表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死亡フラグを回避して、元悪役令嬢は今日も穴掘り  作者: 膝関節の痛み
第2章 梅田の地下街をダンジョンと言うなら異世界のダンジョンが地下街でも良くない?

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
13/31

第13話

 もしかしてスライムコレクションのコンプが進化条件だったの?


「……それならそうとさっさと言えやゴルァ」

「ひゃいっ⁉」


 これまでの苦労を思い出して思わずガチの親方モードで呟いてしまい、ノーラがびくっとして私を見た。


「違うの。ノーラに言ったんじゃないよ、ごめん。コアに言ったの。

 あ、ちょっと待って。そのノーラの目の前に出てるお知らせ、とりあえず『いいえ』で」

「……え?……『はい』押しちゃった。さっさとやれって言ったから……」

「あ……」


 一瞬フリーズした。

 それはコアに対する文句であって、承認ボタンを押せという意味じゃないんだけど、押しちゃったんだね……。


「う、うん、大丈夫。だと思う。気にしなくていいからね」


 慌ててノーラの頭を撫でて安心させる。

 いや、待てよ? もし本当に「全色コンプ」が進化条件だったのだとしたら、ノーラが魔力を湯水のように溶かしてガチャを回し続けたのは、結果的に大手柄だったんじゃない?


 とにかく、現状を早急に確認しなければならない。そんでみんなで相談だ!


「デレックさん! 緊急事態なので、みんなを大至急コア部屋に呼んでください!私は先に行ってる!」


 叫びながら私はダンジョンの通路に飛び出し、ノーラと一緒にコア部屋に走った。


 部屋の中央に鎮座するダンジョンコアは、明らかに一回り大きくなっていた。

 うっすらとした頼りない光も、照明が必要ないほどに明るさを増している。

 ……うん、レベルが上がったっぽいな。

 ただ、周囲の壁が崩れるような物理的な異変はない。よかった。

 ひとまず落ち着く。

 なんだよ。得意そうに光っちゃって。

 育ての親として、小言のひとつくらいは言ってかねばならない。対話とかできなさそうだけど。


「あのさあ、レベルが上がるのはいいんだけどさ、それならそうってちゃんと言いなさいよ。マニュアルとかないわけ?」


 愚痴りながら、大きくなったコアに右手を触れると、突然、目の前の空間に半透明のメッセージが浮かび上がった。


『サブマスターへの登録が可能です。登録しますか?はい/いいえ』

「何なのよ、次から次に! それだけじゃわかんないでしょ!」


 叫んでみても、コアはうんともすんとも言わない。

 同じ画面を見ているノーラが、私をつついた。


「お姉ちゃん、ここなんかあるよ?」


 ノーラが指差した先を凝視する。

 ……あった。

 背景の淡い光と同系色の、信じられないくらい小さなクエスチョンマーク。

 マークが小さすぎるだろ!せめて文字色を変えろ!

 わざと?わざとなの?


 ……ああ、確かにここは『選べよ』の世界だわ。ダンジョンのUIまで駄作。


 ぶつぶつと前世のwebデザイナーみたいな文句を言いながら、私はその微小なマークをタップしてみた。


 パッと画面が切り替わる。


「出た……」


 ただ説明画面出すだけなのに、なぜこんなに苦労しなきゃならないんだろう。


 画面には、びっしりと文字が並ぶ。

 とりあえず読んでみる。


『ダンジョンは1名のサブマスターを登録することができます。コアと魔力の親和性がある生物はサブマスターになることができます。サブマスターはマスターの一部権限を行使することができます。サブマスターはダンジョンマスターの補助のためダンジョン外で活動することができます。ただし不死特典はありません。生死はその生物の生命活動どおりです。 なおコアが破壊されるとサブマスターも死亡します』


 改行しろ! 句点打て!

 あとフォント!

 最初から気になっていたんだけど、ファンシーな丸文字フォントを使った意図は何?


 心の中で一通り突っ込んでから何度か読み返す。そうしないと読みにくくて頭に入らない。


「……なんか、シスアドの代行設定っぽいね」


 要するに、ダンマスは自動的に引きこもりになるから、外を動き回れる人が実務的な管理権限を一部代行できる、ということらしい。

 でも、サブマスターになるかどうかは、みんなと相談してから決めるべきだよね。

 画面にはこれ以上の説明はないし、ここは一旦『いいえ』としておこう。


 と思ったら「戻る」ボタンがない。どこにも行けない。


「おい……」


 イライラしながらもう一度コアに触れてみると、メッセージはすっと消えた。クソすぎる。


「大丈夫か?」


 そこへ、息を切らせた3人が部屋に飛び込んできた。


「……うん。大丈夫っちゃ大丈夫。

 とりあえず、無事レベルは上がったよ」

「そうなの? やったわね!」


 マーガレットさんがパチパチと拍手する。


「うん。それでね……」


 私は「サブマスター」という新しい機能が解放されたことを、さっきの説明画面の内容も含めて伝える。


「サブマスター、ですか……」


 ソフィーが丸眼鏡を指で押し上げながら、興味深そうにコアを見つめる。


「あ、ソフィーも触ってみれば?私だけじゃないかもだし」

「なるほど。やってみるね」


 ソフィーが触れると、登録画面が現れたっぽい。

 私には見えない。見えるのは候補者とダンマスだけみたいだ。


 一旦『いいえ』を選んでもらい、残りふたりにも触ってもらう。

 無反応。

 つまり、過去にコアに魔力を直接注いだことがある者だけが、資格を得られるってことかな。

 ホプキンス夫妻は魔法が使えないため、最初から対象外だったというわけだ。


「条件から見れば、やっぱりエリーだよね」


 結果をメモしていた手帳を閉じながら、ソフィーが冷静に言った。


「私は学園もあるし、商会の書類仕事もある。

 何より、ダンジョンコアは元々エリーが見つけたものだから、エリーが直接操作するのがいいと思う。コアを守ることを考えても、ノーラちゃんひとりより絶対エリーがいた方がいいもの」

「そうだねえ。エリー、頼めるかい?」


 マーガレットさんも同意する。

 詳細な仕様がわからない以上リスクはあるが、もし不都合があれば、最高権限を持つノーラに頼んで後から解任してもらえばいい。

 まあ、多少のリスクがあっても気にしないけどね。


「了解! 実はやりたかったんだよね!」


 私はもう一度コアに触れ、先ほどのメッセージを引っ張り出し、迷わず『はい』の文字をタップした。

 その瞬間画面が切り替わり、赤い丸文字でメッセージが表示された。


『ダンジョンマスターの承認が必要です』


「だから、そういうのは先に前に書いてってば!」


 エラーを吐いたまま、画面はまた進むことも戻ることもできなくなった。

 結局、またコアに触れて、最初からやり直す羽目になった。ほんとイライラする。


 やり直して、ダンマス側の画面でノーラが『はい』をタップする。

 2画面操作が必須なわけね。そういうのは先に(略。


 画面が切り替わり、『サブマスターの登録が完了しました』の完了メッセージが現れた。


 ふう、と大きなため息をつく。

 地下街の仕事の何倍も疲れた。


 サブマスとして何ができるのか色々見てみたい気持ちはあるけど、今日はもうあの画面を見たくない。

 

「もう一回お風呂入って寝よ」


 私は、女子チームと連れだって銭湯へと引き返した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ