちは中枢機関内を歩く。
薬だけでは証拠は不十分なのでもっと核心に迫れるものを探したいのだが……裏付けとなるものがとんと見つからず、どうしたものかと思いながら、書類保管室へと足を踏み入れる。
ーーー
引き出しのついた棚がずらっと並んでいるにも関わらず、床に紙の山が作られている。
幾重にも重なる紙の束で、よくもまあここまで一部屋にまとめておいておけたものだと、つい感心してしまう。
目についた引き出しからいくつかの書類を取り出し、軽く目を通していくが、難しい言い回しや専門用語が多すぎて、内容の半分も理解できない。
他の皆もそれぞれ思い思いに証拠集めに奔走しているため、どうしたものかと思っていると……
<聞こえるか?こちらB班。人間軍が攻めてきた。侵入した奴らはまだ終わってないのか?>
リズたちの頭の中…もちろん、神獣たちの頭の中にも、女性らしくもたくましさがある声が聞こえてきた。
声から傷ついた様子は感じないが、『攻めてきた』その言葉にゾワっと、背中に何かが走るのを感じた。
冷や汗でも書いているのではないか、そんなふうに思うほど、リズは気が気でなかった。
<本格的にやばくなってきた。まだ前線の奴らで抑えれるくらいの力しかないが……耐久戦に持ち込まれるのは武が悪くなる可能性が高い。あっちの手の内がわからないしな。とにかく早く首班を捕まえろ!>
通信は一方的だった。こちらが何か弁明する間も無く、言いたいことだけ言ってその後の音沙汰は無しだ。
左証だなんだと言っている場合ではなくなったのだけは事実だ。
「ニック、流石にここで油を食っていられなくなったけど?」
「はぁ……まあ、最悪民衆を誘導して最高責任者の失脚を煽ればいけるか……?」
ブツブツと独り言を呟きながら、その場をぐるぐると歩き回るニック。
しかし、あまり悠長に考えてられないほど切羽詰まっているのか、すぐにその行動をやめ、「そろそろ親玉との遭遇かな。」と、皆に聞こえる声量で言葉を吐いた。
「簡単に捕まってくれればいいのだけれど…。」
「まぁムリだろうね。もしお年を召しているならなおさらだ。」
ルフィナとライサが話し合っている。
やはり皆が皆、思うところがあるのだろうが…『こうなればいい』と言ってはられない、『やる』しかないのだ。
それ以外に道はない。今ここで行動せずして何になるというのだ?
書類保管室を飛び出し、リズたちは『最高責任者がいる部屋』を目指して歩き出した。




