79話 箱と原理
翌朝、リズたちは今日も魔法を扱う特訓である。
「おわぁ!」
「考え事してると失敗するパムよ!」
「もっと前に行ってよ!失敗した後に言わないで!」
「昨日から言ってたパム!」
本日もリズはしごかれています。
制御自体はできるようになったものの、簡単な魔法ですら集中しないと使えないレベル。
このままでは攻撃魔法はおろか、基本魔法ですらちゃんと使いこなせるか、というところだ。
「でも昨日よりは上手くなってきたパム!後もうちょっと頑張るパム!」
「そんな偉そうに言ってるけど、パームは魔法使いこなせてるの?」
「パムを疑ってるな?‥ほい!」
リズがパームを煽ると、彼はちょっとした旋風を起こして見せた。
あまりたいそれた魔法な訳ではないが、基本となる魔法なため、練習しておいて損はない。
「うっ‥‥目の前でそんな簡単に使われると憂鬱になる〜!」
「パムを見くびるからだパム!」
2人がふざけあっていると、ベルがどこからともなく現れた。
「ニック!ニックはどこにいるの!」
「はいはいここだよ。そう甲高い声で騒がないでくれると嬉しいんだけど‥‥。」
ニックは今しがたしていた作業を取り止め、ベルの方へ寄ってきた。
リズは気になって、ベルとニックの方を向き、話を聞いていた。
「例の件、受け入れてくれるところが見つかったわ。その際手土産なんだけれども………。」
「あぁ、それについてはすでに準備してある。これを渡しておいてくれ。」
数秒後、ニックの横に正方形の箱のようなものが出てきた。
リズはじっとその箱を見つめてみるが、特にこれといった違和感は見当たらない。
強いて言えば、正方形の物体が常に色を変えているという、変わったものということだけだ。
「‥‥い、おい!聞いてるのかパム?」
「え!?あー‥‥聞いてなかった。」
「ちゃんと聞いてくれパム。まだ実行日まで12日間あると入っても、早めに習得しておくことに越したことはないんだパムよ!」
「ねえパーム。ニックの持ってるあれ、何に使うのかな?」
「1ミリも聞いてない!?」
今にも大声を出してしまいそうなパームであったが、リズの集中力がないことは知っていたので、ひとまず深呼吸をして落ち着いた後、ニックとベルの方を見て取ると
「ああ、あれは異空間保存装置‥‥っていってもわからないパムか。う〜ん………なんでも収納できる便利な箱パム。生物も入れた当時のそのままの状態でとっておくことができる優れものパム。」
「そんな便利なもの作れるの?見たことないけど‥‥。」
「簡単じゃないパム!まず炎と水の連結魔法陣を描いた後、風と治癒の連結魔法陣も組み込んで、それから望月の日にしか手に入らない魔石を粉微塵にしてそれから…。」
パームの説明していたことは専門的な用語が多い上に長ったらしくて、リズにはほとんど理解できなかった。
全ての説明が終わった後、リズは間を置いて
「つまりめちゃくちゃ難しい上にめんどくさくて、その上頭が良くないと作れないってことだね!」
「確かにその通りだけど解釈の仕方が雑パム!」
今日も笑い合いながら、魔法特訓は進んでいった。




